「旦那様、お城の馬車がきました。なんでもお嬢様を迎えに来たとか・・・」
アイリーン「私を?いったい何事かしら・・・」
役人「ともかく、あなたを即刻お連れするようにとの御命令で・・・ささ、早く」
アイリーンは迎えの馬車に乗り、城へと向かった。
国王「おお!アイリーン、よく来たぞ。立派に成長したものだ。ダイナー殿がお前を引き取った時は、ほんの小さな子供であったが。余も年を取るはずだ」
アイリーン「王様、御機嫌うるわしゅうございます・・・」
国王「うむ、まことに余の機嫌はうるわしいぞ。あの勇者ダイナーの子がこのように立派になって今、余の前におるのだからな」
アイリーン「父も王様によしなに伝えてくれと申しておりました」
国王「そなたは美しくなった。この世の者とも思えぬ程。国中の男がそなたに恋心を抱いておるぞ」
アイリーン「まあ王様・・・・・・お上手ですね」
国王「余も一人の男として、そなたが他人のものになるのを我慢できぬ。どうじゃ、余の側室になってはくれぬか?」
アイリーン「・・・?!」
寵姫「まあ、王様ったらお后様が亡くなったばかりなのに不謹慎ですわ」
アイリーン「王様・・・・・・私はそんな・・・」
国王「承知してくれれば王宮内に立派な屋敷を建ててやろう。ダイナー殿への俸給も5倍にしよう。」
アイリーン「・・・困ります」
国王「余ももう長くはない・・・残り少ない余生を慰めてはくれぬか・・・・・。ゴホゴホ・・・うっ!」
寵姫「王様・・・お気を確かに!ねえ、あなた。王様は御病気なのよ。私からもお願い。王様のそばについてあげて!」
アイリーン「で、でも・・・・・・」
国王「・・・もうよい・・・アイリーン、無理を申してすまなんだな」
アイリーン「わかりました、王様。私は王様のおそばに参ります」
国王「おう!そうか、これはめでたい。これ寵姫よ、先輩としてアイリーンに色々しつけてやってくれ。やれ嬉しや」
アイリーン「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
こうしてアイリーン・ダイナーは王の寵姫として城で暮らす身となった・・・ |
Good |
---|
王の寵姫としてお城で暮らすことになったアイリーン。寵姫とは要するに王のお妾さんなのだが、相手が王ともなると、ただ奇麗で色っぽいだけでは勤まらない。 もし子供を身ごもれば、その子は王位継承権のある立派な王子(もしくは王女)となるのだ。だから寵姫は王族並みの扱いを受けるし、それに相応しい気品も要求されるのだ。 その点、アイリーンは王の一族さえかすんで見えるほど程の気品を備えていた。お城の人々は、「アイリーン様の美しさはこの世の者とも思えぬ」と噂しあった。 そう、たしかにアイリーンはこの地上に生を受けたものではないのだ・・・ 「お父様、安心して。私は元気にやっています」 |
Normal |
---|
王の寵姫としてお城で暮らすことになったアイリーン。寵姫とは要するに王のお妾さんなのだが、相手が王ともなると、ただ奇麗で色っぽいだけでは勤まらない。 もし子供を身ごもれば、その子は王位継承権のある立派な王子(もしくは王女)となるのだ。だから寵姫は王族並みの扱いを受けるし、それに相応しい気品も要求されるのだ。 アイリーンは同世代の普通の女の子に比べれば、遥かに高い気品の持ち主であったが、王の寵姫としてはまだまだ修行が必要だった。 お城には古いしきたりがたくさんあって、それを守れねば恥をかくことになる。アイリーンの美しさは誰もが認めるところ。 しかしお城の人々は「寵姫様は少々お行儀が悪い」と噂しあった・・・ 「お城のしきたりって難しいわ・・・王様はやさしいけどね」 |
Bad |
---|
王の寵姫としてお城で暮らすことになったアイリーン。寵姫とは要するに王のお妾さんなのだが、相手が王ともなると、ただ奇麗で色っぽいだけでは勤まらない。 もし子供を身ごもれば、その子は王位継承権のある立派な王子(もしくは王女)となるのだ。だから寵姫は王族並みの扱いを受けるし、それに相応しい気品も要求されるのだ。 花も恥じらう美しさのアイリーンだが、こと気品に関しては自信がなかった。堅苦しいことが苦手なアイリーンにとって、お城の暮らしは窮屈で、不可解な作法が多すぎた。 欲しいものは何でも手に入るし、王は優しくしてくれる。しかしアイリーンは毎日、息が詰まりそうだった・・・ 「神経がすり減っちゃいそう・・・でもくじけないわ」 |