エピソード276(マネするな!)
よく極道系ビデオなんかをレンタルして見てる方も多いかと思います。
まぁひとつの娯楽として見るぶんには良いと思うのですが、極道でもないのにビデオや映画の主人公気取りで街に出歩き大きな間違いを犯してしまった実話を紹介します。
関東某刑務所を出所数日後のN兄ぃが車を運転中、前を走っていたワンBOXカーを追い越し信号待ちをしていると、先程抜かされたはずのワンBOXカーがN兄ぃの車の前に割り込みN兄ぃに因縁をつけたのだった。
うっとおしいバカ野郎だと思ったN兄ぃがクラクションを鳴らすと、自分がチンタラ走って抜かされただけの逆切れ男はよりによってワンBOXから降り、N兄ぃの車の前に仁王立ちして
「ひけるもんならひいてみろやっ!」
と怒鳴り散らしたのだった。まぁ映画やドラマなら「撃てるもんなら撃ってみろ!」なんてシーンがあっても悲しい結末にはならず、そんな台詞を言う俳優は主演クラスだから格好良く決まるのだが・・・。
ワンBOXカーの男の結末は、そのままN兄ぃに轢かれボンネットの上に乗せられたまま数十メートル走行後、急ブレーキで振り落とされ更に轢かれた後バックでトドメをさされて死亡した。
この事件もかなり大きく報道されたが、当事者のN兄ぃからの電話・・・「哀川ちゃん、こないだ哀川ちゃんパクられた時、面会行けなくてゴメンなぁ。そうそう俺ヤバイ事になっちまったけどまだ出所したばかりだからもう少し羽根のばしてから出頭するよっ!皆にヨロシクなぁ」
この言葉を最後に刑務所出たり入ったりのN兄ぃとは極道を辞めてしまった俺は二度と会う事はなかった。風の噂では今でもイケイケのまま御活躍中だとか・・・。
格好つけて通用する相手とそうじゃない相手(本物)が世の中には存在するので気をつけましょう(笑)

エピソード277(二枚目)
エピソード28(イクラ御膳)で書いた親分のナンバー2の姐さんとの食事中、俺がイクラを箸でうまく食べられずに苦戦している最中に姐さんは流暢に箸でイクラ御膳を食べながら・・・
「そういえば哀川君ってテレビドラマに良くでてる俳優なんていったっけあの人に似てるわよねぇ?ほらっお昼のドラマにも出てる少し年配の二枚目俳優よっ!あぁ名前が思い出せない・・・佐藤君は知らない?」
などと同席して俺の横で同じくイクラ御膳を食べていた佐藤さんにも同調を求めつつランチタイムが終了した。
その日、一日中俺は一体誰に似てるんだろう?哀川翔か?的場浩司か?二枚目俳優で昼のドラマ?年配?そんな人いたっけか?と考えてはみたが結局わからずじまいでそれから数年後・・・
刑務所では全員坊主頭にされるのだが、坊主頭にされた俺の顔を見て池袋のS会系の若衆が過去に姐さんがおっしゃられた事と全く同じ事を言い出して、俺の顔に舎房にいた全員の視線が向けられた。一瞬間が空き、そのうちの1人がこう叫んだ。
「あぁ!伊武雅人だっ!」
その瞬間、部屋の中は笑いの渦に巻き込まれ似てる似てると転げ回って笑いだした者までいた(笑)
まぁこれで数年前の謎が解けて気分はスッキリしたのだったが内心はもうちょっとカッコイイ二枚目俳優に似てると言われたかったりもした(笑)

エピソード278(TOPガラス製)
TOPガラス製といっても何のこっちゃ?と思う人もいるでしょう。
注射器のメーカー「TOP」のプラスチック製ではなくガラス製の注射器は当時俺が麻薬密売をしていた頃は値段が少々高かったのである。
覚醒剤を手に入れても注射器を使って体に入れる者にとっては必需品なのではあるが、毎回のように覚醒剤と注射器をセットで注文してくる客がいた。
覚醒剤と注射器は仕入れルートが違うので俺にしてみれば非常に面倒臭く、ある日のこと客に「なんで毎回注射器も注文するの?」と聞いたら・・・
「いやぁ、いつも悪いなぁとは思ってるんだけどシャブうつたびに気持ち良すぎて手が震えて注射器を床に落として割っちゃうんだよ・・・。」
オイオイ!だったら割れないプラスチック製か割れないように工夫してやってくれよっ!と内心思ったが、客だから俺は笑いながら聞いてそれ以上の事は何も言わなかった(笑)
それより注射器の仕入先のオヤジが毎回俺に「これはTOPのガラス製で金針(針が18金!?)だからねっ」と自分が製造してるわけじゃないのに自慢気に話すのが不可解だった(笑)

エピソード279(刑事と雑談)
逮捕されると極道の場合、一般人よりも取り調べの他に取り調べと称した面倒見というやつで留置場のオリから出され取り調べ室でジュースを飲みながらタバコ吸い放題で刑事と雑談する機会が多い。
一番印象的だったのは取り調べ室で航空ショー好きな刑事と戦闘機の話題で盛り上がり3日間に渡って空母などの専門誌を持ち込んでもらい刑事と2人で、あぁでもないこぅでもないと延々と話し合った事がある(笑)
これを一般の善良な市民が見たら一体警察は何してるんだっ!と怒りそうですが大丈夫ですもう定年退職されましたので・・・(笑)

エピソード280(警察の資料)
エピソード279の定年退職した刑事に取り調べ室で見せてもらった全国暴力団資料。
かなり分厚い資料で各組織の系図から構成員名簿、組織発足から現在に至るまで細かく図と共に書き記してあった。暇潰しに見ていても良いと言われた俺は気になる他団体の名簿にも目を通したが、興味深いものを発見した。
俺が所属していた組織の、俺がオギャーッと産まれてくる前の頃の初代親分がどのようにして組を興したのかが詳細に書かれてあり読んでみたのだが・・・
まず○○町界隈を山田一郎(仮名)を中心とし、鈴木三郎(仮名)、通称デブの石松など数名が集まり結成されたと書いてあった。
オイオイ!ちょっと待て!「デブの石松」ってなんじゃそりゃ(笑)
これはマジで書いてあったのだが自分が当時所属していた組の記述だったので机をバンバン叩いて大声で笑いたかったが我慢して下を向いて堪えた(笑)
昭和初期か大正の頃の話だと思うが「デブの石松」なんて本当にいたんですか?なんて事は結局誰にも聞かずに俺は組をあとにした。まぁ聞いたところで俺が仕えた組織は4代目、初代の頃の詳しい話など詳しく知っている人もいなそうだったが・・・(笑)