しばらくすると神楽ちゃんは力を連れて、無事戻ってきた。
ただし、政府軍の兵士という余計なものもついてきていた。
「いつのまにか建物の入り口に張り付いててさ、逃げられなかったんだ」
と神楽ちゃんは言った。
入り口前で外に兵士がいるのには気がついたが、後ろから王我軍の追手も近づいていたため腹をくくってドアを開けたという。
すると銃を構えた政府軍の兵士達に囲まれたそうだ。
その時にオレ達の事情を話すはめになったらしい。
「いくら不思議な力があったとしてもだ。
こんな危険な場所に君達だけで来るなんて無謀にも程がある!」
案の定怒られるオレ達。
横ではパンパンという銃声が聞こえている。
あぁ、どうしてこんな非常識な場所でオレ達は怒られているのだろう。
そこで兵士はいったん言葉を切り、どうにも言いにくそうに話を切り出した。
「・・・と怒っていて本当に申し訳ないのだが、君達は政府軍に力を貸す気はないかい?」
「へ?」
4人とも目が点になった。
「正直なことを言うと、今の政府軍は旗色が悪い。
優秀な兵士や兵器のほとんどは軍務大臣だった王我の元にあるんだ。
このままでは、この国は王我に牛耳られる」
現状はオレ達が予想していた以上に王我に有利であるようだ。
「年端もいかない君達にこんなことを頼むのは私だって心苦しいし、情けない。
でもそれぐらい危機的状況にあるんだよ。
そして、君達にはこの状況を逆転させる力がある」
政府軍の兵士は辛そうに現在の状況を告げた。
よく見ると、この人の色々な場所が焦げ、ブスブスと煙がたちのぼっている。
・・・力の能力を実際に試したな。
本当にそんな力があるのならば私を燃やしてみろとでも言ったのだろう。
きっと死なない程度に加減はしても、さぞ正直に燃やした事だろう。