きっかけは今日の昼。
 街の広場で不定期に行われる中古市に出かけた事だった。



 中古市とは、その名の通りの市だ。

 売り手は地面に持参した布を敷き、その上に中古の品々を並べる。
 そして、客が来るのを待つ。

 客は並ぶ中古品の中から、目当ての物を探し出す。
 そして、可能な限り安く買えるように交渉する。

 まあ、どこにでもありそうな市だ。

 おれはその市を散策していた。

 別に欲しい物があったわけではない。
 良い物があれば買おうかな、という程度の意気込みだった。

 敷物の上に並ぶ品々を眺める、おれ。
 その時、一冊の本がおれの目に留まった。

 その本の名は、"女をおとす100の方法"。

 …何も言わないでくれ。
 おれも必死なんだ。

 想い人は、いまだにおれを"弟"の枠から外してくれない。
 その枠を豪快にぶっ壊したかったんだよ。



 おれは、その本をかなり買い叩いて購入した。
 そして、その本を抱え、すぐに宿屋に戻った。

 もちろん、早く読みたいという理由だ。

 ルシャラをおとすための手段が得られるかもしれない。

 おれはドキドキしながら本を開いた。

こうなりてぇ

 突然のエロス。

 おれの目はまるくなり、そのまま静止した。

 これは予想外。
 何故このようなエロ描写が、女をおとす100の方法に…?

 あぁ、○○○の○○で○が○○を○○に○○している。
 しかも○の○○を○が強く○○している。

 そのページを開いたまま放心していたおれは十数秒後、我に返った。
 そして、パラパラとページをめくって本の内容を確認した。

 開くページ、開くページ、エロス。

 何だコレは。
 エロ満載じゃないか。

 本をつかむ手から汗が浮き出てきた。

 おれは知らないうちにエロ本を買ってしまっていたのか?

 軽く確認した結果、女をおとす100の方法のうち、35がエロテクニックの解説だった。
 残り65が話術やプレゼント等で女性を喜ばせる方法。

 ただし、エロテクニックの解説に取られているページに比べると、残り65は一口解説に近い。

 エロテクニックは場合によっては、1つに3ページ取っている場合もあった。
 しかし、非エロテクニックの65は1ページにおよそ5つずつ掲載されていた。

 つまり、この本はエロテクニックが多数を占めており、ほぼエロ本だった訳だ。

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