エピソード21(民暴の帝王)
だいぶ前、Vシネマだったか忘れたが「民暴の帝王」小林旭主演作品があったのだが、ストーリーの中で、さらった相手を小林旭が「トランクつめろっ!」と渋く言うシーンがあった。当時何回もそのビデオを見ていたのはきっと俺だけじゃなく不良関係者なら多いと思うのですが、ある日の夜、縄内のキャバクラで某団体を名乗る男が暴れていると店から連絡が入り、兄貴分達と共に現場に急行、すぐに引きづりだし、ボコった後に若頭が「おい!こいつトランクつめろ!」…しばらくして他の若衆が「兄貴っ!トランク釣竿で一杯で何も入りませんっ!」 そう、車の持ち主は大の釣り好きだったのだ笑!おしまいっ
エピソード22(拷問!?)
ある週末、本部事務所当番で兄ぃ連中3人で「志村けんのだいじょぶだ」でも見るかぁと言ってテレビをつけると、ちょうど監視モニターに親分が歩いてこられるのが映った。その時にテレビを消すかチャンネルを変えていれば良かったのだが、どうせ週末だし親分もすぐに帰られるだろうと思ってテレビはそのままにしておいた。が、その日に限って親分はマジメな話を1時間近くにわたってなされたのだった。当然、親分は上座で俺たちは下座、テレビは上座でしかも親分の隣りにある形となったのだが、親分のマジメな話と裏腹に隣りのテレビでは志村けんがギャグっているのだ…ギャグはいつもの事ながらおかしく、あまりにもおかしくて、この状況で兄ぃ達は良く話しを笑わずに聞いていられるなぁと思って兄ぃ2人を見てみると笑うのを必至に堪えて下を向いているのだった。結局親分の話を聞いていた3人は全員下を向いて時折顔を上げて相づちを打つ程度が限界だった。間違っても笑った日には指が飛ぶんじゃないかとあぶら汗ダラダラの拷問のような1時間でした笑
エピソード23(建設現場)
俺がいた組では建設現場に作業員を送り込み1人分の日当が2万円だとしたらそのうち5千円をハネるというシノギもしていた。早朝、ワンボックスカーに乗り各待ち合わせ場所で作業員達を乗せ現場に向かうのだが、大手ゼネコンから今日は7名の作業員が必要だと言われ6名しか作業員が集まらなければ、当然俺自身もヘルメットをかぶり安全帯をつけ高所恐怖症なのに(笑)高い所に昇って作業した。ある日の事、自衛隊の某駐屯地内の武器倉庫の屋根で70歳近い老人と作業していると老人が突然俺に「お兄さん、あんた○○組の若い衆だろう?一生のお願いだっ!犯罪には決して使わんがどうしてもチャカ1丁が必要なんだ…30万か?金ならあるっ!頼むっ!」そう真剣な眼差しで訴えかけてきた。いくら金を払うと言われても、そう簡単にチャカを売るわけにはいかない。よくよく話を聞いてみれば、その老人、昔は極道をやっていたらしく70歳近くにもなってこんな生活をしている自分自身が嫌になりチャカを使って自殺を図ろうとしたらしい。俺はなんとか頑張って生きていこうやと説得した。刺青がしわくちゃになった悲しげなあの老人の眼差しを今でも忘れない…
エピソード24(健康)
縁あって渋谷の○○会の方と某名門一家の幹部の方の御自宅に招かれお邪魔した事がある。大広間に通され席につくと、そこの若い衆に100%オレンジジュースを出された。酒ぐらい出さんのかいっ(笑)と内心思いながらタバコを吸おうとしたら部屋のどこを見渡しても灰皿が何処にも無い。と、その時そこの若い衆が小声で「うちのオヤジはタバコも酒もやりませんので…」と耳打ちしてきた。ヘビースモーカーの俺は、酒はともかくタバコも吸えんのはたまらんなぁと思っていると、そこの幹部の方が健康について語りだした。話は1時間近くに渡り完全にニコチンの切れた俺がボーッとしていると、「いや〜哀川さん噂じゃすごいと聞いていたが、こうしてみるとずいぶんおとなしい方だし、とてもあの事件を起こした方とは思えませんなぁ」などと言ってこられた。俺の頭の中は早くタバコが吸いてぇ…しかなかった。帰り道、同行なさった渋谷の方もタバコを吸われる方だったので、「タバコ自分が吸わんのは勝手だが客まで吸わせんのはちょっとなぁ」と苦笑いしておられた。数ヵ月後、その健康に気を使われていた方は御自宅で射殺された…。故人のご冥福をお祈りいたします。
エピソード25(人さらい)
俺が16歳の冬、2歳年上の先輩と夜中に某駅前の通りを歩いていたら、突然黒塗りの車が前方から走ってきて歩道に突っ込んできて前をふさがれ車から降りてきた数名の男達に捕まり一瞬にして2人とも車に押し込まれさらわれた。乗っていた男達はまさに極道だった。車はどんどん地元から離れ何処だか分からない郊外の洗車場まで連れて行かれ、何故か真冬の夜中だというのに俺の先輩だけは極道の1人に「お前は用が無いから車を洗車しろ!」と言われ他の監視の極道達に見張られ洗車をさせられていた。先輩が洗車している間、俺は車の中で「腹減ったろう?」などと言われて何故かギョーザを食べさせられたりして(笑)「まぁ、今夜はゆっくりしていけや」と言われ、内心どうゆう事だこれは?と思っていると突然その極道が、「話があるんだっ!率直に言う。お前うちの組に入れ!」・・・俺は目が点になった。入るのを断りつづけ朝まで連れ回されて結局、早朝ファミレスで好きなものを注文しろと言われお子様な俺はハンバーグを食べ、地元の駅まで送り届けてもらった。当時16歳の俺はこのまま山の中に埋められて帰れないんじゃないかとドキドキした恐怖の一夜でした。みなさんも暗い夜道は気をつけましょう笑