エピソード291(在監証明書)
刑務所を出所近くなると刑務官に在監証明書はいるか?と聞かれる。希望する枚数を発行してくれ、出所時に手渡してくれるので必ず貰っておいた方が良い。
在監証明書とは簡単に説明すると平成○年〜○年までの間、刑務所にいたという事を証明するもので、懲役中に自動車免許の更新に行けなくて免許の効力を失ってしまったとか、国やサラ金などに支払わなければならなかったはずの金の滞納などに対処する為に役立つ証明書なのだ。
実際に俺は出所後に足を洗いカタギとして人生をやり直そうと思いマジメに働きだした途端に国や消費者ローンなどから滞納金利を含めた多額の請求が次から次へと自宅に届き、かなり凹んだ(笑)
しかし、在監証明書があったおかげで国からの請求は免除され、サラ金業者の執拗な催促と膨れ上がった金利も「こっちだって好きで刑務所入ったわけと違うぞコラッ!借りた銭くらい返してやるけど金利は絶対払わねぇ!毎月5千円とかでもいいなら元金だけ払ってやる!」と強気で在監証明もあるという事を伝えたら全て返事はOKだった。
借り入れをしてから督促状が届いた時に6〜7年前に借りて、その後は住所不定で刑務所にも入っていたから借金の時効とかで1円も払わなくても済む方法はないか?と無料弁護士センターにも問い合わをしたが元金だけは払わなければならないとの事だった。
まぁ皆様も社会不在を余儀なくされた場合、シャバに出てから余計な心配や苦労を少なくする為にも在監証明書は貰って出所しましょう(笑)

エピソード292(1999年)
あのノストラダムスの大予言?1999年地球が滅亡するような何かが起きる・・・から何も起こらず平凡な毎日を俺は送っているわけだが滅亡説を信じて勉強なんてしたってどうせ地球は滅びるんだから好きなように生きようなんて人生若いうちからなげやりだったのは俺だけでしょうか?(笑)
あの1999年、あなたはどんな一年を過ごしていましたか?俺は刑務所の中で過ごして2000年を迎えました(笑)
もちろん塀の中でも大予言の話題はでました。あぁ俺達、地球最後の日をこんな所で迎えるんだなぁ・・・と全般的に暗い発言ばかりで、盛り上がりもしませんでした(笑)。
小学生の頃からそんな予言を聞かされて育った俺世代の人間は、かなり信じてたので何かが起きる前、2000年になる前に出所していく人間がマジで羨ましかった(笑)
あの予言、本当に迷惑な予言でした。そんな予言がなければ刑務所に入るような人生を選ばなかったかも!?ギャハハッ!

エピソード293(スポーツカー)
極道の車というと大抵想像するのがフルスモークを貼った4ドアの高級車だろうと思うのだが、車選びも実は結構大変なのである。
M会の某事務所に暇潰しがてら遊びに行った時、若衆達が何の車を買おうか真剣に悩んでいた。聞けば、なにやらその組では組の方針で外国の車は使用禁止(故障しやすく急用の時に不便)なのだそうだ。
国産の車を買うとなると、やはりトヨタか日産あたりの高級車から選ぶ事になるわけだが、下の者が上の者よりグレードや価格の高い車に乗っていては上の者に失礼だからと金があったとしても堂々と好きな車を買って乗り回すわけにはいかないとの事だった。
まぁ、実際これは一般社会でも言える事で社長がクラウンあたりを乗ってるのに社員が好きだし金があるからといってセンチュリーの黒塗りで会社に出社するようでは絶対そいつは出世しないだろう(笑)
そこでだっ!俺はフェアレディZのチューンドカーにしたのだった。モンスター級のパワーで普通の人では乗りこなせない車にする事で、しかも2シーターだから誰も車を貸してくれとも言わないしスポーツカーだからいくら高額でも上の者は殆ど興味をしめさないので嫌味に感じられる事もなかった。
実際、俺の他にもコルベットスティングレーに乗っていた者も同じ組にいた。やっぱり極道でも若いうちはスポーツカーに限ると思います。まぁ、もちろんスポーツカーの他にもう1台は多少ボロでも人が大勢乗れる車を所持するのがベストだと思います。
なんだか勝手に自分の車の趣味でスポーツカーに限るだなんて書いてしまいましたが、プライベートでも極道仕様な車をお乗りの若い方でこれを読んで気を悪くされた方がいましたら、読まなかった事にしてください(笑)

