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手順3:機能を選ぶ

ハードディスク編


ハードディスクの選び方

ハードディスクは、パソコンの中でも最も頻繁に取り替えるパーツではないでしょうか?

12〜13年前は1GBにも満たなかった容量が、いまや100GBなんて当たり前の時代です。
初心者から上級者まで、誰しもがそのパワー不足に悩んでいるパーツではないでしょうか?

そんな悩めるパーツ、ハードディスクの上手な選び方をご説明していきましょう。


ハードディスクの種類

ハードディスクには、大きさによって2種類に分かれ、さらに接続方法で2種類に分かれます。

大きさによるハードディスクの種類

3.5インチ 通常、自作パソコンで使われるタイプ。
2.5インチ ノートパソコンなどで使われるタイプ。小型。

接続方法によるハードディスクの種類
シリアルATA シリアル転送タイプの新規格ハードディスク。
パラレルよりも高速な転送が出来る。
S-ATA 通常のシリアルATA
S-ATAU 速度が強化されているタイプのシリアルATA
S-ATAとしても使用可能。
パラレルATA パラレル転送タイプの旧規格ハードディスク。
CDドライブなどと同じ方式。
U-ATA66 転送速度が66MBの物。
U-ATA100 転送速度が100MBの物。
U-ATA66としても使用可能。
U-ATA133 転送速度が133MBの物。
U-ATA66/100としても使用可能。

通常の自作パソコンでは、3.5インチハードディスクを使用します。
2.5インチは、省スペースパソコンなどを作りたい時などに使用します。
どちらのハードディスクでも問題はありませんが、2.5インチにすると、別途、接続変換キットなどが必要になります。

接続方法に関しては、通常はパラレルタイプを使用しますが、最近ではシリアルタイプでも可能になってきています。
シリアルタイプを使用する場合は、マザーボード上にシリアルATAコネクタがないと使用できません。
また、シリアルATAのみを使用する場合は、使用するマザーボードがシリアルATAのハードディスクから起動可能な物かも確認が必要です。


ハードディスクの転送タイプと速度

ハードディスクの種類でも見ましたが、ハードディスクは転送タイプによって転送速度が変わります。
転送速度とは1秒間にどれだけのデータをやり取りできるかの量です。

転送速度はシリアルATAの方が、パラレルATAよりも速いですが、それはあくまでも理論値の問題であり、実際はそうではありません。
はっきり言ってしまえば、現在では、ハードディスクの速度は転送タイプとあまり関係ありません。
それは、実際のハードディスクのデータの読み書きの速度が転送速度に達していないからです。
現在のハードディスクはその構造上、良くてもせいぜい70MB程度の転送速度しか出ません。
ですので、U-ATA100以上の転送方式を使っていれば、転送速度には全然余裕があるのです。

実際にハードディスクの読み書きの速度を決める大きな要因は、そのハードディスクの回転速度と、応答速度と、記録密度と言われています。

ハードディスクの回転速度
 ハードディスクの中に収められている、磁気ディスクの回転速度で、色々な回転速度がある。
 3.5インチでは5400回転と7200回転の二つが主流で、その他に4400回転、10000回転、15000回転などがある。
 通常、回転速度が高ければ高いほど高速だが、発熱もひどくなる。

ハードディスクの応答速度
 ハードディスクの中には、磁気ディスクにデータを読み書きするためのヘッドと呼ばれる物があり、これをレコード針のように動かしてデータを読み書きする。
 このヘッドの移動速度が、データを読み書きの時間に大きな影響を与える。
 最近の物は皆高速で、ヘッド速度による読み書きの時間の差はほとんど無い。

ハードディスクの記録密度
 ハードディスク内の磁気ディスク1枚の記録容量の大きさの事で、通常ハードディスク内には2〜3枚の磁気ディスクが収められている。
 この磁気ディスクの記録容量が大きいと、1回転で読み書きできるデータ量が多くなる計算になる。
 容量の大きなハードディスクの場合、内蔵されているディスクの枚数が多くなる場合がある。
 また、容量が大きなハードディスクが、必ずしも記録密度が大きいとも限らない。

現在のハードディスクの場合、その速度を決める大きな要因は、回転速度です。
回転速度が速いものほど、速度も高速になります。


ハードディスクの容量

ハードディスクの容量は、現在は非常の大容量化が進み、1台で500GBもの容量を有する物も存在します。
しかし、この全てを、全部のパソコンが使用できるとは限らないのです。

マザーボードによっては、128GB以上の容量を正常に認識でない物があります。
また、OSによっても、認識できない物もあります。
主にソフト的なものが原因で、回避の方法も沢山ありますが、自己責任の範囲になってしまう場合がほとんどです。

一般的に、ハードディスクの容量には、8GB、32GB、128GBの所に制限があり、現在は128GBの制限にかかる可能性がいまだに残っている状況です。
128GBの制限に掛かる可能性のあるマザーボードは、比較的古め(Socket 370/Socket Aなど)のタイプで、BIOSのアップデートなどで回避できる事がほとんどです。
OSの制限はこれよりも厳しく、通常、Windows2000/XPでは、起動ドライブは128GBまでしか認識しません。
Windows98/Meでも、同様で、場合によってはさらに低い値になってしまいます。

通常、ハードディスクは128GBを越えるものはBigDrive(ビッグドライブ)と呼ばれ、マザーボード上にて対応されていないと使用できないことになっています。
現在では、ほとんどのマザーボードがビッグドライブ対応なので、あまり気にすることはありませんが、心配でしたら、シリアルATAに対応しているマザーボードであれば、確実に対応しています。
それは、シリアルATAが128GBの問題が出た後にできた規格だからです。

