2.ゲームプレイは命がけで


 さて、僕はこれから一体何をすればいいのだろうか?

 先程の自称神様代理がナビをつけると言っていたけど、今僕がその機械を持っているのだろうか?

 自分の服の中をゴソゴソと探っていると、どこからか虫が飛んできた。

「うわっ、蜂?」

 こちらの世界にも蜂がいるのか、現実の世界と同じで刺されると腫れるのだろうか?

 うむ、どっちにしても逃げたほうが良さそうだ。

 そう考え、逃げ出そうとした僕の耳に誰かの声が届いた。

「ちょっと待ってよ」
「へ?」

 僕はいったん逃げるのをやめ、辺りを見回した。
 しかし辺りには誰もいない。

「・・・?」

 不思議な顔をしている僕のまわりを蜂がブンブンと飛び、そしてしゃべった。

「どこを見てるの、ココだよココ」
「うわっ!」

 僕は目の前の蜂をよく見てみた。

 変な顔だった。

 姿形は蜂だけど、顔がマンガだ。
 しかもサングラスをかけている。
 サングラスの意味がわからない。

動くナビ

「上から聞いたでしょ。
 僕が“GAME―パラレル―”の初心者用ナビゲーター兼ステータス管理のブン。
 よろしく」
「ブン・・ってあなたの名前ですか?」
「そうだよ」

 ブンブン飛ぶからブンか、安易だ。

「君、初心者なんだってね。このゲームの遊び方を簡単に説明するよ」
「あ、いや待って。ブン君待ってください」

 僕の丁寧語に目の前の変な蜂は変な顔をした。

「ブンでいいよ。それに丁寧語もいいや。悪いけど気持悪いよ」
「はあ・・・」
「で、何?」
「僕、もう元の世界に帰りたいんです。いや、帰りたいんだけど」

「はぁん?」
 ドスのきいた声がかえってきた。
 怖い。

「それじゃ、あんた一体何しに来たの?」

 またコレを訊かれたぞ。
 また説明するのか。

「父に無理やりほうりこまれたんです。
 それにゲームを開始しないと外の世界に出られないって聞いたからココに来たんです」
「だから、丁寧語はやめてよ」
「あ、ああ・・・ご、ごめん」
「事情はわかった。僕が責任を持って君を外の世界に帰すよ。
 でもさ、このゲームの説明ぐらいは聞いていってよ。それが僕の仕事なんだし」

 うーむ、それぐらいならいいかな。
 相手(っていっても蜂だけど)の気分を悪くさせるのもなんだし。

「それぐらいなら構わないよ」
「あ、本当。どうもありがとう。それじゃ、説明始めるね」

 嬉しそうにブンは説明を開始した。

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