エピソード116(その男狂暴1)
ヤクザ社会では親分が命令しなくても親分の心を察し子分が行動する事がある。
俺は間違っても親分ではないが、一緒に行動していた男で狂暴で俺の代わりを迅速にやってしまう奴がいた。九州男児のその彼は、身長が190センチもある大柄でクマのような奴で俺がちょっと独り事で「ちっ!あの野郎…。」と言っただけで、該当者を半殺しにしてしまうほど危険な人物だった。
ある日、首都高速をその彼とドライブ中、俺が運転していたのだったがタクシーが無理矢理割り込んできてぶつかりそうになった。俺が「ちっ!何だこのタクシー。」そうつぶやいただけで彼は車から降りタクシーを停め運転手を引きずりおろそうとしたのだった。さすがの俺も、ここって首都高速だぞっ!?唖然として車を降りたのだった。もちろん首都高速はいつも渋滞してるが、なおさら渋滞した(笑)。
すると後方で渋滞にはまっていた正義感溢れる大型トラックの運転手がトラックを降りてきて文句を俺達に言ってきた。九州男児の彼はタクシー運転手に執着していた為、俺がトラック運転手に「何じゃ!コラァ!もういっぺん同じ事言ってみろやぁ!殺すぞ!。」と怒鳴ると運転手は走って逃げてトラックに乗り込みロックしやがった(笑)。
まぁ、あまり事が大きくなると厄介だったので俺は狂暴な男をなだめ車に乗った(笑)。
何故?俺が運転していたか?一度彼に運転をさせたら、やっぱり高速道路で大型トラックに頭が来たらしくその大型トラックの前に飛び出し、事もあろうか時速140キロ走行なのに急ブレーキをかけて運転手を引きずり下ろしたからだ。さすがの俺も寿命が縮まると思い、その時から自分で運転をするようになった(笑)。
エピソード117(その男狂暴2)
出所してきたばかりの兄ぃB氏と車屋に行った帰り道の出来事。俺の運転だったのだが、突然右車線を走っていた大型トラックがウィンカーもつけずに俺の運転する乗用車に幅寄せをしてきたあげくにすれすれで割り込んできてブレーキまで踏みやがった。うわっ!危ねえなぁ…後ろに乗せてる兄ぃに怪我でもされたら大変じゃねえかっ!と内心思いながら俺は購入する予定の車の事なんかも考えたりして運転をそのまま続けようとした。
すると、後ろに乗っていた兄ぃは「哀川!飛ばせっ!あのトラックを抜かせっ!。」と騒ぎ出した。言われるがままに俺はアクセルを全開にしトラックを抜いた。すると今度は「トラックの前に出て急ブレーキ踏め!。」と怒鳴りだした。
別に良いけど後ろに乗ってるのはアンタですよ…相手は大型トラックなんだから停まりきれなくて突っ込まれたらこっちが死ぬっつうの!と内心思った。
しかし、兄ぃは「いいから俺に構わずやれ〜っ!。」俺はどうなっても知らねえぞっとヤケクソになってトラックの前に出て急ブレーキを踏んだ。
トラックは見事に歩道に突っ込みそのままガソリンスタンドまで突っ込んだ。うわっ怖っと思って停まった俺がフ〜ッと呼吸を整えていると、そんな暇は無かった。兄ぃは車を降りてトラックめがけて走り出しトラックのハシゴを駆け上り窓が開いていた運転席から相手の運転手をボコボコに殴りだしたのだった。
オイオイ!マジかよこの人…思いつつ俺もついでにハシゴに登り吸っていたタバコの火を相手の顔におしつけて、泣きながら許して下さい〜と言ったその運転手に捨てゼリフを吐いてやった。「相手見て運転しろや!バカ野郎!。」「わかりましたからもう勘弁して下さい〜。」と大の男が泣きながら言うので許してはやったが…俺が乗っていたその時の車はボロボロのカリーナのバンでした(笑)。
相手見てといってもこんな車にまさかヤクザが乗っているとは相手も思わなかったのだろう…不運な奴だと思ったが、そいつのおかげで俺は追突されて死ぬのを覚悟して急ブレーキ踏まされたんだぞっ!ボケッ!とも思った(笑)。
しかし、懲役から帰ってきて2日目でこんな事を平気でやる兄ぃが恐ろしかった(笑)。