エピソード294(逮捕の瞬間)
まぁ、自分が警察に内偵されてるなぁという事くらいは薄々感付いているものなのだが、あの早朝逮捕というのは何回経験してもドキッとする。
基本的に夜型人間の俺は朝方まで起きている事が多く、熟睡中にチャイムやドアを叩く音で目が覚めた事はないので逮捕の瞬間は必ずドア越しに警察かどうか確かめてから観念してドアを開ける。
警視庁24時間の撮影カメラが家の中まで突入してきた時は二重にビックリした(笑)手錠をはめられ玄関を出ると、早朝とはいえ都会のマンションの住人達はすでに起きている人が多く、ゴミをゴミ置場に捨てる準備などで玄関を開け表に出ている事が多く、恥ずかしそうに顔を下に向けて手錠をはめられたままマンションの廊下を歩き非常階段を降りたんじゃ余計にカッコ悪いので悪党は悪党らしく胸を張って連行されてマンションの入り口に横付けされている警察車両に乗り込み、動揺を隠すために「なんだよ俺を逮捕するんならもっとマシな高級車で来てくれよ。」なんて事を言ったりしながら警察署に向かう道中、窓の外に映る景色を眺めながら「今度は懲役何年くらうのかなあ・・・」なんて心中穏やかではない(笑)
気分最悪な朝を迎える早朝逮捕。極道の宿命なんだろうか?懲役は極道の仕事だと豪語していた某団体の組長さんもおられたが、そんなに割り切って気分良く逮捕された事は一度もない(笑)

エピソード295(余計な心遣い)
PM5:00池袋の金融事務所を閉め女性事務員を含め社員一同で飲みに行く事になり、池袋で飲めばいいのに雇われ社長(元極道)のワガママで埼玉県で飲む事になった。
帰りぎわ電話で舎弟を呼び出し、大田区から参加してた男女従業員を車で自宅まで送るように指示して俺は助手席で爆睡した。
無事、大田区に着き従業員を送り届けた後、地元の足立区まで舎弟に運転を任せ、「おぃ!行き先はいつものネェちゃんの店なっ」と頼んで俺はまた爆睡した。
そして数時間が経ち・・・「兄貴っ!着きましたよっ!」という舎弟の声で目が覚めて辺りを見渡すと、どう考えても可愛いネェちゃんがいるネオン街とは程遠い周りに田んぼがありそうな所に車は停まっていた。
えーーー!?ここって俺んちの駐車場じゃん!
俺「ここどこだよ?」
舎弟「ご自宅です」
俺「そんな事、見りゃわかるわっ!てめぇ俺がどこに行けって言ったか聞いてねぇのかっ!」
舎弟「いえ、聞いてましたが哀川さん何度か起こしたんですが起きなかったもので・・・気持ち良さそうに寝ていらしたので無理に起こすと悪いと思って・・・」
俺「バカ野郎!今すぐ店に向かえ!」
寝起きで気分最悪な俺のパンチが舎弟の顔面に3発ほど入った。店に向かう道中、わけのわかんない言い訳と飲み過ぎですよとかなんとか余計なお世話発言にブチ切れた俺は店の前に着くなり舎弟の顔面を蹴り上げストレス発散してから店に入った。
テーブルにつくなり店の女の子に「またこの人に殴られたんでしょう?」なんて舎弟は慰められ俺は悪者扱い(笑)
でもよ、普通起こせって命令されたら揺さ振ってでも何してでも起こすよなぁ?それとも俺が死んだように無反応だったのだろうか?(笑)