エピソード191(麻雀)
ハウス麻雀なんてぇのが流行った頃、うちの一家の組長達も各自宅やら事務所に全自動麻雀を購入し近所の商店街の主やら、とにかく麻雀好きで暇人な金には困ってないぞ〜みたいな人達を集めては毎晩徹夜で麻雀をやっていた。
もちろん子供が遊びでやってる麻雀では無いので金も相当動くので皆真剣にやっているのは当たり前なのだが…そんな所に呼び出されて黙って休めの態勢でずうっと立たされ灰皿に溜まっていくタバコの吸殻を捨てるのも若衆の仕事だった。
組長が勝っている間は機嫌が良いのでいいのだが、そのうち負け出すと負けを何かのせいにしだすので困るのだ。しまいには夜中の3時頃だというのに腹が減ったから焼肉弁当を買って来い!だのと無茶な注文を言い出し、買いに行った若衆が戻ってきて・・・「組長!探したんですが焼肉弁当こんな時間じゃ何処にも売ってないですよぉ。」そりゃそうだ夜中の3時に売ってる焼肉弁当なんか組長連中の舌に合う物なんて売ってる訳がないのだが、「何ぃ?てめえ等が焼肉弁当早く買ってこねぇから負けてんじゃねえかっ!」と怒鳴り出す。そんなこんなで大抵ハウス麻雀に呼び出された若衆は八つ当たりの的にされるのがオチなので俺は一度顔を出した事はあったが何が悲しくて一晩中みんなの灰皿の掃除しなきゃなんねぇんだっ!と思い再びハウス麻雀に顔を出す事は無かった(笑)

エピソード192(当たり屋)
兄ぃの中に金が無いからちょっと金作るかぁなんて言って車を運転中に信号待ちで停まっている時にバックギアに入れて後続車に自分からぶつかり車を降りていって「何しとるんじゃあっ!」と相手を一喝しビビらせておいて弁償させるなんて人がいたのだが、俺のグループはもっとひどくて完全に当たってもいない車の運転手に追い掛け回して運転手を車から引きずり下ろして、その間に相手の車をグループの中の1名が勝手にどこかに運転していきバンパーにブロック塀などで傷をつけて、「ほれ見てみろやっ!これはお前が今俺らの車にぶつけた傷とちゃうんか?コラ!」と言って免許を取り上げ住所を確認して相手の自宅まで押しかけて現金で即行弁償させるなんて事もしていた。皆さん、当たり屋に出会ったら間違いなくその場で示談しないで警察に通報しましょう。まぁ通報できる状況ならですけど…(笑)
エピソード193(代紋の力)
皆様ご存知の通り全国の任侠団体にはそれぞれ代紋というのがあり、俺がいた一家も当然代紋はあった。しかしながら一家が小さかった為、一家の名前はおろか代紋なんぞ日本全国に知れ渡ってるわけもなく、一家の名前や代紋の威力でシノギをした事もなかった。
元々「ヤクザが何ぼのもんじゃい!ヤクザが怖くて不良がやってられっかよっ!」というタイプの人間だった俺は一家が有名かどうかなんてどうでも良い事だった。
ある日、自慢のスポーツカーを運転していた時に見通しの悪い交差点で出会い頭の事故というやつを朝っぱらからやってしまった。相手の車は見るからにヤンキー仕様車で運転していたのもヤンキー兄ちゃんで…ヤンキー君は怒鳴りながら車を降りて俺の車に歩み寄ってきた。
が、しかし俺の車の数メートル手前まで来たはずのヤンキー君は顔を引きつらせながら急いで回れ右をして自分の車へと戻って行ってしまったのだ。はぁ???何だアイツ?と思って仕方がないから今度は俺が車を降りて相手の車に近づこうとしたのだが、ふと自分の車のダッシュボードに目をやると…はは〜んなるほど昨日某指定暴力団の襲名披露に出席した際に戴いたドデカイ代紋入りの襲名披露の分厚い名簿が置きっぱなしになっていた。
完全に戦意喪失したヤンキー兄ちゃんから事故の過失割合10:0で俺の車を全額弁償させたのはいうまでもない(笑)
エピソード194(塀の中の懲りない計画)
刑務所に入り、何年もの間塀の中で生活をしていると中には本当に出所したらマジメに生きようなんて人も僅かながらいるのかもしれないが、俺がいた再犯刑務所のように前科13犯のような人間がゴロゴロいるような所では出所した後は次はどんな犯罪をしようか?と真剣に考えている者のほうが多かったような気がする。500円玉の偽造を企む者や派手に車ごと宝石店に突っ込んでギャング映画のように強盗を企む者、一番凄かったのは原子力発電所を占拠して国家転覆を企む者までいた。彼等が現在その計画を実行しようとしているかどうかまでは俺にも分からないが、この俺もやはり色々な計画は立てていた(笑)実行???してたら今頃また塀の中だろうなっr(-●_●-)
エピソード195(窃盗のプロ)
車をまるごと盗んでしまう海外のプロの窃盗団とも接触した事がある。当時JAFですら開けられない最高級ベンツですら簡単に開けられると豪語していた彼等だったが電子ロックのようなものでも映画の中に出てくるような高級車専門の窃盗団のように最新式の持ち運びが簡単に出来るコンピューターをベンツのドアに磁石でセットし何桁もの数字の組み合わせが瞬時に行われて鍵は簡単に開くわエンジンは簡単にかかるわで魔法のような技術を持っていた。
国内の電子工学部卒業のある人物に色々と偽造に関するものをやらせていた事があったが、せいぜいパチンコ屋のプリペイドカードの偽造程度が彼の能力の限界だった。やはり海外の裏社会で暗躍する人間達は日本とは比べものにならないくらい優秀なのだろうか?俺自身、学が無いので何とも言えんがいちいちコンピューターが絡むようなシノギとなると海外のマフィアに頼むしか手が無かったのは何だか情けなかった。