「レベル99のオレ達に?」
鷹貴が不可解だという顔をして答えた。
僕の顔も似たようなものだろう。
「今“GAME―パラレル―”に、プレイヤーが1人入っている。
そいつは緊急用プログラムを悪用し、
お前達以上の能力を得た後に現実世界に戻ろうとしている」
緊急用プログラム。
そのプログラムのおかげで僕達はレベルを最高値に上げ、すぐに現実世界に戻る事ができた。
確か、ゲームの世界内部からゲームの設定を変更できる機能だったと思う。
そのプログラムを利用して、“GAME―パラレル―”の能力を得ようとしている人物。
「…もしかしてそのプレイヤーって」
「察しの通り。郡藤王我だよ」
統括者の答えに、僕はわずかに肩がビクッと震えた。
王我はまだ勝利を諦めていなかったのだ。
「こっちの機械を操作して、王我を現実世界に戻す事はできないの?」
由宇香さんの言葉にアッと思い、僕達は兵士がいる方に顔を向けた。
だけど、彼らは力なく首を左右に振った。
「緊急用プログラム起動時は外部からの変更はできないようになっている」
既に試した後だったのだ。
「奴がまだ操作途中の今なら間に合う。
奴は緊急用プログラムの知識に乏しいままで、無理にゲームの設定を変更しようとしているからな。
そっちの方にも何かしら異変が起きているだろう?」
そうか、足元の紙切れの山は設定を無理に変更しようとしたために発生した異変だったのか。
「このまま放っておくと、これ以上の異変が起きるぞ。
それは現実世界にも好ましくはないだろう?」
この疑問に、僕は即答した。
「当然だよ。
あの人に僕達と同じ能力を得させるわけにはいかない」
後ろを向くと、他の3人も賛同するように強く頷いた。
強い決意と、怒りを込めて。