エピソード118(その男狂暴3)
ある週末、俺は金が無く飲みにも行けねぇなぁ…と思っていたら例の九州男児から電話がかかってきた。俺が金ねえからくずぶってんだよと説明したら、彼は当たり屋を今からしに行こうと言い出した。待ち合わせ場所に行くと何故か彼は薩摩焼酎をビンごとラッパ飲みしていて、俺に「酔っ払ってれば酔ったせいにできるから哀川さんも1杯付き合いませんか?。」と言い出した。さすがにストレートで割りもせずに薩摩焼酎は…と思い飲んだふりして飲まなかったが(笑)。
いざ、街中に繰り出したのだが車が当たらなくても「お前!ぶつけただろっ!。」と言って彼はクマのような巨体で馬鹿力を出して相手のドライバーに有無を言わさずコテンパにしてしまうのだった。オイオイ!あんた、ちょっとやりすぎと内心思ったが当たり屋といえば金を相手から合法的に戴かなければ意味は無い。金集めは俺の仕事…。
ものの3時間のうちで何十万円も示談金をゲットした俺達は夜の街へと酒と女を求めて消えて行った(笑)。
彼は、俺が示談書まで書かせぶつけた事まで相手に認めさせ家にまで押しかけてその場で現金をゲットしていく錬金術を見て「やっぱり哀川さんは怖い・・・。」とつぶやいた。
俺にしてみればぶつかってもいない相手にぶつけましたと認めさせるアンタが怖いと思った(笑)。
エピソード119(ある車屋)
ある時、30万円で車を買おうとして雑誌を見て都内某所の車屋へ行った。
そして俺は無謀にも諸費用込みで30万円で外車を買おうと決意し、見た目の良い丸目4灯のフォルクスワーゲンゴルフを購入しサーファー仕様にした笑!。しかし、さすが安物一ヶ月もしないうちに壊れたのだった。
そこで俺は買った車屋に文句を言い、無料でアウディと交換させた笑!。しかし、安物の壊れた車と交換した車だけに台風で車の中は池になってしまった。そこでまたもや俺はアウディと今度は外車では無くトヨタマークUと無料で交換させた。
たった、30万円の予算で3台も車を乗り換えられたのだ(笑)。しかし、さすがに3台目ともなると相手の車屋も泣きが入ったらしく某暴力団の名刺を俺に見せ「うちの店も一応バックがついてますので…。」と言ってきた。
俺は内心ラッキーと思い、車屋にこう言ってやった。「ほ〜う!俺がヤクザだと解かっててヤクザ者の名刺を出したって事は、これを機にヤクザ同士の抗争でもさせようってのかい?おたくらヤクザ者に毎月守代払ってんだろう?そんなんじゃ抗争には、もっと金がかかるから余計に金せびられてこの店は潰れたも同然だなぁ!。」おかげ様で3台目のマークUは諸費用込みで30万円じゃあ絶対買えない壊れない安心して乗れる車になりました笑!
エピソード120(ランパブ)
ある夜、兄貴分が縄内のランジェリーパブに行こうと言い出した。
俺の縄内の店で毎月、俺が集金に行っていた店で俺の舎弟がよく気に入って通っていた店だったので、飲み放題でウーロン杯を出せという兄貴分のワガママを店長に頼んでOKさせた。
俺の兄貴分は一家内でも酒癖の悪さは有名で一緒に酒を飲みたがる人はあまりいなかった。その日もどうなる事やらと思いつつ先ず最初の2時間が過ぎた。延長をしてさらに1時間後ついに兄貴分の悪酔いが始まった。
むかいの席に座っていたもちろんランジェリー姿の女の子に「てめえ!何で服着てね〜んだ!。」とからみだし、しまいには「パンツ脱げ!。」と怒鳴りだした。女の子は泣き出した。店のマネージャーも「勘弁して下さいよ〜女の子辞めちゃうじゃないですかぁ・・・。」と言いにきて何とか店の外に兄貴分を連れ出した。その後、組に店からも連絡が入り、組長から厳重注意を受け兄貴分はその店に出入り禁止を言い渡され、後日俺が店に謝りに行き
舎弟もいつもニコニコ現金払いでその店に通って信用は回復され、その年の年末には店からビールの差し入れがあった。それにしても兄貴分が本気でパンツを脱がせようとしたのには困った(笑)。