エピソード166(臭い飯)
塀の中のメシを中では皆エサと呼ぶ。今日のエサは何だ?という具合に同囚に聞いたりする。
ある日の事、同じ舎房でエサを食べていた某一家の組長さんがポツリと一言・・・「良く務所のメシを臭い飯って言うけど確かに麦シャリ(麦飯)の臭さは少しはあるけど本当に臭いのは飯を食べる所にある便所の臭さだよなぁ。」とおっしゃられた。
そう、舎房の中に当然便所もあるわけで今ではすっかり水洗が当たり前だが昔は…なんて考えたら確かにそうかもしれない!メシが臭いのでは無く食べる所が臭いのだ(笑)
まぁ、どんなにいい香りのする所でも二度と塀の中のエサは食べたくありませんけどねっ笑!
エピソード167(セーラームーン)
その日は、兄貴分の娘さんの誕生日だった。いつものように事務所を出てから兄貴分と車で移動中、兄貴分が赤ちゃん本舗という子供のおもちゃ屋さんに一緒に行ってくれとおっしゃられたので見るからに極道2人は店に直行した。店内に入り売り場へと歩いて行ったが、いかんせん兄貴分のお子様は女の子で欲しがっているのはセーラームーンのなんとかちゃんという名前は忘れたが当時なかなか手に入らないキャラの人形だった。
しかし、当然の事ながら俺も兄貴分も極道がセーラームーンのキャラなど知るはずも無くたくさん置いてあるセーラームーンの人形の前で人形とにらめっこしていたのである。
二人してそのなんとかちゃんを知らずになんとかちゃんを探していたのだが極道二人でそんな所で人形を眺めている姿…きっと様になってねぇだろうなぁと思って店員に勇気を出して俺が「あのぅ…セーラームーンの〇〇ちゃんってありますか?」と尋ねた。
店員も俺を見てビックリしたようで更に売り場へと案内されてそこにおられた兄貴分を見て更にビックリした様子だった。結局お目当ての商品は無かったので店を出たのだが、売り場で人形を眺めていた極道二人を若いお母さん達は怪訝そうな顔をしたりクスクスと笑っていたり…こっちだって好き好んでセーラームーンの人形なんて探したくないわいっ!本当に恥ずかしいひと時でした(笑)。
エピソード168(行きつけのガソリンスタンド)
俺が極道になって間もない頃、兄貴分が「〇〇スタンド行ってガソリン3千円分入れて洗車と車内清掃してもらってきてくれ。」と俺に頼んでこられた。
しかし渡された金は3千円きっかりで俺は3千円だけで洗車と燃料代こみなのか?そんなんじゃ大して燃料入らないじゃん?どーゆー事?と思い再度兄貴分に尋ねた。「兄貴…燃料は3千円分きっちり入れるんですよねぇ?洗車は自分がすればいいんですよねぇ?。」と…。すると兄貴分は「行けば分かるよ。〇〇組の者だと言って3千円で全部やれって言えばいい。」とおっしゃられた。そんなサービスの良いガソリンスタンドなんかあるのかよ?と思いながらスタンドに兄貴分の車を運転していき言われた通りに3千円店員に渡すと驚いたことにちゃ〜んと燃料は3千円分入っており車は外も中もピカピカになったのだ。
もちろん、俺もそれ以来自分の車に燃料を入れるのもそのガススタで決り文句の「〇〇組のもんだ。ハイオク満タン洗車付きで!」と言うようになったのは言うまでも無い(笑)
エピソード169(ホモの舎弟)
俺は極道になってから1年もしないうちに自分の舎弟ができ移動は全て運転手付きだった。舎弟はほとんど俺に付きっきりで全て組の用事が済んだ後は夜の繁華街で女の子達がたくさんいる店で深夜まで俺の酒に付き合い俺の自宅に帰った後は洗濯もしたりしていた。ある日の事、行きつけの店で酒を一緒に飲んでいた時の事…テーブルについた女の子が舎弟が席を外しトイレに行くと俺に小声でこう尋ねてきた。「哀川さん、あの方は哀川さんの舎弟でしょ?失礼ですけどホモなんですか?。」と…。
はぁ?何言ってんだコイツと思ったが「何でそう思う?」と女の子に聞くと女の子は言いづらそうに「だってあの方は私が哀川さんと話しをして楽しそうにすると凄い目で私の事を威圧してくるんだもん。」と答えたのだ。まさか…俺の舎弟がホモで俺に惚れている!?そんな馬鹿な…と内心思ったが舎弟がトイレから戻ってきて席に座り俺が女の子と話しをしだすと本当に彼は女の子を睨みつけていたのだった(笑)。
俺の舎弟はホモなのか!?動揺してその日は酒に酔えなかった(爆)。
極道の世界にはホモもたくさんいるのは当たり前の話で塀の中でもラブラブになってる極道や塀の中で男を覚える男もいるのも事実だ。ちなみに俺は男には興味はない(笑)
エピソード170(ホモの舎弟2)
俺の舎弟がホモっ気があると知ってから、ある正月を迎えた時の事なのだが当時はあまり携帯電話は普及しておらずポケベルの時代だったのでポケベルの電波が組から届かない所でゆっくりしたいなんて思い急遽舎弟に「おい!明日から正月だから温泉にでも行って当分東京には戻らねぇぞ!そのつもりで支度しておけ。」と伝えた。
そして宿も予約していないのに元旦早々舎弟の運転で伊豆へと向かった。現地についてから適当に小さな宿なら泊めてくれるだろうなんて無謀な旅だったのだが酒を飲みまくり露天風呂に貸切状態でゆっくりと浸かり…そして当日予約した宿泊所に着いた。部屋を案内する宿泊所のおやじが怪訝そうな顔で俺達2人を見つめながら部屋を案内してくれた。古ぼけた一軒家のような所で家の前に駐車場が車1台分止められるような所だったのだが入り口のドアを開けてビックリ部屋には大きなピンクのダブルベットがど〜んと置いてある…どっからどう見ても…ここはラブホテルじゃね〜か!!!(笑)
いや笑い事じゃすまないのだ何故なら俺の舎弟はホモなのだから…(爆)
舎弟は何故か嬉しそうにニコニコしていたのだが当然俺はベットで寝て舎弟はコタツで寝た。
ピンクのダブルベットを見た瞬間またしても酒の酔いはどこかに吹っ飛んだのは言うまでもない(笑)。