エピソード11(出頭)
夜、茨城から自宅に帰ると留守番電話が点滅していた。内容を聞いてみると、兄貴からの伝言で「哀川っ!この伝言聞いたらすぐに荷物まとめてそこから逃げろ!例の件、本部にガサ入れがあってお前以外3人パクられたぞ!お前の逮捕状も出てるから今すぐ逃げろ!あとの事は、組が何とかする…」マジかよ…とりあえず今すぐと言われたけどシャワーを浴びてから支度をし、某所に潜伏した。数日後、組からの連絡で主犯の哀川を出頭させないと組を解散にまで追い込むぞと警視庁から会長に連絡がきたから仕方が無いから出頭してくれとの事だった。出頭の前日、バーで飲み明かし実際に使った凶器のナイフを捨て、オモチャの殺傷能力の無いナイフを友人に借りた。出頭当日は組長や若頭に付き添われオモチャのナイフを持って出頭した。俺の任務は俺、哀川自身が、組員では無く、また凶器のナイフは殺傷能力が無かったと言い張る事だった。それが組からの指示だったのだが、何故か取調室まで組長が一緒について来られたので、取り調べられる俺は大変だった。何が大変かって、俺が刑事に「俺は組とは関係ありません」と言うと、刑事に「バカ野郎!じゃあ、さっきお前と一緒に来たのは、てめぇの組長と若頭じゃねぇのかっ!」拘留期間14日間俺はあれは知らないおじさんであの時初めて会いました。警察署の場所まで行くのに歩きじゃ大変だから送ってくれた親切な人ですと言い張った笑!ナイフはすぐにバレてしまった。先に捕まっていた共犯3人が丁寧にナイフの絵まで書いてくれて、間違いないですと署名捺印までしてあったからだ笑。持っていったナイフは普通のタイプの見るからにオモチャ。実際の物は7万円もする折畳式グリーンベレーが使用している軍用ナイフ。ダメだこりゃと思い観念した。犯行は認め、傷害、監禁、暴行の罪で起訴され懲役1年6ヶ月執行猶予3年の刑を言い渡された笑。ある夏の初めての出頭はシャバに出た時には秋だった笑!
エピソード12(警視庁24時間)
ピンポーン♪AM4:00。「おはようございまーす」早朝逮捕だった。ドアを開けると刑事がなだれこんできた。刑事がやけに張り切ってきたと思ったら後ろから某民放テレビ局が撮影用のカメラを持って入ってきた。刑事が小声で悪いな哀川、撮影されとるんや…。逮捕と同時にガサ入れもあった。わざと無いのは分かってるクセに「チャカは何処だっ!捜せっ」とかやってないのも分かってるクセに「腕見せてみろ!シャブやってねえだろうなぁ」とか痩せる石鹸(当時は流行っていた)を見つけるなり「何だこれはっ!」と大げさに刑事は振舞ってカメラに自分達の顔が映っていない角度になるとみんなニヤニヤ笑っていた。手錠をかけられマンションの玄関を出て車に乗せられるまで映された。取調べの時、悪かったなぁ実はうちの課長が…。要は裏取引があって見せしめに警視庁24時間で放映するネタを提供したということだった。逮捕は秋の事だったが、俺が起こした事件は(××県警、執念の半年間に渡る内偵捜査)という題名でテレビ放映され(当然モザイクあり)、翌年のワイドショーでまで俺の起こした事件は放映された。近所の人や知り合いはテレビを見てすぐに哀川だ!とわかったらしい。住んでたマンションまで映されたからねぇ笑!哀川は何故車に乗り込む瞬間手錠のはめられた腕を高々と上げてガッツポーズしなかったのかと無茶な事を言う奴までいた笑。早朝逮捕は自慢のリーゼントが乱れているのでヤメテクダサイ笑!
