ブンは僕が理解できるように説明してくれた。

 つまり、このゲームの最終目標は魔王を倒す事らしい。

「という事は魔王を倒せば、元の世界に戻れる?」
「そういう事」

「よしっ、それじゃ行こう」

 スタスタと歩き始める僕をブンは制止した。

首痛し

「どこに行く気なの?」
「どこってモチロン魔王の所だよ」
「バカ」

 バカはないだろう、バカは。

 また延々とブンの説明が始まった。

 いきなり魔王のいる場所に行く事はゲーム上不可能であり、もし仮に行けたとしても返り討ちにあってゲームオーバーになってしまうそうだ。

「それじゃ、一体どうすれば・・・?」
「この世界は色々な場所で色々な問題が生じてる。
 それを解決する事で経験をつみ、強くなって魔王を倒すのがセオリーだよ。
 しかも、今の状況ではゲームオーバーになった時にどんな事が起こるかが不明。
 だからクリアするまで一回も死なない事が安全に帰る事ができる条件だね」

 つまり魔王を倒す事とは直接何の関係もない事件を解決し、その事件の中で自分を鍛え上げていく必要があるという事か。
 ・・・人間1人鍛え上げるのにどれだけの時間を要するのだろう?

「その方法ってかなりの時間がかかりそうだね」
「かかるよ。それが嫌ならゲームオーバーの方法で帰ってみれば?」
「いや、それはいい」

 こうして僕は元の世界に戻るために命がけのゲームを始める事となった。



「あ、あともうひとつ質問いい?」
「何?」
「1回もゲームオーバーにならずにゲームクリアするのって難しいのかな?」
「普通は無理だね」
「・・・」

 しかもかなり絶望的なゲームを。

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