目明し編(8)

 上機嫌で買い物をしている最中、詩音がバイクを蹴り倒した。

 バイクはドミノ倒し。
 そして、持ち主にからまれる。

 …詩音、あんた実は圭一じゃないのか?
 何故、圭一と同じ事をする?

 ついでに言うと、意味不明な言語を発する辺りから判断して、からんだ主もあの時と同じではないだろうか。

 だが、圭一の時とは全く異なる点がある。

 詩音はこの状況を全く恐れていない。
 とても素敵に冷静だ。

 まだ登場もしていない圭一が情けなく思えてきた。



 圭一の時に、この状況に陥った場合の結末を見た。
 だから、この場所で雛見沢の人間に手を出すのが、どれだけ恐ろしい事なのかはわかる。
 従って、詩音が余裕なのもよくわかる。

 しかし、状況をより悪化させるために悲劇のヒロインを装う作業は不要だ。

 詩音、君は本っっ当に悪魔だ…。



 その時、このケンカを止めようとする声がした。

 線が細くて文化系。

 おおぉ、悟史か、悟史だろ?
 立ち絵初お目見えだー!

 止めには入ったものの、殴る蹴るの暴行を受けていたので、確かに腕っ節は弱そうだ。
 しかし、女の子を助けに入ったその勇気に乾杯!

 魅音(あるいは詩音)に助けられた圭一とは大違いだな。
 漢だよ、北条悟史。

 更に圭一が情けなく思えてきた。

なさけなや


 どうやら悟史は詩音を魅音と間違えているご様子だ。
 最後で、とんだ大間違いだ。



 ここでまたワシの脳内の魅音・詩音の生い立ちに訂正が入った。

 魅音は小学校から雛見沢。
 詩音は興宮。

 小学生の時点で既に離れ離れだったのか。
 でも、だから逆に仲が良いのかもしれないな。



 それにしても、この詩音と悟史のホンワカしたやりとりは何なんだ?

 今回の物語前半はギャルゲー風じゃなくて少女マンガ風ですか?
 主人公が女性だからですか?

 こうして、詩音は悟史に興味を持ったのか。

 悪いが「悪魔天使をする」という状況に見える。

 うむぅ、詩音は悟史が失踪したから雛見沢から興宮の学校に移ったもんだと考えていたよ。
 しかし、この出会い方と周りの状況から考えて、詩音が雛見沢の学校に行く事はまずありえない。
 それ以前に、このままでは詩音は学校にすら通えない。

 どのようにして悟史と親交を深めるのだろうか?
 それとも、最後まで深められなかったのだろうか?

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