綿流し編(3)

 会話中、圭一は自分の思惑を他の4人に読み取られてしまう。

 顔に出ている、と他のメンバーは言うけれど、本当にそうなのだろうか?

 普通なら納得するが、「鬼隠し」編を終わらせた後ではうさんくさい。
 この4人組なら圭一の心ぐらい読みとりそうだ。

 授業中、圭一とレナは「みんなが実は逆の性格だったら」という仮定話で盛り上がっている。
 沙都子・梨花・魅音の真逆性格について話し終えた後、最後にレナの真逆性格の話になった。

 それってつまりあれですか?
 「鬼隠し」編のあのレナですか?

 圭一は言葉に詰まりながら会話をしている。

 どうしてだろう?
 「鬼隠し」編の記憶があるわけでもないだろうに。

 レナの真逆性格は?という問いかけに、何故緊張して返事する。
 何故、返事するのに妙な苦労があったのだ?
 何故…?



 例の妙なファミレスに家の鍵を落としていた圭一。
 返してもらうため、再度そこに向かう事になった。

 いつもの魅音とは性格の異なる詩音に会えるという事で無駄に浮かれている。
 浮かれて道端のバイクを蹴飛ばし、持ち主のゴロツキにからまれた。

 …どう考えても自業自得だ。

 ゴロツキ3人にからまれる少年。
 そこに助けに入る少女…って、漫画等でよく見るシーンと性別が真逆だな。

 ただ、その救出方法が異質だった。
 同じ雛見沢村の人達が集結し、ゴロツキを取り囲んでいる。

 コレ、怖いよ。
 ナ●シカの映画で王●がナウ●カを取り囲むシーンとは異なる感じだ。
 ひとつ間違えると、カルト教団の狂信者のようにも見える。

怖い。

 怖い怖いと思っていたら、圭一も常軌を逸していると考えていた。
 稀に圭一とシンクロするな、ワシ。

 意味不明な言葉を発しながら怒っていたゴロツキが少し可哀想になった出来事であった。



 その後、無事ファミレスに到着して楽しく語り合う詩音と圭一。
 団結力の話から、内容がダムに流れていった。

 その瞬間、ひいぃ、ダム!と思ってしまった。
 「鬼隠し」編後半のレナがボンと脳裏に浮かんだためだ。

 雛見沢の村人達は昔ダム建設反対を掲げ、団結して国と闘った。
 その話を聞き、圭一は怖いなんて思って悪かったと考える。

 しかし、「鬼隠し」編を終わらせているワシは再びツッコミが入る。
 いや、怖いと思って良いんだよ!
 奴らは団結すると、何をするかわからん。
 常に警戒だ警戒!と、そこまで考えて切なくなった。

 漫画等でよく出てくる
「他人を信用するな。信じられるのは己だけだ」
と語るオッサンのようだ。

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