エピソード286(ボクシング中継)

エピソード287(素朴な疑問)
よく極道系の雑誌や一般週刊誌などの記事に3次団体組長などといった表現をするが実際にはこの○次団体の○の数字はどのポジションを示しているのか?という素朴な疑問が塀の中で話題となった。
任侠組織の頂点に君臨する大親分と、その大親分と直接盃を交わした直参の親分達だけの集まりを1次団体と呼び、直参の親分達がそれぞれ構えている組そのものを2次団体と呼び、その2次団体の親分と直接盃を交わして組を興した場合、その組が3次団体となり、あとは同じ要領で4次団体5次団体と続く。という一般人には少々わかりにくい説明ではあるが、そのような説明を某4次団体組長から聞いた。
要は○○会(1次)△一家(2次)○組(3次)ってな感じなのである。まぁこんな事に詳しくなっても役にはたちませんけどねっ(笑)

エピソード288(再犯刑務所)
初の刑務所生活を体験する場合、通常は初犯刑務所という所で夜は自分の独り部屋(独居)で生活し、昼間の各工場などの作業の時だけ集団生活をするという他人との接点があまり無くトラブルに遭遇しにくい刑務所初心者入門編のような所で刑期を務める。
なのに俺は何故か?いきなり再犯B級刑務所に放り込まれてしまった。
しかも27歳未満は何故か成人なのに少年刑務所で刑期を務めるんだとかで、東京拘置所→川越少年刑務所→青森刑務所と、たらい回しにされて川越刑務所に俺を迎えに来た青森の刑務官は「普通、オマエみたいな初犯は再犯刑務所には入れないんだけどなぁ・・・よっぽどオマエさん悪いんだろうなぁ」なんて移送中の新幹線の中で告げられ、内心「俺より凶悪犯なんていくらでもいるっちゅーのっ!」と思いながら色々と説明を聞いた。
なにやら再犯刑務所とは前科13犯とかが普通にいて、刑務所暮らしが慣れている者ばかりだからモタモタしてると皆に怒られて大変だという事だった。
不安な気持ちいっぱいで再犯B級青森刑務所での懲役生活が始まったわけだが、やはり刑務所慣れしてない俺は皆に不思議がられ、「哀川さん、ずいぶん生活に慣れてないみたいだけど今回で何回目の刑務所?」なんて聞かれ「初めてです。」と答えると「はぁ?少年刑務所の経験は?ここは再犯刑務所で哀川さんが来るような所じゃないよ。」などと色々言われた。
まぁ俺だって好き好んで再犯刑務所に送られたわけじゃないが、何かの間違いだったのだろうか?結局、初犯なのに再犯刑務所で2年間満期出所を迎えた。
本当に俺は、こんなに良い人なのに凄い悪い奴だと思われてしまったのだろうか?(笑)

エピソード289(何の会話?)
哀川→アイス100とウーロン茶50ほどありますかねぇ?
鈴木→あぁ冷たいのは100あるけど温かいのは在庫切れで当分の間、品薄でこっちも困ってるんだよ・・・。冷たいのだけで良ければすぐに用意するよっ。

まぁ、これは電話での会話なのだが不良関係者なら意味はわかると思うが(笑)、このHP自体が一般者向けなので説明します。
アイス=冷たいの=覚醒剤
ウーロン茶=温かいの=マリファナ
50、100など数字はグラムを表しているわけで、外出先で麻薬の売買の話をするのに周りの人に聞かれても変に思われないようにこの様な隠語を使用する。
街中でそんな会話を電話でしている人がいたら、その人はジュース屋さんじゃありません(笑)

エピソード290(心を鬼に・・・)
エピソード40(取り立て)で、心を鬼にしてと書いたのだが実際に心を鬼にした分だけ心は痛かった。
借金して返せなくなって俺に「勘弁してぐだざい」と鼻水垂らして泣きながら土下座した刺青びっちりのヤクザ者には何一つ同情などしなかったが、そいつの女房の保険証を見たら俺と同じ歳で、しかも1歳くらいの赤ん坊がベッドで泣いていたのを見て、俺の心の中はこう叫んだ!
「こんな借金まみれの甲斐性無しの中年近いコイツに惚れた女はアホじゃ!こんな家に生まれたこの子供も無事に成長していくんだろうか?俺を恨むなよ・・・」
そう思いながら一晩その家に泊まり込み、自主的に温泉芸者(売春有り)として働く事を決意させ女を売り飛ばし、野郎には詐欺まがいな事をさせて金を作らせ、リサイクル屋に家財道具のほとんどを売り飛ばしたわけだが・・・その女が働く事になった所に託児所があるという事だけが鬼にした心をほんの少しだけ癒してくれた。
ベッドで泣いていたあの赤ん坊は心歪まず大きく成長しただろうか・・・。

刑務所内では通常では見る事は許されないであろうボクシング中継、青森県出身の畑山隆則さんの世界戦だけは特別に青森刑務所では見る事を許された。
いざ試合が始まり数分後・・・S会系4次団体組長が叫んだ。
「おっ!今、○○さんと△△さんがいたぞっ!」
なんのこっちゃ?皆がキョトンとした顔をしていると組長は更に興奮して「ほれっ!あそこだっあそこっ!」と指さしたのは観客席だった。
そう、小さな14型テレビに映る小さな観客席にS会系3次団体の極道系雑誌ではお馴染みの有名組長さん達を発見したのだった。
部屋がS房と呼ばれるくらい大半がS会系の若衆ばかりいた為、試合そっちのけで俺を含め、皆の目は観客席に集中してしまい結局その試合がどんな内容だったかいまだにサッパリ思い出せない(笑)