エピソード61(極道むいてる人むいてない人)
ある日の事、臨時で本部当番になり事務所に行くと入ってビックリ!親分が一人でおられた。
親分付き運転手でもない限り、親分と2人きりになる機会はそうない為緊張した。
親分が下座のソファーに腰掛けていらっしゃったので俺は斜め後ろで立っていたのだが、突然親分がこうおっしゃられた。
「なぁ哀川よ、お前生まれ変わったら今度は何になりたい?。」
俺は、バカだからウ〜ンと考えていると笑いながら親分は、「俺はこの次生まれる時も絶対極道だ。こんなに楽しい生き方は他にないからな。」
……俺は内心、一等航海士になりたいかなぁとか考えていた自分が恥ずかしかった。
また、とっさに極道ですと答えられなかった自分は極道にむいてないと思った。
エピソード62(盗聴器)
某組織のナンバー2とまで言われていた組長さんの娘さんとは知らずにお付き合いをさせていただいた事がある。
付き合い始めた頃はそんな事は全く知らず、ある日過去の話を聞いているとどうやら関東の某有名暴走族のレディースだった事が判明(笑)
なんでグレたのかなんて話を聞いたら親父さんがあの有名な極道だということが分かった。おいおい、ちょっと待てよ…その組織ってうちの組織と敵対してるとこじゃあなかったか。しかも何でその女の借りてるマンションうちの事務所の真裏にあるんだろう?偶然か?何だか俺に近づいてきたのも妙だし…おかしいぞっと思い始めた。
付き合いだして自宅を教えると何故か自分の家には俺を呼ぶくせに1度も俺の家には来なかった。それどころか自宅を教えたとたんに自宅の電話に雑音が良く入るようになったので、NTTを呼び調べさせると、なんと屋外の電話線に盗聴器が仕掛けてある事が判明した。犯人は特定できなかったが兄貴分に報告をし、その女とも別れた。
女にとっても必要とする情報を俺から充分引き出せたのだろう…俺にはもう用が無くなり俺の上に近づいていった。
俺が在籍していた組織は今ではその某組織の傘下になっている…同時期に俺は同じ某組織の組員と別れたばかりだという女にも急に言い寄られた。
巧妙な罠だったとすれば俺は女に弱いと見透かされていたのかもしれない(/−\)
エピソード63(電話の応対)
極道の事務所というのは大なり小なりたくさんございますが、事務所によって電話の応対が当然違います。
ここのHPの何でも掲示板に元彼のいた極道の事務所に電話する時に緊張したという女性の方の書き込みがございましたが、この哀川でさえ懲役で知り合った方の事務所に初めて電話する時などはめちゃくちゃ緊張します。
事務所によって「○○本部っ!」と怒鳴るように応対するところもあれば、「はい、○○です。」とまるで個人の自宅のように応対するところや一番、今まででビックリしたのは女性の事務員さんのような方がでて「はい、○○興行で御座います。」と応対された時、思わず違う所に電話したと思って電話を切り再度かけなおし、「あのぅ…○○一家さんとは違うんでしょうか?」と聞き直したら「はい、そうでございますよ、どのようなご用件でしょうか?」と言われ思いっきり緊張して電話したのに拍子抜けしてしまった事です。
俺がいた所は声にドスをきかせて「○○本部っ!」でしたが…(笑)
エピソード64(接見禁止)
逮捕され、すぐに罪を認めなかったり、共犯がいたりすると供述調書を警察が作る際に面会に来る第三者を通じて共犯者同士の口裏を合わせたりする事を防ぐ為に「接見禁止」という家族や友人などと面会ができない措置をされてしまう。
×月×日より、接見禁止とするという内容の紙を見せられ拇印を押させられるのだが、何も知らなかった初めての逮捕で留置場に収監された時に
「哀川、本日×年×月×日より接見禁止だからなっ!ここに確認の拇印を押せ!」と早口で言われ、意味のわからなかった俺は他のみんなは石鹸使えるのに俺だけ石鹸使っちゃいけないのか…素直に白状しないから嫌がらせなのかとか一人で悶々と考えブルーになった思い出がある(笑)
面会禁止と言ってくれれば意味わかったんすけどねぇ。
エピソード65(初めてのチンピラ)
俺が、初めて極道(チンピラ)に出くわし喧嘩を売られたのは都内某所の東○マリンというプールだった。当時13歳だった俺がプールからあがり着替えをすませ、ドライヤーで髪をセットしている時のことだった。
つるっパゲの中途半端な刺青を入れた2人のチンピラにからまれた。今考えればその2人は、きっと何かしくじり反省坊主にされてイライラしていたのだろう…せっせとヘアスタイルを整えていた俺がむかついたらしく、「兄さん、その頭かっこいいねぇ〜!決まってるよ〜!充分かっこいいからさぁ…。」
などと言ってきたのだ。
恐ろしいとか怖いという事をあまり感じなかった俺は、普通に頭のセットを続行(笑)
ついでにそのチンピラにウザイので「カッコイイでしょっ」と答えた。
あまりにもしつこく俺に何か言ってくるチンピラの事を内心、はぁ?何だこの変なハゲ2人は?あっ!なんかこれってホモとかいうやつかぁ!?と、俺は大きな勘違いをし、うわぁ寒っ!と思い急いでセットを終わらせ普通に笑顔で「じゃあね。」と言ってア然とするチンピラ極道2人に別れを告げて東○マリンを出て行ったのであった(笑)
物を知らないという事は無敵だなぁと我ながら今になって思う次第でございます。