○悩める男○

ゼノビア城の一室。ここに、騒がしい場所を避けるように一人机に向かって悩む男がいた。
デボネア(ジェネラル)
「・・・」
天の声
「何を悩んでんだ。読者様にわかるように台詞にしろ台詞に」
デボネア
「人の事だと思って気楽な事を・・・。まぁいい。大体の予想はついているだろうからな」
天の声
「お、わかってきたじゃないか」
デボネア
「好きで解ったわけじゃない!・・・ノルンの事だ」
天の声
「ほう、恋の悩みという奴か。略してコイなや」
デボネア
「くっ・・・。俺は正直、ノルンを愛している。少し困るところもあるが、それは一度たりと揺らいだ事はない事実だ」
天の声
「のろけ話かよ。略して・・・」
デボネア
「略すな!・・・ただ、あの通りの女だから、もし俺がふと居なくなったらどうなるかと思ってな。知らせておくべきか否か、知らせるなら面と向かってするか置き手紙でもするか・・・」
天の声
「なるほど、するとお前はゼノビアには残らんのか?」
デボネア
「俺は帝国を倒したくて倒したわけじゃない・・・。出来る事ならばお救いしたかったが、もう過ぎた事だ・・・」
フィガロ
過ぎた事とはなんだ貴様ーッ!
(突如デボネアの目の前に現れるフィガロ)
デボネア
うわぁっ!?
フィガロ
「ええい、このくらいでいちいち驚くな!」
デボネア
「ふ、普通お前の様な奴が目の前にいきなりあらわれたら驚くものだ!」
フィガロ
「むっ、そういえば俺はいま霊体だったな。はっはっはすまんすまん。いやすまんじゃない!俺はそんな言葉を聞く為にデュランダルを渡したのではないぞ!」
デボネア
「む・・・すまんフィガロ。陛下を救う事もできずに・・・。俺にはもう、剣を振るう理由がなくなったのだ・・・」
フィガロ
「貴様・・・陛下のご意志、忘れたとは言わさぬぞ!」
デボネア
「陛下の・・・」
フィガロ
「『ゼテギネアに平和を』。我々はそんな陛下に忠誠を尽くした。ラシュディのせいでひんまがったが、この大前提は死んでも消えてはいない」
デボネア
「フィガロ?」
フィガロ
「うむ。あちらでは陛下とお会いする事が出来た。俺が貴様の事を話すと陛下はこう申された」
エンドラ(ブラッククィーン)
「私が死んだのは私の意思。たとえお前達が一緒であっても、これは覆らなかったろう。あまりデボネアを責めてやるな」
フィガロ
「・・・と」
デボネア
「陛下・・・。・・・へいか?」
エンドラ
「平仮名で呼ぶなたわけもの!」
フィガロ
「そう、陛下と呼べ。・・・へいか?」
エンドラ
「ええい、刺し身にしてくれる貴様らーッ!
(どんがらがっしゃん)
二天王
うわーっ!?
しばらくお待ち下さい。
フィガロ
「ともかくだ。お前が未だにノルンノルンと頭を悩ませておるのにイライラさせられてここまできたのだ」
デボネア
「・・・だが、これ以上ノルンに危険な思いはさせたくない。話せば『ついていく』と聞かないだろうし・・・」
フィガロ
「なら黙っていけばよい。ノルンもガキじゃない、わかってくれるさ」
デボネア
「いや、しかし・・・」
フィガロ
「お前、ノルンの事を信じられないのか?」
デボネア
「・・・そう、そうだな。すまんな、結局その言葉が聞きたかっただけかもしれん」
フィガロ
「フッ・・・」
エンドラ
「デボネア、旅に出るのは構わぬが・・・子種くらいは植え付けたのであろうの?ん?」
デボネア
「へ、陛下・・・」
エンドラ
「離れておっても、愛する男との愛の結晶が我が内にいると思えば、会えぬ苦しみなど感じぬものじゃ。で、どうなのじゃコラ。こっそり我に教えんかい」
フィガロ
「俺も数に入れて下さい陛下」
エンドラ
「うむ、苦しゅうない」
デボネア
「あの・・・」
(そこへ勢いよくノルン登場)
ノルン(ビショップ)
クアス!
デボネア
「のっ、ノルン!?」
エンドラ
「ちっ、折角いぢめておったに・・・」
ノルン
「行くつもりなの?!私をおいて?」
デボネア
「いや、ノルンあのな・・・」
ノルン
「・・・わかってるってば。でも、帰ってきてね、必ず」
デボネア
「ノルン・・・。ああ、必ず帰ってくる!」
ノルン
「クアス・・・」
エンドラ
ほれ、そこで一気にがばっと・・・
フィガロ
ええい、じれったい奴め
デボネア
陛下、フィガロ、ちょっと外してくれないか?
エンドラ
「お?いやっははは!我ともあろうものがつい興奮してしまったな」
ノルン
「・・・なんか、暫く憑いてきそうな気がする」
ノルンの了承を得たデボネアは・・・。なんでしょう??
ところで、また登場してしまいましたね。
フィガロ
「お前、わざとやってるだろ」
天の声
「いえいえ滅相もない」
エンドラ
「やることもやらんと旅に出る様な男は男ではない」
フィガロ
「陛下、そろそろお時間が・・・」
エンドラ
「うむ。ではぼちぼち帰るか」
お疲れ様でした〜。


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