目明し編(14)

 魅音へ悟史から電話が来たそうだ。
 これは「詩音」宛の電話なのだろうと推測し、魅音は詩音へと取り次いでくれた。

 もしかして悟史はこの電話で、沙都子を綿流しに連れて行ってくれと頼むのか?
 「祟殺し」編の会話を思い出し、この疑問が浮かぶ。

 それにしても、魅音は詩音に対して本当に献身的だ。
 ここまでしてくれているのに、何故詩音は1年後に圭一と魅音の間を冷やかす行為に走っているのだろうか?
 その答えもこの「目明し」編で分かるといいのだが。



 電話で語らう悟史と詩音。

 これ、綿流しの日が近いんだよな。
 という事は、時間がもうないじゃないか!
 (悟史がもうすぐ失踪する)

 自分は詩音だと言え!
 言うんだ!
 最後まで魅音だと思われているのは、すごく悲しいじゃないか。

 当然そんなワシの願いが届くわけも無く、電話越しの会話は続く。

 悟史の会話にやたらと含みがある。
 「ここまで追い込んだ奴ら」って誰?
 園崎家の事か?

 悟史は圭一と比べると、感情があまり表に出ない。
 そのため何を考えているのかが、イマイチよくわからない。

 …いや、比較対象が悪いか。

 圭一と比べれば、誰でも感情表現を薄く感じるに決まっている。
 悟史は絶対に圭一のように「うおおぉぉぉおお!!!」とか人前で言わないだろう。

うおぉ


 (本編読み進め)


 うわ、悟史のヤツ、やっぱり詩音に沙都子のお守りを頼みやがった!

 って、あれ?
 「祟殺し」編で圭一が悟史と同じ事を頼んだ時、魅音から「去年も悟史に頼まれた」という話を聞いたような…。

 何故、詩音と悟史の会話内容を魅音が知っている?
 「祟殺し」編のあの時の魅音は詩音なのか?

 いや、普通に考えれば、その情報を詩音が魅音に伝えたと言うのが有力か。
 詩音は憎き沙都子の面倒などみたくないだろう。


 (本編読み進め)


 突然、悟史がオヤシロさまの祟りの話をもちだした。
 しかも、こう言った。

「僕は絶対に消えない、消されない」

 どうして、こうも圭一の発言とかぶるのかねぇ。
 悟史もそうだが、圭一の行く末も真っ暗な気がするじゃないか。


 (本編読み進め)


 電話を切る直前に悟史は再度沙都子の事を頼んだが、詩音は即答できなかった。

 やはり沙都子を許せないようだ。
 仕方ない…かね。
 しかし、この一言が後々詩音の感情を揺さぶる言葉になろうとは、この時点では全く思わなんだ。


 TIPS出現。

 おそらく悟史の日記だ。

 この内容を、そのままうのみにすれば、叔母を殺したのは悟史だ。
 悟史はひたすら沙都子の事ばかり案じていた。
 自分を案じてくれている人の事も、少しでいいから書いていてほしかった。



 今から「祟殺し」編を読み返しても、前ほど沙都子を可哀想に思えなくなっている気がする。
 あの編も彼女は自分の行いの結果、1人の人を殺人者に貶めている。

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