ここで話の冒頭に戻る。



 おれは固まったまま、目だけを動かして周囲をキョロキョロと見回した。

 誰にも見られてないよな。
 真昼間からこいつはエロ本を読んでいたのかと思われるのは非常に不本意だ。

 誰もいない事を確認すると、次は冷や汗が出てきた。

「違う。そんなつもりじゃなかった!」

 周囲には誰もいないが、おれは弁明をしていた。
 そう、おれはエロ本を買うつもりなんかなかったんだ。

「くそっ!」

 この本、どうしてくれよう。

 自分の意思で買ったエロ本ならば、おれは全身全霊をもって見つからない場所に隠そう。
 しかし、おれはこれがエロ本だとは知らなかったんだ。

 しかし、そんな言い訳は通らないだろう。

 グレイ等の男衆に見つかればエロ本を持っていると冷やかされ、エファに見つかれば赤面されるだろう。
 ルシャラに見つかってしまえば…うわぁあ。

 ルシャラに発見されるシーンを想像し、震えたおれの手から"女をおとす100の方法"が滑り落ちた。



 なあ、どうしてこんな事になってしまったんだ?

不本意なエロ本

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