エピソード13(怖い話)
俺が20歳で両親と縁を切り一人暮らしを始めたアパートは良く幽霊の出る何故か新築の建物だった。ある日の事、姐さんからの電話を受けていると2階の窓に髪の長い女の人がブラッシングしている影がハッキリと映っていて、思わず俺は「姐さん、出ました!幽霊がぁ!」と叫んだ。姐さんは「またまた、哀川君たらふざけないでよ」と言っていたが本気でビビっている俺の声を受話器越しに聞いてどうやら本当らしいと信じてくれたようだ。電話を切っても切っても違う聞いた事も無い保留の音楽が流れ出し、仕舞いには夜寝て朝起きると冬用の生地の厚いスエットがナイフで20センチ位切り裂かれたようになったりし、どうなってるんだと大家に尋問したところ、「新築1年目なのに何故かこの部屋を借りた人もうあなたで3人目なのよねぇ…」と言われ変だなぁと思っていると今度は前の住人らしき人宛の郵便物が2回ほど届いた。内容はJAFの会員期限が切れたとかごく普通の書類だったのだが、良く見ると前の住人の名前が俺と同姓同名のが1通、名前は全然違うが生年月日が俺と同じのが1通、思わず寒くなった。俺はここに呼ばれて来たのだろうか?と…その話はまたたくまに組に知れ渡り兄貴分にはお前シャブやってねえだろうなぁと疑われたりもしたが、鼻がつまっていた俺はすぐにその疑いは晴れた。(シャブをやると鼻が通るからだ)本家の姐さんからも食事に誘われた際に「そういえば、哀川君の家幽霊出るんだって?そういう所は運を落とすから早く引っ越しなさいよ」とまで言われた。その家に住んでいた時、本部事務所に車で出かける時にワープして訳のわからない時間的に無理な所に行ってしまったりした。異次元にワープしなかっただけマシか笑!結局その家を引っ越すのと同時に組を辞めるのは同じ日になった笑!呪われたのかなぁ???
エピソード14(喧嘩)
喧嘩は勝った話をしだすときりがないので笑、半殺しにあった話をします。それは16歳の冬、家出をして回転寿司で働いていた頃、夜中の1時に店のシャッターをおろし、疲れたなぁと思いながら駅前を歩いていたら、いきなり7人組の年上の奴等に襲われて不覚にも一人のデブの体重アタックに蹴躓いたところ、ボコボコに蹴られ、ブロック塀を背に顔面を10発以上蹴りを入れられた経験がある。やられた後は案外ケロっとして、そのまま近所のコンビニに行くと後輩達がいて俺の顔を見るなり店員を含め大騒ぎになるくらいの顔に俺はなっていたらしくすぐに病院に担ぎ込まれミイラ男になってしまった笑!その後俺をやった不運な奴等は大変な目にあうことになったが、俺を狙った理由は俺が当時女にもてていて一人で何人もの女を連れて歩いていたのを目撃し、くやしかったから女にもてない顔にしてやろうと思ったと言いやがった。それ以来俺は女を連れて歩くのは辞めた(嘘) *告知・・・今月7月15日後楽園ホールで後輩で、ある意味先輩のプロボクサースーパーウェルター級日本2位川崎タツキ(草加有沢ジム所属)が桑名竜一選手と対戦するので是非行ける方は応援してください。東海エリアで潜伏中の俺は行けないので悔しいが、せめて全国ネットでテレビで放映されればなぁと思っています。
エピソード15(武器商人)
比較的、俺の住んでいたヤサは警察からのマークがあまりきつくなく、部屋の中に普通にブラジル式リボルバー38口径だのトカレフや弾が2発しか込められない装飾用拳銃が転がっていて弾も無造作にビニール袋にたくさん入れて床に置いてあった。メカおんちの俺はオートマチック拳銃をばらして掃除して組み立て直すなんてことはできないので愛用はリボルバーに限った。これらの武器は、ある武器商人から購入するのだが、その仲のいい武器商人の所にはマシンガンや手榴弾、ロケット砲のようなやつまで何でも手に入らないものは無いくらい武器があった。まったく売れない手榴弾の木箱が大量に置いてあったので、これは?と聞くと笑いながら「これはさぁ中国からの密輸品なんだけどパイナップル(米軍が使うような軽い小さい安全ピンを抜いて投げるオーソドックスな手榴弾の呼び名)を頼んだつもりなのに、1個20キロ位ある投げてもその辺落ちて自分が死ぬような手榴弾が届いてまいってるんだよ、中国じゃこんなに重いのを平気で兵隊が投げるらしいよ…」まるで砲丸投げに使うような手榴弾、日本じゃきっとマニアにしか売れないだろうと思った笑