しかし、マザーボードが対応していても、OSが対応していない場合はどうしようもありません。
この場合は、そのハードディスクは128GB以下の容量と残りの容量で分割して使う(パーティションを切ると言います)事になります。
上・中級者の方なら、制限を解除して使用することも可能ですが、初心者の方はやめておいたほうが良いでしょう。
ソフトの操作はハードの操作よりも難しく、とても初心者向けとは言えないからです。


ハードディスクの上手な選び方

ハードディスクは、上手に選ぶのが中々難しいパーツです。
なぜなら、性能の指標が単純で、速い、遅いが簡単に見分けられてしまう物だからです。
つまり、一見して良い物、悪い物が簡単に区別がついてしまうのです。
ならば簡単、いいものを選べば良いじゃないか!とお思いになるでしょうが、実はここに大きな落とし穴があるのです。

まず、良いハードディスクと言う物の一般的な定義を見てみましょう。
 1.速い
 2.大容量
これだけです。

しかし、実は隠れた指標があります。
それは熱です。
ハードディスクの故障の最も多い原因は熱による破損です。
通常、ハードディスクは大容量・高回転の物ほど熱くなります。
つまり、良い物だ!と飛びついたら、故障しやすい物だったなんて事が良くあるのです。

ハードディスクを選ぶ際には、回転速度は5400回転を選ぶのが無難です。
7200回転の物は、5400回転よりもかなりの熱をもちます。
冷却を考慮に入れないと、故障などのトラブルに見舞われる事があることを念頭においておく必要があります。
たしかに、7200回転と5400回転では、結構大きな性能差にはなりますが、これはかなりの大きなファイルを扱わないと、体感できる物ではないのです。
そういった大きなファイルの場合、扱うとなると、それなりに時間がかかり、結果として待たされる事には変わりありません。
ならば、故障のリスクを減らすと言う意味でも、5400回転の方が有利になります。

接続方法に関しては、1台目(起動ドライブ=OSを入れるハードディスク)は、U-ATAにしておくのが無難です。
ハードディスクの種類のところでも書きましたが、マザーボードによっては、起動できない可能性が有るからです。
また、容量は、ハードディスクの容量のところでも説明したように、120G以下の容量にしておくのが無難です。
ただし、あまり小さい容量の物は避けた方が良いでしょう。
あまり用量が小さいと、すぐに一杯になってしまいますから(笑)
それ以上の容量を使用したい場合は、2台目以降の増設ドライブとして取り付けるのが、一番安全です。
2台目以降は、どの接続方法を使用しても、さほど大差はありません。
ただし、2台目以降を接続する場合は、当然、熱を考慮する必要があります。
ハードディスクを2台接続すれば、それだけケース内の温度は上昇する事になります。

価格に関しては、出来るだけやすいものを選んで差し支えありません。
ハードディスクは、メーカーが幾つか存在しますが、どこも性能的にはさして違いはありません。
ですので、安いに越した事は無いのです。
容量と価格のバランスは、1GBの容量単価が安めのものを選ぶのが良いでしょう。
ハードディスクは、比較的短期間に価格が下がっていく物ですので、大容量で高価な物を買うと、後で安くなったときに泣きを見ます。

ハードディスクを選ぶ際の注意

上手な選び方でも説明しましたが、ハードディスクはかなり熱をもつパーツです。
その割には、パーツ自体には冷却機構は存在せず、自然冷却に任せるのみとなっています。
ですので、取り付けに問題が生じない限りは、ハードディスクを冷却する何かを取り付ける事を念頭に置いたほうが良いでしょう。
何かとは、ケースに吸気と排気のファンを付けたり、ハードディスク自体を冷却するパーツなどを取り付けたりする事です。
ハードディスク自体を冷却するパーツなどは、ケースの都合上取り付けられない場合なども多いので、通常はケース内の通気性を挙げる事で冷却効果を高める方法を取ります。
これは、ケース選びでも重要になってくる事なので、しっかり頭に置いておく必要があります。
特に、複数のハードディスクを取り付ける場合は、熱に対して注意が必要です。

RAIDを考えている方は、容量に注意が必要です。
RAIDは通常、容量が小さい方に合わせられるので、同容量のハードディスクで無いと、無駄が生じてしまいます。
容量は、同じ表記の容量でも、各ハードディスクメーカーによって微妙に違うので、通常RAIDを組む際には、同じメーカーの同じ容量のハードディスクが必要になります。

中古に関しては、かなりお勧めできません。
ハードディスクは消耗品です。
中古の場合、かなり消耗してしまっている物も少なくありません。
ですので、ハードディスクは新品を買うほうが無難です。

増設ハードディスクの場合は、外付と言う選択肢も存在しますが、これには注意が必要です。
外付は、便利では有りますが、それが良く使うドライブの場合は、むしろ不便になってきます。
なぜかと言うと、いちいち電源を別で入れる必要があるからです。
また、数が多くなってくると、置き場とコンセントにも困ってきます。
また、外付は接続方法によっては、性能が大幅に下がってしまう場合もあります。
これは、USB2.0の場合に良く起こる事ですが、USB2.0は480MBの転送速度を誇りますが、これは全体の速度であり、USBを使用する機器が複数になると、その分、転送速度が下がっていきます。
常に全てのUSB機器が、480MBの転送速度を利用できるとは限らないのです。
外付は、自分の使用用途を良く考えて選択しないと、後で痛い目を見るので注意が必要です。

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