綿流し編(7)

 今回の話で、とてもありがたい事がある。

 ターゲットが自分1人ではない事だ。
 (詩音が犯人じゃないと仮定した上の話だが)
 後で考えると、悲しくなる仮定だった。
 「鬼隠し」編のような、自分の味方は遠方におっさんが1人きりという状況とは大分異なる。
 あの時は1人きりの状況で追い詰められてしまい、はたから見ると圭一はさぞ変な人に見えた事だろう。
 というか、事実変な人だったんですがね。
 現在の綿流し編では、詩音の存在がとても心強い。
 これからも1人にしないでくれよ、詩音。



 今まで読んできた内容からから考えると、「綿流し」編は「鬼隠し」編よりも村ぐるみという感じがしない。
 村ぐるみの犯行の場合、失踪した村長さんを心配して皆で捜すだろうか?

 そして後半突入後、魅音と詩音の力関係が逆転したように思える。
 魅音は怖いし、電話口の詩音は弱々しい。

 でも、こんな怖い目に会えば弱々しくなるのも当然かもしれないな。
 ワシがこんな目に会ったら、詩音よりも弱るかもしれん。



 頼りがいのある言葉を残した梨花ちゃん、そして沙都子が失踪した。
 村長のときと同じく村の皆が捜索した。

 そこに至るまでの過程で魅音に腹が立った。
 沙都子を"呪われた子"扱いしたからだ。
 今の今まで一緒に遊んだ仲間をそんな風に呼べる魅音に心底がっかりした。

 もしかして魅音は、今まで沙都子を"呪われた子"と考えながら側にいたのだろうか?
 彼女自身が禁忌に触れたわけではない。
 何故、そんな事を言うのだ。
と、圭一の身が危ない(圭一は梯子の上、支えるはずの魅音が梯子を揺さぶっている)状態で怒っていた。

 圭一は本当にぬけているな。
 危機感が足りないよ。

 ワシでさえ魅音が梯子を支えるという状況は避けたほうが良いと思った。
 それなのに、圭一は何の警戒もせず上った。

 「鬼隠し」編でレナにはあれ程恐ろしい目に遭わされた。

 それなのに、レナが魅音と圭一を残して、この場を立ち去ろうとした時に、

「待ってくれ。ここにいてくれ、レナ!
 レナぁー!」


とワシは心で叫びましたよ。

圭一逃げてー!


 その時にも圭一自身は何の危機感も感じていなかった。

 危機感を感じるの遅すぎです。

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