エピソード71(味見)
麻薬などをやると舌がバカになるから飲食店勤務の料理人は味見をしながら作らなければならないので仕事のある日などはクスリ関係には手を出さないのだと、ある料理人に聞いた事がある。
料理の味見も大切だが、一方その舌をバカにしてしまうという麻薬の味見をする人間も必要とされる。上物のブツかどうかを確かめなければならないからだ。俺が、ヤクの取り引きをしていた頃、俺にも専属の麻薬味見人がいた。
ある日、その味見人がいなくて急遽、専門外のマリファナの取り引きに応じなければならなくなり、仕方無く俺自身が現金を持って品定めに行った。
直接そのような物に手を出した事の無い俺だったが、いかにも知っているふりをして、相手の足元を見て通常仕入れ価格よりも半額以下で買い叩いた。
アジトに戻ってから、大量の現物を所持しているとリスクが大きすぎる為、すぐに転売の準備をしたまでは良かったのだが肝心の味見をしておかないと売値が決められないのでどうしよう…と困った俺は自分で味見してみると何故か?気が遠くなり眠ってしまったようで起きたら次の日の朝だった(笑)。
エピソード72(社会見学)
16歳の頃、良く溜まり場にしていたコンビニエンスストアの上のマンションに住んでいらした某組織の幹部の方に「哀川君も、そろそろ不良ごっこばかりしてないで東京の裏の世界を見て今後の生き方についての参考にしたらどうだ?。」と言われ、夜の六本木、赤坂、新宿などの見学に車で連れて行かれた事がある。極道版ハトバス観光案内(笑)のようなもので、「左手に見えるあのビルが有名な○○会本部事務所で、あそこのネオンがキラキラしてる地下に降り口のあるディスコ○○が麻薬取り引きに良く使われている。」だとか説明つきのドライブだった。
一番驚いたのは街中の中央分離帯のような所で堂々と麻薬やシンナーの売人達がドライバー達に「どうですか?」と営業!?していた事だった。
俺は生まれも育ちも東京だったが、下町だった為、都心の眠らない街東京の夜に唖然とさせられた思い出がある。
エピソード73(法廷)
過去に東京地方裁判所、千葉地方裁判所などで何度も法廷の場で裁かれてきた訳ですが、皆様もご存知かと思いますが被告人(裁かれる人)が座る席の後ろは傍聴席になっており、一般の方々も裁判を見学できるようになっています。
裁判所のたいてい1階のロビーにある本日行われる裁判の簡単な内容と開始時刻etcが書かれている掲示板を見て、暴力団絡みの面白そうな事件だと傍聴席は男女学生さん達を含め多くの一般の方や当然身内の方、組関係者で埋まっているのです。
俺なんかが入廷するとすでに皆様は傍聴席に座っており、それだけでプレッシャーを感じたものでした。
ある事件の裁判では事件当時使われた凶器について、俺が普段から身に付けていた物なのか、事件を起こす為にわざわざ用意した物なのかについて検事に執拗に尋問されました。複数犯による犯行で主犯格であった俺の凶器であった為、共犯と合同裁判だったにも関わらず俺ばかり責められました。最後迄、俺は凶器準備集合罪を適用されない為に凶器は普段から護身用で持ち歩いていたものだと延々と繰り返される問答の中で言い続けたところ…その検事と俺の問答がおかしいらしく傍聴席の学生さん達がクスクス笑い出し、しまいには自分の組の人間達までクスクス笑い出したのだ。
こっちは冷汗タラタラ状態だというのに(笑)。
まぁ、結果は哀川力は普段から凶器を持ち歩く危ない男という事で決着がつき(笑)
執行猶予の判決をもらいシャバに出た訳ですが…そんな危険な奴か?俺?(爆)
裁判が終わりシャバに出た時、兄貴分に良く頑張ったなと褒められたけど・・・「お前ってホントは危ない奴なんだな笑!」とからかわれました(笑)
エピソード74(電話番号だけで…)
以前、北海道のスナック等の多角経営をなさってるママさんと知り合った事があり、そのママさんに例えばサギなどの悪徳業者の電話番号を調べてくれと頼むと数時間もしないうちに、相手の住所を教えてくれた。そのおかげで結構おいしいシノギになった経験があるのだが、電話番号だけで相手の住所がわかってしまうのだから恐ろしい…。
パソコンから電話会社のコンピュータに不正にアクセスしているのか、社員に知り合いがいて情報を流させるのかは分かりませんが…あっ勿論、哀川力の素性もバレないようにそのママさんと連絡を取る時は当然影武者を使っていましたがね(笑)
今でも哀川力の携帯電話関係は全て知り合いの名義にしております(笑)
エピソード75(悪夢)
懲役で雑居房だと就寝時、1人畳1枚分のスペースで寝るため隣りの人がイビキがすごいと大変である。
極道の方の多くは夢でうなされ寝言で怒鳴りだす人までいる(笑)
なかなか皆さんバイオレンスな夢を見る方が多いようで・・・これは一種の職業病なのでしょうか!?この俺も最近はあまり見なくなりましたが、現役の極道だった頃、しょっちゅう夢の中で人を殺したり自分が殺されていました。
俺の場合殺されてから、あぁ〜ついに死んだぁ・・・としばらくしてからフッと目が覚めるタイプなので起きてからしばらくここは何処だろう???とボーッとしている事が多い。あっ!あと塀の中ではエロい夢見て夢精する方も良くいらっしゃいましたよ(笑)