エピソード36(江ノ島)
俺は幼い頃から江ノ島が好きでちょくちょく行っている。たまにはのんびりしようと、ちょっと変わり者の先輩と電車で行った。道中、俺が先輩に「良く昔から親とも行ったし、舎弟や女とも行って、必ず寄る食べ物屋が決まってて、その店でハマグリやサザエをトンビを見ながら食べるのが好きなんですよ、ハマグリやサザエは夏じゃなくても食べられますかねぇ?」なんて話をした。
まぁ、その日も昼飯どきに同じ店に寄ろうという事になり、店に向かったのだが、店に着くなり先輩は店員に「すいません、
アサリやってますか?」と尋ね、聞かれた店員は呆然、すかさず俺が「先輩、わざわざアサリ食べに来たの?」と聞くと先輩は顔を真っ赤にして「ハマグリとアサリ間違えた。」そう答えた瞬間店内は笑いの渦になった。普通、間違えねぇだろっ(笑)
腹ごしらえをすませ、射的の店に行くと先輩が車のおもちゃを欲しがったので、俺が店員のおばちゃんと和やかに会話しながら先輩ご希望のおもちゃを次々と狙い落とした。すると、隣りで見ていた先輩がポツリと一言、「やっぱり本職は腕が違うなぁ…。」それを聞いたおばちゃんの顔はみるみるうちに青ざめていった(笑)。
いくらヤクザがチャカを持っているからといって射的はあまり関係ないと思うし、一般の人の前でそんな事言っちゃダメです先輩っ笑!

エピソード37(八九三)
ある事件で逮捕され取調べ中の際に、刑事にこう質問された。
「おい哀川、お前ヤクザという言葉の意味を言ってみろっ。」と…
おいちょかぶ博打なら9がカブ、トランプカードで例えるなら8のカード+9のカード+2のカードなら合計19、下一桁の数字が9なので役が成立する。
でも、8+9+3のカードでは合計20、当然下一桁は0だから役は不成立、要は役立たずだ。
ヤクザという言葉はもともと自分はヤクザ者ですからと相手に対し自分の事をへりくだったり謙遜して使う言葉なのだ。
内心意味くらいヤクザやってりゃ誰でもそんくらい知ってるに決まってんだろうとむかついたので俺は「別にそんな事ここで意味を述べる必要は無いでしょう。」と言ってやると、その刑事は案の定、「早い話がお前らは役立たずなんだよっ!ゴミだゴミ!。」と言いやがった。
その時俺は、今度から自己紹介するときは「俺は、ヤクジです。」と言おうかと思った(笑)

エピソード38(ファッションセンス)
もともと、ファッションセンスの無い俺は10代の頃からスーツにマッカーサー元帥がしていたようなレイバンの金縁のサングラスというようなセンスの悪い格好をしていたので、組に入ってからは兄貴分や姐さん達にまるで着せ替え人形のように頭からつま先までのファッションコーディネートをされていた(笑)
しかし、コーディネーター!?が事情があってしばらく留守になってしまうと、だんだん自分流に戻ってしまい、そんな格好で他の組織の人間と待ち合わせたりすると相手の方に「哀川さん、まるで外国のマフィアかギャングだねぇ…。」と言われてしまったりした(笑)。
じゃあ、今の哀川力は…(・m・ )プププッ 秘密じゃいっ!
エピソード39(徴兵制)
某居酒屋で、その辺の飲んでるネェちゃんを集めて定期的に仕事の話抜きで中国マフィアの方々達と酒を飲みバカ騒ぎをしていた頃の話、ある時腕相撲大会をやろうということになり、俺の友人で学生時代から腕相撲に自信のあったやつが挑戦したのだが、相手の中国人の方の中で見るからに弱そうでガリ勉君のような風貌をした人間を指名したのだが一瞬にして負けた(笑)友人は納得がいかず、その場に居合わせた全員の方に挑戦したのだが全敗だった。
その場にいた相手のボスが俺と勝負がしたいと言い出したので、場を盛り上げる為に勝負してみたが、「なかなかやりますねぇ…。」と笑いながら勝負され、俺は負けた。
笑いながら相手のボスは「哀川さん、そんなに不思議がることじゃないし負けて当然です。ここにいる私達は全員本国の徴兵制で鍛えられてますから…日本人、徴兵制無い。だから負けて当たり前。」と言った。
なるほどなぁと思いながら朝までバカ騒ぎをしていた(笑)ちょっとくやしかったが…

エピソード40(取り立て)
不良債権を抱えて困っている会社からの依頼で集金に伺う場合がある。
お金を返さない人間の中には、金があっても平気で踏み倒そうとする悪質な奴もいる。そんな場合、心を鬼にして取立てに行くのだが、実際にあった!?悪質な奴の中には高級マンションで家族3人暮らし、車は外車で全身びっちり刺青入れてるな〜んてのもいた。他の極道が取り立てに行ったが本当に金が無いの一点ばりで一向に返さないということで俺に出番が回ってきて嬉しい事に回収分のほとんどが俺のものになるという事で、ガンガン気合入れて乗り込んでいった。
案の定、返す気はさらさら無く金が無いと言うので、ありきたりのセリフだが、「金が無えなら、内臓売るか女房ソープに沈めるか、どっちにしても俺は今までアンタの所に来たような借金取りとは訳が違うんだ!今すぐ、人呼んで来て内蔵バンクに入れる事もトラック呼んで家の物全部と女房を温泉芸者に売り飛ばす事も可能なんだよ!…。」まぁ、結局刺青びっちり入れたその兄さんは土下座して泣きを入れてきたが、泣きを入れた1時間後にはその家はもぬけの空となり借金全額回収となりました(笑)めでたしめでたし