雑草の世界へ

カモジグサ

カモジグサ (Elymus tsukushiensis Honda var. transiens (Hack.) Osada)

2008年5月30日。路傍にごく普通のイネ科植物。日本、朝鮮半島、中国に分布し、在来種としてなじみ深い。イヌムギ、ネズミムギ、オニウシノケグサなど外来種がはびこる前には、路傍のイネ科植物の主流はこの植物だったように思う。近縁のアオカモジグサとは外穎と内穎の長さの違いによって区別できる。カモジグサでは両方とも同長であるが、アオカモジグサでは外穎より内穎が短い。カモジとは、日本髪のかもじのことと思われるが、いかにも在来種らしい名前である。

チチコグサ (Gnaphalium japonicum Thunb.)

5月30日。道ばたに見かけるキク科の在来種で多年草。写真のものは路上の石板の継ぎ目に生えている。近頃は外来のチチコグサモドキやタチチチコグサが増えたせいか、チチコグサが少なくなったように思える。ハハコグサに似ているが姿がやせているので父子とつけたとある(北村四郎 朝日百科「世界の植物」)。ハハコグサと比べても、見栄えのしない植物である。

チチコグサ
チチコグサモドキ

チチコグサモドキ (Gnaphalium pensylvanicum Willd.)

5月30日。北アメリカ原産のキク科1〜2年草。大正または昭和初期に渡来して日本各地に増えたらしい。2、3年前は非常に多く見かけたが、今年は比較的すくないような気がする。もう一つの外来種タチチチコグサが増えているせいか。チチコグサはぱっとしない植物だか、チチコグサモドキはさらにぱっとしない植物。名前がその感じを助長している。

オッタチカタバミ (Oxalis stricta L.)

6月4日。北アメリカ原産のカタバミ科の多年草。第二次大戦後に入ってきたらしい。この数年間で、路傍に多く見かけるようになった。わが庭にも侵入してきた。学名のstrictaは「直立の」の意味、また英語名はupright yellow-sorrel(直立の黄色いカタバミ)というので、それらを日本語にあてはめて和名としたのかもしれないが、一度聞いたら忘れないおかしな名前である。これからますます増えてゆくような気がする。

オッタチカタバミ
ムギクサ

ムギクサ (Hordeum murinum L.)

6月22日。ヨーロッパ原産のイネ科オオムギ属植物で、穂のかたちはオオムギとよく似ている。しかし、オオムギよりずっと草丈は低い。枯れると、小穂がぱらぱら落ちる。オオムギはそのようなことはない。いかにも野生種である。1868年にSavatierが横浜で採ったのが日本での最初の記録(長田武正 日本イネ科植物図譜 平凡社)とあり、かなり古い帰化であるが、それほどはびこってはいないように思える。

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