エピソード226(危険な情報)
極道という裏社会に身を置いていると別に聞きたくもないし是非聞かせてくれとこっちが頼んだわけでもないのに丁寧に危険な情報を教えてくださる方がいらした。
ある日、他団体の上層部の方が俺と麻薬の取引があるからという事で会うことになった。訳ありの麻薬らしく、その方がおっしゃるには・・・
「あのよう哀川、実はこれ○○党の△△議員がなぁ例の問題の宗教団体がロシアとの貿易を促進しやすいように便宜を図ったらしくてよう・・・まぁその議員も表向き近々責任とって辞職する筈なんだけどな、その議員に政治献金する為の銭作るのに国内で製造したインチキシャブ(粗悪品の覚醒剤)をさばいてくれって上からの指示があったんだ。まったく悪い議員もいるもんだよなぁ・・・笑!そこでそのシャブを付き合いって事でいくらでもいいから俺のカッコもつくように哀川さんとこでも引き取ってくんないかなぁ?」
と、そんなどうでもいい前置きの話と共に粗悪品の覚醒剤を安値ではあるが俺も引き取らされた。粗悪品ではあったが何故か渋谷をうろつく若者には好評でアッという間に俺の手元からはブツは無くなったのだが・・・。
それから数週間後、例の○○党△△議員は本当に国会議員を辞職したのだった。辞職理由は全然関係無いもので事件が発覚したわけでもなく自主的に辞職した。それから間もなくして某週刊誌に「○○議員、××教団との・・・」と書き立てられたが逆に名誉毀損などで訴えたらしく、きっと圧力だと思うが事件はうやむやになり真相は闇の中へと葬り去られた。
そして現在、俺が知ってしまった危険な情報の○○議員は・・・現役のバリバリで某都道府県のなんと!?知事を平気でやっている。
そして・・・もちろんその名前を俺は口外出来るはずも無く未だに口外していない。もし口外したところで何の証拠があるんだ?と圧力で押し潰されてしまうだろう。裏社会とは本当に恐ろしい所である。

エピソード227(危険な情報2)
まぁこのHPがヤフーのカテゴリ検索で(犯罪→組織的犯罪→暴力団)で紹介されるからなのだろうか?メールBOXによく某地方議員の汚職に関する暴露メールがくるようになった。
何故?ここにメール?と思うのだ。エピソード257で書き記してあるように、国民が本当にビックリして政治不信になってしまうような不正や犯罪は絶対に国家の不利益に繋がるからどんなにマスメディアの力を利用したりあがいたところで氷山の一角しか摘発されないし、こいつをもし逮捕したら洗いざらい全部しゃべってしまうと黒幕に判断されれば自殺に見せかけた他殺で闇に葬り去られてしまうし、言論の自由とはいえマスメディアすら圧力がかかれば誰にだって大切な人がいるだろう・・・恐怖で真実を報道する事をやめるだろう。
ましてや裏社会に身を置いていた俺がせっかくのメールを送ってくださったとしても、それをどこかに公表する事もこの場で発表することなど決してないのである(笑)

エピソード228(構成員)
警察では暴力団の事務所に出入りしている人間や付近に停めてある乗用車のナンバーなどを定期的に撮影し、事件などで事務所を家宅捜索した際に押収する名簿などでコイツは構成員(正式な組員)だとかコイツは当番にも入ってないただの使いっ走り(準構成員)だとかを判断する。
だから俺が逮捕されて俺自身が「俺は組とは関係が無い!組員ではない!」と言い張ったところで警察では調べがついていて「嘘つけっ!お前は○○組でお前の兄貴分は△△だろっ!組長は××だし、しらばっくれても無駄だっ!」という事になってしまい、結局は暴力団構成員という事で立件されてしまうのである(笑)
しかしこれが困った事に一度でも構成員と認定されてしまうと極道から足を洗って何年経っても警察のコンピューターの中からはデータが消えずに残っているのだ。だから例えば車で事故を起こしたり免許証を拝見な〜んて時には今時のパトカーにはモニターがついていて本庁に問い合わせされたりすると名前、住所の他に前科前歴所属する暴力団などなど全部が映し出されて現場に居合わせた警察官にニヤニヤされてしまうという不愉快な事になってしまうのだ(笑)まぁ自業自得とはいえ・・・俺の知り合いなんかは極道を辞めて10年以上経つのにいまだに構成員扱いらしいというのだから・・・本当になんとかしてもらいたいもんである。
余談ではあるが、俺が極道を辞めてから1度だけ警視庁に逮捕された際に辞めたはずの組事務所本部に家宅捜索が入ってしまった事があり本当に申し訳なかったと思っている<(_ _)>

エピソード229(死体遺棄)
某留置場で一緒の檻にぶちこまれた極道K、罪名は死体遺棄だった。
先に檻の中にぶちこまれていた俺は娑婆でどんな大きい事件が起ころうとも、ましてや接見禁止処分になっていればなおさらの事わからない。
噂では新聞テレビで大騒ぎになった事件だったらしいが・・・その犯人の一人として逮捕された彼Kは案外明るく余裕をかましていた。
俺が彼に「死体遺棄っていったら相当刑が重いでしょう?」と尋ねると彼は笑いながらこう言った。
「大丈夫ですよ。もうすぐ俺は釈放されます。逮捕者は数名いてパクラレ役が一人だけ犠牲になってくれれば良い事ですから。それに県警の弱みを握ってるのはこっちですし優秀な顧問弁護士もついてますから・・・哀川さんも娑婆に出たら私の地元に遊びに来て下さいよっ美味いもん食わせる穴場の店を紹介させていただきますよ。」
こう言ってくれた彼の余裕な言葉をすぐには信じられなかったのだが・・・それから10日間程経った頃だろうか、彼は本当に釈放されて俺に一言・・・
「哀川さん、短い間でしたがお世話になりました。娑婆で待ってますから、いつでも遊びに来て下さいね!」ニッコリ檻の中にいる俺に笑って出て行った。俺は唖然としたが・・・内心「組が大きいってのはこーゆー事なんだろうなぁ、でも一歩間違えてパクラレ役にされてしまった組員は最悪だろうなぁ」と思った。
後日、そのパクラレ役にされてしまった極道Mにも検察庁の待合室で遭遇したが・・・当然半狂乱になっていた。

エピソード230(意外な実刑判決)
東京拘置所の雑居房で一緒になった中年の人の良いおじさん、罪名は飲酒運転だった。
飲酒運転で別に事故を起こしたわけでもなく単に飲酒の検問に引っかかったというものだった。
で、なんで?それだけでこんな所に収監されてるの?と思うのだが話を良く聞いてみると常習の飲酒運転で過去に度々捕まっており今回はあまりにも常習だからという事だった。
まぁそれだけならきっとキツイお灸をすえるという意味で逮捕されて起訴されただけなんだから初めての起訴だし前科者でもないし、
「おじさん安心しなよっ!どうせ執行猶予で出られるよ。」
そう同じ舎房に居た誰しもが口をそろえて言っていたのだが・・・裁判当日、舎房に戻って来たおじさんの顔は暗かった。なんと!?実刑判決「懲役6ヶ月」だったのだ。舎房にいた皆に短い挨拶を済ませおじさんは寂しそうな背中を向けて刑務所行き決定の順番待ちの舎房へと連行されていった。
飲酒運転も度重なるとあなどれないものである。