エピソード241(メルセデスベンツ)
今じゃベンツも高級車と言うよりは誰でも気軽に!?乗れる一般車化?してきたが、俺が極道だった頃はベンツにフルスモーク貼って、しかもSクラス(一番大きい)だったらなおさら金持ちか極道関係者しか乗っていなかった。
当時、俺は500SECと560SELの2台を気分で使い分け乗っていたのだが、ある日のこと飲み屋で知り合ったネェちゃんと同伴する事になり店に行く前にどこかで酒飲んでから行こうかということになりネェちゃんの自宅に560SELで迎えに行った。
ベンツでさぞかしビックリするかと思いきや…「お待たせ〜っ、アスカちゃんずいぶん大きい車乗ってるんだねぇ。」そう言いながらベンツに乗り込んだ彼女は一言「この車って無駄に大きくない?あれ?ハンドル左?外車なのこれ?」そう言われた俺は内心オイオイせっかくベンツで迎えに来たってゆーのに…と思いながら「そりゃベンツだから外車だよ。」って言った。
すると意外な言葉が返ってきた。「へぇ〜これがベンツっていうんだ知らなかった…。」
知らない人にはベンツの効果はサッパリ無かった…そしてそんな彼女を俺は口説き落とす事すら出来なかった(笑)そしてそれ以来ベンツでわざわざ女性を迎えに行く事はなくなった(笑)

エピソード242(ストレス)
極道のシノギの一部として闇金融を任され、金融について何の知識も無かった俺は先ず始めは金融業で飯を食ってる人間に一から教え込まれる事になり、カタギさん達のやってる会社に一社員として極道である事を隠し入社した事もあった。
もちろん若い女子社員や弁護士を目指す若者など色々な人がいたが、そんな他の社員達に何を言われようとも腹を立てずに、時には「哀川ちゃん!昼飯あそこの弁当屋のカツ丼美味しいから金渡すから全員の分を買ってきてよ!」なんて言われてもニコニコ笑顔で買いに行き、お昼の混んでる店内を都心のOL達と共に並んだり・・・笑!
内心この野郎!誰に飯買ってこいなんて頼んでやがるっ!と思ったりしながら仕事が終われば飲むは食うはで一晩で三食分も食べたりするほどのストレスが溜り、一気に体重が25キロも増えた事もあった(笑)
まぁ結局、そんな思いをしながらひたすら隠していた極道であるという正体も、その年の暮れの忘年会で悪酔いした俺は本性が出たらしく(俺は全然覚えてないが・・・笑!)、その会社の社長以下男女社員一同は震え上がる程の恐怖体験をしたらしい(笑)
いやぁ本当にストレス溜め込むって怖いです(爆)

エピソード243(初めてのチャカ)
チャカ今更説明する事じゃないがピストルとも拳銃ともいう(笑)
関東の某刑務所を出所したばかりの兄ぃが住むところが無く、ひと月程だったが俺の家で一緒に暮らした事があるのだが俺とはその時が初対面だったせいもあり、あまり行動は共にせず電話だけお互いいつでも連絡がつくようにしていた。
ある日、俺が兄弟分と酒を飲み、家に帰ろうと車を運転していると懲役帰りの兄ぃから電話が入った。
「あぁ哀川?俺だけど今家にいる?あのさぁ部屋に大事な物置いてあるから捨てないでなっ!」
それだけ話すと彼は電話を切った。大事な物とか言ってどうせ裏ビデオのマスターテープかなんかだろうと内心思いながら家に着いた俺は電気を点けてビックリ!油紙に包まれた三角形の物体が三個とビニール袋に100発以上はある実弾。
思わず俺に鉄砲玉になれという事なのか?と嫌な予感も脳裏をよぎったが気を取り直しこっそり油紙に包まれた物体を開けて見た。すると弾が2発しか入らない装飾銃やオートマチック式のブラジル製のチャカなんかが姿を現した。そして三個目の油紙に手をかけて、ん?待てよっ!何に使うか誰の手に渡るかも知らないチャカに俺の指紋がメチャついてるじゃねーかっ!慌てて元通りにチャカをしまった20歳駆け出しのチンピラ哀川力の初めてチャカを触ったドキドキ体験だった(笑)

