○赤い乳母○

ゼノビア城の一角。トリスタンとラウニィーが、眼下の会場で慌ただしく動き回るシャル達を見ている。
トリスタン(ジェネラル)
「・・・忙しい奴だな、こういう事になると」
ラウニィー(フレイア)
「ま、あれがシャルらしくっていいんじゃないか?」
バーニャ
「いけませんな王妃様」
(いつのまにか二人の背後に立つバーニャ)
ラウニィー
「・・・誰だあんた?」
バーニャ
「王妃になろうという方がなんという言葉遣い。ハイランドの名門・ウィンザルフ家のご息女と聞き及んでおりましたが、聞き違いでしたかな?」
トリスタン
「ば、バーニャ・・・何故ここに?」
バーニャ
「皇子、いえ陛下。王位に即位なさると同時に妻を娶られると、しかもあのヒカシュー大将軍のご息女を娶られると、野に放っておいた侍女達から知らされて誠に祝着の至りと思っておりましたが・・・なんですかこれは」
ラウニィー
「これたぁ何だこれたぁ。おい、なんだこいつは」
(バーニャ、瞬時にラウニィーに詰め寄り両頬をつねる)
バーニャ
「お行儀の悪いのはこの口ですか?この口ですか?」
ラウニィー
いひゃひゃひゃひゃひゃ・・・
(訳:いたたたたた・・・)
バーニャ
「あの厳格にして高潔なるヒカシュー様が育て上げたご息女、さぞや気品漂う立派な子女と思うておりましたに・・・」
ラウニィー
わうかっひゃひゃへ!
(訳:悪かったわね!)
(バーニャ、手を放してトリスタンに向かい)
バーニャ
「しかしこのバーニャめが来たからにはご安心下さい陛下。王妃に相応しいレディに仕込ませて頂きます」
トリスタン
「仕込むって・・・ばーにゃ?」
バーニャ
「陛下、今、何気にひらがなで呼びましたな?」
トリスタン
「あっ!いやすまん!・・・よ、よしなに頼む
バーニャ
「は、身命を賭して」
ラウニィー
いててて・・・ちょっと待てコラ!勝手に話を進めんなやテメーら!」
(バーニャ、瞬時にラウニィーに詰め寄り両頬をつねる)
バーニャ
「ほほ、久しぶりに鍛え甲斐のあるお嬢様ですこと。このバーニャ、久々に血がたぎりますぞ♪」
ラウニィー
あひゃひゃひゃひゃ・・・
(訳:あたたたた・・・)
バーニャ
「では、ラウニィーお嬢様は早速連行致します。(ぱんぱん)」
(侍女連、ラウニィーを担ぎ上げて室外へ連行。バーニャ、それについて退室)
トリスタン
「あ、ああ・・・。行ってしまった・・・。乳母のバーニャにしてあれだ。私の母はいかばかりであったのであろう・・・。母とはああいうものなのであろうなぁ・・・」
天の声
「違うぞ」
なすすべもなく侍女連に連行されるラウニィーは一体どうなるのでしょう?
そして、何か盛大な勘違いをしているトリスタンは・・・?


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