「ココに書いてある事が可能な状態で、まだおちていない状況なんて普通あるか?」
寝転がり、本をパラパラとめくりながら、マルティが呟く。
即座に、エイミーが鋭い返しをした。
「自分の事は棚上げ?
1番その"可能でおちていない"良い例なくせに」
マルティは表情を変える事はなかったが、本をめくるのを止め、静止した。
しかし、またすぐに本をめくり始め、
「そう言われれば、そうだな」
と軽くエイミーの発言を認めた。
否定しないんかい。
ただいま、おれはマルティの部屋にいる。
あの後、おれの忠告も意に介せず、マルティは解説を続けた。
エイミーもエイミーでメモを取り続ける。
通りがかる人にジロジロと見られる事に耐えられず、おれは無理やり2人をマルティの部屋に押し込んだ。
マルティは部屋に入った直後に解説を止めたが、ベッドに転がって本を読み続けている。
エイミーはマルティの部屋にあったアッペルの実を食べている。
おれはやる事がないので棒立ちだ。
「…読み終わってからで良いから、返せよ」
と、おれは控えめに返却を促した。
しかし、視線は本に向けたままのマルティから、
「そんなにコレを読みたいのか?」
という質問をされてしまった。
すかさず、
「そ、そんなに読みたいとは思ってない!」
と返すと、
「そうか。俺は読みたい」
と、おれとは異なる非常に正直な答えが返ってきた。