エピソード171(新年の決意)
ある年の初め、古くからの友人と俺達これ以上つるんでいても自分達の名前に奢り高ぶってしまってこんなんじゃお互い人間成長しないから一時的に解散してそれぞれ自分の道をまたただの無名の男として知らない土地で一から鍛え直そうなんて青臭い事をお互い決意して、「じゃあ、また一年後か数年後にでもどっちが出世しているか楽しみにしようやっ!じゃあな。」な〜んて言葉を交わした事がある。
がしかし…事もあろうか俺は別れを告げたその直後に荒川土手で300馬力オーバーのモンスターマシンに乗り四輪パワードリフトの練習をして真夜中だというのに土手の段差に気が付かずに車輪が地面から脱輪して身動きが取れなくなってしまったのだ笑!。
深夜1:00をまわってしまっていて助けを呼ぼうにもどうにもならない…で結局電話をして駆けつけてきて俺の車を引き釣り上げてくれたのは、さっき新年の決意をしてしばらく会わないと約束したばかりの友人だった笑!。泥まみれになって車を引き釣り上げた後、面目が無かったのは言うまでもなく情けなかったが、二人して大笑いして「じゃあなっ!」と言って帰路についた。
あれから10年以上が経ち、その友人とは今も連絡を取り合ってはいるが俺は東海エリアでくすぶっており友人は東京にはいるがくすぶったままである(笑)。
エピソード172(塀の中の新年)
塀の中にも正月はある。普段はPM9:00就寝なのだが大晦日に限って特別に紅白歌合戦を最後まで各舎房内の備付けテレビで見ることができる。おせち料理やら菓子やら大きいきな粉餅やら、まぁ食べきれない程の豪華!?メニューが出され正月休も娑婆並みにあり、その間は色々集会なんかがあって小さい体育館のような所(施設内)で映画が見れたりもする。さすがに初詣は行けませんが…(笑)
そして皆、あと何ヶ月、あと何年すれば娑婆に出られると…いくら穴が空くほど眺めても決して日数が縮まるわけでも無い新年のカレンダーとにらめっこしていたのであった笑!
エピソード173(ワイドショー)
今頃の時期になると思い出す。関東某拘置所から雪のちらつく朝、新年元旦までには娑婆に出ていたかったなぁなんて思いながら迎えの車に乗り当時潜伏していた埼玉某所に戻った。戻ったといっても逮捕される前の潜伏先は当然何ヶ月もの間家賃滞納になっていて既に賃貸契約は無効になっており新居へと向かった。新居に着く前に酒の席を用意してくれた方の家にお邪魔し、少量の酒で良い気分になって新居に着いた。
今日からここが俺の潜伏先かぁ…玄関の前が田んぼかよっ!でもまぁ住む所があるだけマシかぁなんて思いながら部屋に入りコタツに入って寝そべりテレビをつけた。
そしてワイドショーくらいしかやっていなかったのでボケーッと見ていると、ある事件の被害者達が顔をモザイク入りで声が変声機で変えて「こんな風に騙されました。」とか言っていてなんか聞いたことのある事件だなぁ…なんて思って更にボケーッと見ているとワイドショーの司会者が「これがあの事件の証拠品です。」と言ったのと同時に映された証拠品は・・・紛れも無く俺の物でした笑!。
当時世間を騒がせた詐欺事件の主犯・哀川力(HN)がやった犯罪を当の本人が娑婆に出てきたというのにまだやっていたのであった。
新年早々娑婆に出てから初めて見たテレビで自分の事を特集されていたのは寒かった(笑)
エピソード174(手切れ金)
初めての女がシンガポールの女でブラジル人とも1月の間暮らしていた変わっている俺だが当然多くの同じ国籍の日本人ともお付き合いはさせていただいた。まぁ俺自身が変わり者なので類はビトンをじゃなくて友を呼ぶので変わり者が多かったのは確かだが…(笑)
先ず根本的に自分が不良なのに不良関係の女とはルックスがいくら好みのタイプでも付き合いたいとは思わないところがアホなわけでして…(・m・
)プププッ
過去にお付き合いした女性は天然ボケしているような世の中知らない実家が金持ちみたいな娘ばかりでした(笑)
だからなのかいつも恋の終わりは突然やって来て…一番笑えて一番悲しかったのは、たった一月しかお付き合いしていない女性に「ごめんなさい…今日、実は結納を済ませてきたんです。」なんて言われて俺の銀行口座に振り込み名義人「ズルイ女」金額20万円なんてのが振り込まれて以後音信不通になった事だった。オイオイ!俗にいうこれが手切れ金ってやつかよっ!と笑えるようで笑えない出来事だった(笑)。
ん?一ヶ月たったの20万円?な〜んて笑ってこれを読んでる貴方はきっと結婚詐欺師かホストクラブの兄ちゃんでしょう!?(笑)
エピソード175(偽ROLEX)
一時期本物ロレックスそっくりのムーブメントが日本の大手時計メーカーなんていう本物より故障しにくい?偽ロレックスが大量に出回った。
ある日の事、都内某所の金融ビルの事務所に兄貴分がロレックスをしていつものベンツで現れた。俺が兄貴分のベンツをパーキングに入れて事務所に戻ると兄貴分がニヤニヤしながら俺に「このロレックスいいだろう?安くするから買うか?」と言ってこられた。
しかし俺にはオメガやタグホイヤーなどの時計があった為、買わなかった。兄貴分は他のみんなにも自分自身が身に付けていたロレックスを買わないか?と冗談半分で言っていたらしく数日後、他の金融屋(一般人)の人が俺に「哀川さん、哀川さんの兄貴分がしているロレックスって幾ら位で売ってくれるんですかねぇ?」と聞いてきた。俺は兄貴分から聞いていた値段をその人に伝えると即決でその人は買う事を決めた。
翌日、兄貴分に「ロレックス買いたいって人がいたから値段言ったら即決でしたよっ。」と伝えると何故か?兄貴分は渋い顔をしてロレックスを手放す事に躊躇しているようだった。
結局、その人があまりにも欲しがっていたので売却したのだが…数年後、そのロレックスを購入した彼から電話が俺にあった。
「哀川さん、だいぶ前に買ったあのロレックスだけど…まさか偽物なんて事はないよねぇ?哀川さんの兄貴分に本物ですか?なんて聞くの失礼だから聞かずに買ったんだけど…。」と、俺は「保証書や鑑定書みたいのないの?」と聞くとどうやら無いとの事だった。色々話しを聞いてみると、どうやら間違いなくそのロレックスは偽物だったらしい(笑)。その時になって初めてわかった…あの時、兄貴分が手放すのを躊躇っていた理由が(笑)
その後、その偽物をつかまされた彼はヤクザなんて二度と信用しないと言って音信不通になったのだが保証書も鑑定書もついてない物をいくら安くするからって言われたからって何十万円も払って買うアンタもアンタだろう!と思いながら、あぁあの時俺、買わなくて良かった(笑)と思った。
偽物でも身に付けている人がそれなりの人だと騙されてしまうもんなんですかねぇ?(・m・ )プププッ