エピソード244(シャブの売人)
シャブ(覚醒剤)の売人と一言でいってもキロ単位で売買する卸し問屋のようなものから1グラム単位で売買するような末端まで商売の方法は違う。
キロ単位や100グラム単位での売買は1グラム単位で売買するような細かい作業が無く、楽で仕入れ値に数万円上乗せして物を横流しすれば良いだけだからシャブの売人未経験の俺にも簡単にできた。ただし簡単な分、シャブを所持している時間は少ないがもし警察に捕まってしまうと所持量が末端の売人に比べ多いので刑は非常に重くリスクがでかい。
何故、未経験の俺がそんな大量のシャブを仕入れる事ができたのか?東京拘置所で知り合った覚醒剤取締法違反の実刑確実の当時関東最大の麻薬組織の者に哀川さんには世話になったからという彼なりの俺への礼として格安で上物のシャブをキロ単位だろうが1グラムだろうが彼の名前を出せば自由に買うことができる問屋(某指定暴力団幹部)を紹介してくれたのだった。
彼は俺に別に金に困ってないのなら無理してシャブの売に手を染める必要はないよとも言っていた。そしてその話を塀の中で聞いた時には俺は全然売などやる気もなく彼には笑いながら「ありがとう、たぶんシャブの世話にはならないけど君がヨロシク言ってたと問屋に伝えておくよ」とだけ言ったのだが・・・。
シャバに出てから彼に教えられた○○会事務所に電話をし、担当者と連絡を取る事ができたのだが、なかなか感じの良い人で「あぁそうですかぁ奴と同じ房にいて・・・なるほど、じゃあ付き合いって事で哀川さんには格安で物を譲りますよ」なんて事を言われ、聞いた値段をポン中の兄ぃなんかにそれとなく話したら「バーカ!おめえにそんな安値で仕入れができるわけねーだろっ!」と小馬鹿呼ばわりされて・・・内心はヤッター!このポン中兄ぃよりも安く仕入れができれば俺は一気に金持ちじゃねーかっ!(笑)と安易に禁断の覚醒剤への道へと歩んでしまったのである。
幸い俺は売をする他に自分でも覚醒剤を使用してしまったが中毒にもならず逮捕もされずに関東最大と言われた麻薬組織の摘発!そして壊滅と共にシャブと縁が切れたおかげで現在こうしてくだらないエピソードなんかを書いていられる(笑)

エピソード245(池袋)
豊島区池袋東口の六ッ又陸橋近くの水色の四階建てのビルで十日で三割の高利貸しの事務所を兄貴分に任されていた事がある。
場所柄、東急ハンズやサンシャイン60などが近くて雑用なんかでよく出掛けた。ハンズには文房具を買いに、サンシャインにはサンシャインシティの某所に書類を提出する用事なんかでよく歩いて行ったのだが、夏場のクソ暑い時などカップルや女子高生などがふらふら遊んでるのを横目に「なんでこのクソ暑い時にスーツなんか着てネクタイなんて窮屈なもんしめて汗かいて歩かなきゃなんねーんだ俺が!」なんて内心思った事がよくあった。
貴重なサラリーマン気分を味わえた金融屋時代だったが、辞めて以来あの暑苦しいスーツやネクタイなんぞはしなかった(笑)サラリーマンの方々毎日ご苦労さまです!俺にはあの首をずぅっと絞められてるようなネクタイは無理です(笑)
余談ですが池袋六ッ又事務所前に夕方五時近くなると高級車が並び柄の悪い人達が集まっていた中に俺もいたのだが、キャイーンの天野くんもコンビニの袋をぶら下げて歩いており、頑張れよー!と声をかけたりしたものですが、今じゃ天野くんは売れっ子で逆に今じゃ俺が「お前こそ頑張れ」って言われそうです(笑)