エピソード96(出所後初めて口にしたもの)
出所後、まっすぐ東京へ帰った俺は兄弟分の小川英二が迎えにくるまでコンビニエンスストア・ミニス○ップで待つことにした。早朝出所で朝から何も食べていなかった俺は懲役ボケが著しかったようで(笑)、クリ○ミーサンド(ハンバーガーみたいなやつ)を頼もうとして、そんな商品はとっくに販売してない事に気付き…仕方なく頼んだのがパ○ーニとかいうやつだったのだが、一口食べたらウンザリ…。そう、刑務所では調味料をあまり使っていないエサばかり食べさせられていたので舌が超薄味に慣れてしまっていてシャバの食べ物が口に合わなくなってしまっていたのだった。
その後、舎弟と焼肉を食べに行っても食べられず、結局2週間くらいまともに食事ができず夜寝る時も時計の針の音すら気になって不眠症になるわで最悪でした。結局やっとまともに食べられたのは寿司だった(笑)
エピソード97(しびれる寒さ)
今まで、関東の東京、千葉、埼玉(川越)の拘置所及び刑務所、北海道の様な寒冷地の刑務所等で冬の寒さを経験してきたが、寒冷地なんかはスチームという暖房のような物が設置されていて作業場にもストーブがあり夏は作業上コンピュータが置いてある部屋はエアコンまであり、快適であるのに比べて、関東は寒冷地と指定されていない為、凍え死ぬんじゃないかと思う程の寒さ、夏は暑くてたまらない経験をした。
川越少年刑務所や千葉なんかは隙間風がビュービュー入ってきてマジで死ぬかと思いました。
せめて冬は日本全国スチームくらい入れて欲しいものである。
エピソード98(Y組N会の若衆)
ある留置場でN会がY組だった頃、そこの若衆と同じオリの中で仲良くなった事がある。俺より年下で、N会で頑張りY組を盛り立てていくんだと熱く語っていた。
緑のたぬき、赤いキツネの他に同じカップの形で黄色い長崎チャンポンがあると彼が言うので俺は、「そんなのあるわけね〜だろ!」と言い1000万円のかけもした(笑)。
時には、運動不足にならぬように力比べやスクワットや腹筋で競い合ったりした。
なかなか、気合いの入った若衆で体に未完成の刺青も入っていた。
今後の極道の世界でうまく生き延びるこつなんかも相談され、俺は極道は誰につくかを間違えると本当に貧乏くじを引くはめになるから心して精進しろよっ!な〜んて俺も未熟者だったが教えてやった(笑)。「頑張れよ!元気でなっ!」と言い残し俺は先に拘置所に移送され裁判で執行猶予の判決をもらいシャバに出た。それから数週間後、あの事件が…N会が同じY組内のT組組長を射殺した疑惑によりN会はY組から抜ける羽目になってしまった。極道は誰につくかで…俺が俳優だったら絶対にファンになると言ってくれた彼が(笑)
今、どうしているのかは知らないが、全く皮肉なものだと思った。
エピソード99(某刑務所・本購入ランキング)
これは、俺が某刑務所で図書係をやっていた頃、収容者全員の本の購入を管理していた本の注文の統計をとったものである。(適当だけど笑)
第10位―和洋中いずれかの料理または菓子作りの専門誌。
第 9位―裏モノJAPAN、実話ナックルズ、ラジオライフなど、ちと怪しい系。
第 8位―るるぶじゃぱんなど、るるぶ系の旅行系。
第 7位―東京ウォーカー、関西ウォーカーなどのwalker系。
第 6位―刺青系専門誌、tattoo、刺青写真集。
第 5位―Carセンサー、A-Cars、など車系の雑誌。
第 4位―話題になっている新刊の小説。
第 3位―エロ本系。かなりマニアックなもの〜写真集。ホモ雑誌。
第 2位―ヤンマガ、ヤンジャン系一般週間、月刊誌。
第 1位―実話ドキュメント、実話時代、実話時代BULLなど極道系雑誌。
と、まぁこんな感じでした。全収容者の↑これらの本の注文をとり、本が届くと
その本全部を台車に乗せて各工場や舎房に運ぶ仕事をしておりました。
誰が何を頼んだか全部把握していたので、うわっコイツ超変態だなぁとかホモかよっ!
とか言って笑いながら配っておりました(笑)

エピソード100(ポーカー)
今では結構有名になり極道専門誌などに取材されているB氏が、ある時某関東刑務所出所後、住む所が無く俺の家に一ヶ月程居候していた事があった。出所後しばらくはすぐに復帰する事は無いので、ゆっくりしていただいた。
家にあったPCエンジンとかいう古いゲームのアーケードポーカーにB氏は夢中になっていた。
俺も一時期夢中になっていた事があったが、全部クリアする事など到底出来ない代物で、ゲームセンターにあるポーカーゲームとまるで同じ内容のものだった。
ある日、俺が本部事務所で当番をしていると、B氏から電話が入った。
「○○本部!」と俺が電話に出るなり、「やったぞっ!全部クリアしたぞっ!」その後ゲームのエンディングを詳しく語って下さった。
その後、勢いに乗って街中のポーカーゲーム屋に、せっせと足を運ぶようになったB氏、性格狂暴な為、負けると金属バットで大を壊し、負けた分の金はそっくり取り返していた(笑)