きっかけは今日の昼。
街の広場で不定期に行われる中古市に出かけた事だった。
中古市とは、その名の通りの市だ。
売り手は地面に持参した布を敷き、その上に中古の品々を並べる。
そして、客が来るのを待つ。
客は並ぶ中古品の中から、目当ての物を探し出す。
そして、可能な限り安く買えるように交渉する。
まあ、どこにでもありそうな市だ。
おれはその市を散策していた。
別に欲しい物があったわけではない。
良い物があれば買おうかな、という程度の意気込みだった。
敷物の上に並ぶ品々を眺める、おれ。
その時、一冊の本がおれの目に留まった。
その本の名は、"女をおとす100の方法"。
…何も言わないでくれ。
おれも必死なんだ。
想い人は、いまだにおれを"弟"の枠から外してくれない。
その枠を豪快にぶっ壊したかったんだよ。
おれは、その本をかなり買い叩いて購入した。
そして、その本を抱え、すぐに宿屋に戻った。
もちろん、早く読みたいという理由だ。
ルシャラをおとすための手段が得られるかもしれない。
おれはドキドキしながら本を開いた。