エピソード81(人の噂)
噂とはどんどん大きくなるものである。俺の噂もかなり酷いものが多い。
喧嘩になると短刀を振り回す危ない奴だとか(笑)。是非そんな危ない哀川さんに1度でいいからお会いしたいなんて上の者から伝言を預かってきたなんてのまでいた。
今時、普段から短刀(ナイフじゃなくてドスだよ)なんて持ち歩いて喧嘩になったら振り回すなんてアホいないだろうと思うのだが…(笑)
一度、街中でチンピラ5人にからまれた時なんて仕方が無いから黙ってそいつらの、言いたい放題を聞き流し、名前を名乗れと言われて素直に名乗ったらチンピラ君達の顔はみるみるうちに青ざめ「申し訳ありませんでした。自分の父親はヤクザやってまして、その父が○○町の哀川という男とだけは関わるな!中途半端な不良じゃ食われちまうぞっていつも言い聞かされてます。顔を知らなかったとはいえ…。」なんて言われて何か気分が悪くなった事もある。
食われちまうぞっ!って…俺は鬼か?人食い妖怪かよ!って思った(笑)。
人の噂も七十五日、東海エリアに潜伏してしまっている俺の噂をする人も関東じゃ、もういないだろう…。あっ!もう死んだとか長期刑務所に服役中だとか…そんな噂になっていないと良いが(笑)
エピソード82(巻き爪)
ある留置場で収監されていた時の事、俺は足の親指が巻きヅメなので、どうしてもツメが肉に刺さってしまい化膿して腫れてしまうので歩けないくらい親指が2倍の大きさになってしまった。
こりゃあ大変だということになり、警察の方に付き添われて某一般病院に車で連れていかれた。当然一般の方と同じ入り口から入り普通に診察を受けるのだが、手首には両手錠をはめられたままなのだ(笑)。
興味津々の眼差しを浴びながら病院の診察室に入りベッドに横たわり看護婦さん達に囲まれ、
「ちょっと痛いけど我慢してね〜。」なんてまるで子供をあやすように言われ、両手錠をかけられたまま、足にぶすっと麻酔の注射をうたれツメを根元からはがされた。
麻酔があまり効いていなかったせいか激痛が走り、そこは極道歯を食いしばり耐えた(笑)。
そばで途中まで見ていた警察官は「うわっ!もう見てられん…。」と言いながら診察室から出て行ってしまった(笑)。
しっかし、まさか一般の病院で最初から最後まで手錠をかけられたまま診察を受けるとは思っていなかった俺は少々恥ずかしかった。
エピソード83(踊る金融屋)
闇金融と呼ばれる高利貸しを都心某所の貸しビルでやっていた頃、俺に金融のノウハウを1から教えて下さった方が小○ファミリーなどのダンス振付師で、紅白歌合戦で色々な歌手の後ろで自らもダンサーとして出演していた、人呼んで「踊る金融屋」だった(笑)
しかし、残念な事に彼はパクられ役でもあった為にある日の緊急速報で闇金融業者摘発、代表者・○○太郎を逮捕したと報道され警察署に連行されてしまった。
逮捕され、収監されている間に彼の父親が亡くなり長男であった彼は葬儀には手錠をかけられたまま出席したそうで、悲しい思いをしたと思う。
彼はすぐに社会復帰する事が出来たが、その間彼を妊娠中の彼女は待っていてくれた。
彼は、そんな事もあり、彼女とお腹の中の子供の為にも足を洗って父親として頑張ろうと決意したと俺に語ってくれた。
がしかし、彼を雇っていたのは俺の兄貴分の義理の兄弟でありやはり極道の世界にいた事のある人間であった為、彼が足を洗いたいと申し出たら手のひらを返したように彼に冷たくあたった。
俺は、すぐに兄貴分にその様を報告し、極道くずれどもと手を切り金融業もたたんだ。
その後、兄貴分も離婚をした事により義理の兄弟と縁が切れた。極道なるものが、金の亡者になるとそれはもう極道ではなく義理も人情も無いただの外道だと思った。
結局、無事足を洗う事ができた彼は現在、昼も夜も家族の為に頑張って身を粉にして働いて頑張っている。俺としては彼がダンサーとして活躍する姿をまた見たい気もするのだが…(笑)
エピソード84(国際テロリスト)
以前にも書いたが、裁判で検察側の発言と言うのは被告人の事をいかにコイツは極悪非道で危険な奴かを最大限に裁判長にアピールする。某裁判で普段からナイフを持ち歩く危険な男と認定された!?俺が、その数年後に今度は偽造パスポート事件で裁かれる事になった。
検察側に、「被告人哀川は複数のマフィアと関係があり特に現在警視庁がマークしているX氏との交流もあり、今回発覚した偽造パスポートも氷山の一角にすぎず、そのような偽造パスポートは国際テロリストの手にも渡っていると充分に考えられ、被告人哀川はこの日本という国家を非常に危険な状態に陥れることに関与している疑いがあると思われます。」な〜んて言われた挙句、裁判長にまで「君は国際テロリストとも関わりがあるのかね?。」と質問される始末(笑)。
内心俺は「んなわきゃねーだろっ!このモウロクじじぃ!」と思ったが、何もフォローに入ってくれない女性弁護士と共に撃沈され(笑)実刑判決をくらい弁護士は、まさかの敗北に涙ぐんで裁判後に俺に面会に来てくれたが俺は喜んで懲役に行かせていただきますと弁護士が落ち込まないように励ました(笑)。
しかし、ナイフ男から国際テロリスト…次は一体何にされる事やら…(笑)
エピソード85(東京拘置所)
現在は立派な!?近代的な建物になっている東京都葛飾区小菅にある東京拘置所も俺が、初めてお世話になった頃はドラキュラハウスのようないかにも幽霊がでそうな外観の古ぼけた恐ろしいイメージの建物で実際に幽霊がでる怖い所でした。
この幽霊屋敷に入所する時には、犯罪者であれば政治家だろうが社会的地位がある人だろうが誰でも全員規則なのでケツの穴まで調べられる(笑)。
調べる方もイヤだと思いますがっ(笑)。舎房では壁に背をもたれて座る事も禁止され、雰囲気はまるで軍隊!そのもの…とにかく厳しい所という印象があった。
ある日、その厳しい生活に耐えられなくなった俺達は平均年齢層が若い部屋だった為、長机の周りを一列に並んで走りながら「懲役上等!」とか「保釈請求通りますように」とか「○○ちゃん待っててね〜っ」とかアホな事を各自めいめいが好き勝手に叫んでいる現場をおもいっきり刑務官に見つかってしまい怒鳴られた(笑)。
通常なら見つかり次第罰則なのだが、何故か刑務所の中も学歴社会で俺のいた部屋の房長が大卒だったので見逃された。塀の中でも学歴とお金がモノを言うんだなぁと、実感した初めての東京拘置所でした(笑)。
新しくなった東京拘置所の中、見たい気もするが、その後の刑務所は勘弁願いたいっす(笑)