エピソード151(歩き方)
兄貴分と姐さんと3人で忘年会として飲みに行った帰り道、後ろから歩いてきた姐さんが「あんた達二人とも歩き方がそっくりねぇ。」と笑いながら言った。そう、いつも行動を共にしていると仕草まで似てしまうらしい(笑)。
俺の歩き方、まぁ何処にでもいる不良の歩き方なのだが…、ある時に東京都心のオフィス街で金融屋を始める事になり小切手専門の金貸しだった為、客は全員会社経営者ばかり…。やはり、こちらも身なりを堅気らしくして笑顔満面で接客し時には送り迎えすらしなくてはならないのだったが、最初に協力してくれた他の金融グループの方々に注意されたのが歩き方だった。しかし昼は金融屋でスーツにネクタイをきちんと締め、夜はヤクザ者では何ヶ月経っても歩き方は直らなかった(笑)。
他所の金融屋の人達が「遠くからでも哀川さんが歩いているのが良くわかる。」とか、「肩で風切って歩いてるもんなぁ。」なんて言われて、からかわれた笑!。
堅気になった今、未だに歩き方は直りません(笑)。
エピソード152(都会)
歩き方が、まんまヤクザ者だった俺だが金融をやっていた頃は事務所の場所が場所なだけにオフィス街を当然歩いて根抵当権設定やら電話加入権の書類やら色々な書類を抱えてサンシ〇イン60のエレベーターに乗ったり電話局に行ったり時には文房具を買いに東〇ハンズに行ったりと昼間の街中を徒歩で移動していた事も多かった。
当然きちんとした身なりだったのだが、道行くすれ違う人達は俺をよけて通っていた気がする笑!。しかし、ある時スーツを着た外国人のサラリーマン5人くらいの男女が俺に道を尋ねてきたのだ。やはり外国人には俺がヤクザだという事は解からなかったらしい(笑)。
国際社会だし道を英語で尋ねられた俺は格好良く都会のビジネスマンらしく答えるつもりだった。
英語は得意なので「Excuse me.Where is the bus stop of a nearby subway?」と突然話し掛けられ、あぁ一番近い地下鉄の乗り場が何処か?って聞かれてるなぁと思ったのだが…緊張の余り答える言葉が出てこなかった。俺は外国人の方達に一言で答えた。
指で指しながら「あっち。」と日本語で(爆笑!)。しかし、外国人の方達は笑顔で「Thank you」と言って急いで俺が指差した方へ歩いていった。
俺みたいなのが英語を話せて当たり前のように見えたのだろうか?それともメガネをかけていた俺がエリートサラリーマンにでも外国人には見えたのだろうか?どっちにしても英語で最初に「Can
you speake English?」と聞かれなかった事が嬉しくその後しばらく与太った歩き方を辞め事務所までの道程をエリートっぽく歩いてみたアホな俺だった笑!
でも、日本人から見たら与太って歩いてる様にしか見えなかったかもしれませんが…(笑)
エピソード153(パチンコ屋)
俺はギャンブルというものは16歳の時、浅草場外馬券場で30万円の1点買いをして大負けして以来やっていない(笑)。人生そのものがギャンブルなので、これ以上わざわざギャンブルに金をつぎ込むのを辞めたのだった。
パチンコは5歳くらいで父親に連れて行かれ暇つぶしにやって勝ったみたいだったが音がうるさいし、あまりにも面白くないという印象が強すぎてパチンコ屋嫌いになった。
しかし、組内にもパチンコ好きの兄ぃがいて待ち合わせ場所にいつもパチンコ屋を指定してくる俺にとっては最悪な人だった。俺は嫌な事があるとすぐに顔にでてしまうので、その兄ぃもそれに気付いたらしく俺をあまりパチンコ屋には呼ばなくなった。
ある日、その兄ぃは奥さんも子供もいるのにパチンコで生活費を全部失ってしまい、見るに見かねた俺がその兄ぃの家族に晩御飯を御馳走し、10万円の生活費をあげた。
しかし、翌日にはその10万円はパチンコ台に飲み込まれてしまったのだ。呆れ果てた俺はこれじゃあ豚に真珠か猫に小判みたいだな…と思い相手にするのを辞めた(笑)。
当然、そんな兄ぃだったから逮捕され懲役に行く事になった瞬間に面会に来た姐さんに離婚届を持ってこられ塀の中でノイローゼになり出所後はすぐに組から行方をくらました笑!。
現在、俺が潜伏している東海エリアはパチンコの街として有名でパチンコで借金まみれの人も多く、顔をあわせりゃパチンコの話題で盛り上がる…。ついていけない俺にとっては居心地の良い街とは言えないのが難点である(笑)。
エピソード154(浮浪者)
留置所もこの時期冬になると浮浪者が寒さの余り無銭飲食や酒をかっぱらった等の罪で大勢入ってくる。浮浪者とは寝床やコンビニの期限切れ弁当などを漁って元々生活してる方が多いのだが彼等にも縄張りというものがあり、縄張りを荒らされると喧嘩になり殺人事件にすら発展するケースも珍しくは無い。
そんな彼等の身に染み付いた習性なのだろうか?留置場内で畳1畳分を俺の縄張りだから足1歩すら踏み入れるな!と本気で怒っている人がいた。
みんな呆れ顔でこのオッサン何とかしてくれよ〜っと嘆いていた事がある(笑)。
せいぜい畳3.5畳分しかない留置場のオリの中で1畳も縄張りにされたら…まぁ、俺のいたオリの中の出来事ではなく隣りのオリの中の出来事だったので俺にとっては笑い話ですんで良かったのですがっo(^-^)o
エピソード155(占有の苦労)
闇金融、朝の出社も遅いし昼休みはレストランの出前で焼肉ライスなんか毎日頼んで終業はPM5:00で土日祝日完全週休2日制。
通勤はもちろんベンツのSクラス。
年中終業の後はクラブに酒を飲みに行き…こんな楽な事ばかりでもなかった。
月末近くなると借金を踏み倒して夜逃げする者が続出するのだ。それを電話連絡や無言電話で常に夜逃げしないか客を監視していなければならず、客が夜逃げした時には誰よりも早く逃げた相手の自宅やら会社やらを夜中だろうが何だろうが押しかけなければならないのだ。
要するに客の持ってる土地建物の権利書に根抵当権や短期賃借権などを設定して金を貸しつけるので、そんな金貸し同業者は他にもたくさんいるので一番乗りで先にその物件を押さえた者の勝ちなのだ。まず現場に着くと電話でいつも御用達の鍵師を呼び玄関の鍵をそっくり取り替えさせ自分達しかその物件に出入りできなくする。そしてそこに後から来る同業者を追い払う為に寝泊りしなければならない訳だが、大抵夜逃げする会社の社長の自宅なんて掃除もしていない汚いってのが相場でゴキブリがたくさんいそうで寝るに寝れない場合が多かった。
一度、あまりにも汚くて一緒に占有しに行った人と近くのビジネスホテルで泊まる事にした事があったのだが…その人のイビキが強烈で朝まで結局眠れなかった事もあった。
あの業界も月末や年末は胃がキリキリしている人も多いだろう(笑)。