エピソード281(レツ)
塀の中や極道の世界では一般社会では使わない言葉がよく在る。
初めて東京拘置所の雑居を経験した時、同じ部屋の人間に起訴状を見せてくれだとか何で(罪名)捕まったんですか?など色々と聞かれるのだが「哀川さんは今回レツがいるんですか?」と聞かれた時は一瞬返事に困った。
「レツ?」うーん意味がわからない・・・はぁ?という顔をしてると、同時に俺の起訴状を読んでいた房長(部屋の班長)が「あぁレツいるよ。」と俺の代わりに返事をしたのだった。
「あのぅ・・・レツって?」
そう聞いた俺に房長はニコニコしながら「共犯者」の事ですよと答えてくれた。連れ=レツ=共犯者という事なのだろうが初めて耳にする言葉には何度も困惑した初めての拘置所だった。
ちなみにその起訴状が哀川Galleryにある画像です。携帯からだと字が小さくて大変見にくいですがパソコンからだと原寸大で閲覧可能です。

エピソード282(役立つゲーム)
ゲームといっても役立つ物といえば・・・そう!塀の中では囲碁と将棋とオセロがテレビや映画以外の娯楽なのだ。
年齢を問わず対戦ができるのだが、オセロはともかくとして囲碁や将棋は、やり方がわからなければ誰でもができるわけではない。
まぁ囲碁、将棋の類は極道でも組長クラスの年配の方なんかは大抵の方ができるので、極道だろうがカタギだろうが対戦相手になって親しくなるケースも珍しくはないのだ。
極端な話が若造で大して取り柄のない者でも囲碁、将棋が上手ければ塀の中では重宝され過ごしやすい刑務所ライフを送れる可能性が高くなるという事なのだ。
え?俺ですか?オセロ弱いし囲碁、将棋まるっきりダメだから快適な刑務所ライフを送れませんでした(冗)
皆様!明日は我が身、塀の中に落ちる前に囲碁、将棋をマスターしておくと役に立ちますよっ(笑)

エピソード283(塀の中のギャンブル)
塀の中ではもちろんギャンブルは禁止されておりサイコロなど簡単に作れそうだが、そんなもの点検の際に発見されたら大事になる。
では、どうやって賭け事をして暇を潰すかというと辞書などは個人で持つ事が許可されているので、ページをパッと開いてページ数で「おいちょかぶ」をやるというのが一番オーソドックスな塀の中のギャンブルなのである。
では何を賭けるのか?というと石鹸や歯磨き粉なのだが、まぁとりあえずの暇潰しにはなった(笑)

エピソード284(親分付運転手のメリット)
一家の親分に常に同行しボディーガード兼運転手ともなると、まず自由な時間が無くなり多忙な親分に付くと寝る暇も無く東へ西へと言われた通りに車を走らせ他の若衆みたいにシノギなんてやる暇も無いから大金が舞い込んでくる事も無い。
まぁ色々と自分の顔を売る為には良いのかもしれないが、なんだか不公平で運転手なんてやっても大してメリットないじゃねぇか・・・と思い、俺は親分の運転手はやった事はない(笑)
ある日、親分に暇を戴いた専属運転手の若衆が興奮気味に本部事務所に一人でいた俺のところにやってきた。俺の顔を見る度に、いつも「親分の運転手なんて良い事なんにも無いっすよ!」と不平不満を言っていた彼が・・・
「今日、和田アキ○さんに会いましたよっ!そんでたまたま近くの席にイチロ○がいたんですよっ!」
と笑顔満面で言うので、詳しく話を聞いてみるとどうやら親分が和田アキ○さんと何の用事かは知らないが話のついでに食事をしていて、彼はその傍で待機していたら、まぁたぶん高級料理店だったので近くの席にたまたまイチロ○が誰かと食事をしていたのを目撃したというわけだった。
なるほど・・・一家の親分の運転手は芸能人を身近に感じられるってメリットがあったんだ!と一瞬羨ましかった(笑)
エピソード285(カラオケ)
いつもミカジメ料の集金に俺が月1回顔を出していた店に初めて客として兄貴分に連れられて自分の舎弟も連れて行くことになった。
なんとなく料金が高そうでキャバクラなんかと違ってきゃぴきゃぴした感じの女の子が全くいなそうな店だったので自分の金では絶対入らないのだが兄貴分の奢りなら、まぁいいかと安易な考えで入店したものの・・・俺と舎弟にはそーゆー店の雰囲気には若すぎた。
兄貴分は初恋の女性に再会したとかなんとかで盛り上がっていたが俺と舎弟は緊張のあまり盛り上がれず、内心は頼むから兄貴分の酒乱がまた始まらなければいいなぁなんて考えていた(笑)
そんな時、突然兄貴分が「俺たち二人の再会を盛り上げるために哀川っ歌、歌えよ!」・・・ゲッ!マジっすか!?てか兄貴分の前でカラオケなんて歌った事もないのに、よりによって客層が演歌世代のこの店で・・・いったい俺に何を歌わせる気だぁ(笑)
確かこないだ演歌っていえば兄ぃが「神奈川水滸伝」歌ってたけど歌詞なんて覚えてねえし、うーん考えた末に歌った曲は・・・矢沢永吉さんの「ウイスキーコーク」でした(笑)
歌いながら怒られるかと思いながら必死で歌った大舞台で歌うより緊張したカラオケでした(笑)
そのあと俺に続いて天然ボケ舎弟は呑気にX-JAPANのなんだったかを歌ってヨシキになりきって酔いしれていた(笑)