11 龍馬の明治 龍馬の明治 16 Coming Soon
12 シャーロック・ホームズの秘密シリーズ シャーロック・ホームズの秘密 シリーズ 17 Coming Soon
13 宇宙空母ブルーノア 宇宙空母ブルーノア 18 Coming Soon
14 オリエント急行の殺人 オリエント急行の殺人 19 Coming Soon
15 銀河旋風ブライガー 20 Coming Soon
をクリックすると、コラムに飛びます










 
龍馬の明治
著  者 中津 文彦
〈略 歴〉
種  類 歴史 I F
初  出 2003年
巻  数 上・下
出  版 光文社
光文社文庫
── Story ──
慶応三年(1867)十一月十五日。坂本龍馬、暗殺者の凶刃に倒れる!正史ではそう伝えているが、実は九死に一生を得てその後も活躍した ─────

徳川慶喜による大政奉還後も薩摩・長州が武力倒幕を目指し、諸藩もそれに同調する機運が広がっており、一方、欧米列強は他のアジア諸国同様、日本の内乱につけ込もうと虎視眈々と隙を狙っていた。だが龍馬は、倒幕ではなく廃幕による無血での日本改革を目指し、陸奥陽之助(後の宗光)と共に精力的に薩長、旧幕府、そして諸外国に働きかけ、その努力が実り龍馬の構想による新政府が誕生する。それは、諸外国の制度を手本にした民主政体を基本にした政府だった。手始めとして内閣が組織され、選挙によって政府の筆頭に薩摩の西郷隆盛が選出されたが、この西郷政権誕生に旧幕臣の憤懣が噴出。また、廃藩置県、士農工商の撤廃などの政策による旧士族への改革を、不当な圧迫と感じた旧徳川家家臣をはじめとする士族の不平不満が遂に爆発し、内乱へ向かった。その内乱は、政府の適切な対応により大きく広がることなく終息するが、続いて欧米列強やロシアによる内政干渉が始まり、未だ不安定な新政府は動揺する。病気の西郷に代わり総理の座に就いていた岩倉具視は、自らの失政により解任。内憂外患の非常事態に急遽、総理となったのは坂本龍馬だった。龍馬総理は事態を打開するために奔走。ロシアが狙っていた朝鮮を開国させる特使に病気療養していた西郷隆盛を任命し、丸腰外交による説得で三年後、日朝修交条約を締結する事に成功する。ようやく外交に明るい兆しが見えてきた時、日本の対朝政策に不満を持つ清国の砲弾が日本艦隊に向かって発射された ───── 果たして龍馬は、自身が描く理想の日本を実現する事が出来るのか?
 坂本龍馬が生きてあれば、鳥羽・伏見の戦いから始まる内戦は起きなかった──── という説がありますが、では龍馬が生き延びていたらどんな政府を作り、その後の日本にどのように関わったのだろうか?管理人を含めて坂本龍馬のファンは、多かれ少なかれ想像するものです。
 その想像を物語にした歴史シュミレーション″品は多々出ていますが、この作品の面白いところは、龍馬延命後の動きを全てフィクションにするのではなく、実際に起こった歴史の動きと連動させて『龍馬ならこの時どう動くか?』を描いているところです。
 また、西郷吉之助や木戸孝允をはじめ維新の元勲達も登場しますが、物語の色々な場面での言動が、彼等ならそう言う(動く)だろうなあ、と思わせる描き方をしているので、幕末好きの人には更に面白く感じられるでしょう。

 歴史家は、正確過ぎる程正確な歴史の構築を求められますが(尤も正史≠ニ言われているものがどれほど正確か判りませんが)、小説家や好きモノは歴史を知った上で想像するor創造する℃ゥ由があります。しかし、人物や時代背景を借りた全く別の話にするなら別ですが、『もし〜だったら』を小説にするには書き手にセンスがかなり要求されるし、センスが無い人間が書いたら目も当てられなくなるでしょう。そう言う意味で、この作品はそこのところを上手く書いてあると思います。
 但し、最後のオチは『ちょっと待て!』とツッコミを入れたくなりましたが(笑)
2005.4.14 Thu 記










 
シャーロック・ホームズの秘密 シリーズ
著  者 ジューン・トムスン 〈略 歴〉
訳/押田 由起 〈略 歴〉
種  類 Pastiche
初  出 別 記
巻  数
出  版 東京創元社
創元推理文庫
── Story ──
名探偵シャーロック・ホームズの親友であり、事件記録者のジョン・H・ワトスン博士が世間に発表した事件の一つ『ソア橋』の冒頭で、聖典読者には有名な以下の一説がある。

『チャリング・クロスのコックス銀行の地下金庫のどこかに、元インド軍付、医学博士ジョン・H・ワトスンとふたにペンキで書きこんだ、旅行いたみのしたガタガタのブリキの文箱が保管されているはずである。このなかには書類がぎっしり詰まっているが、その大半はシャーロック・ホームズがいろんなことから捜査にあたった奇怪なる事件を記録したものである。そのあるものは、面白いことに、まったく失敗だった。そういうものは、最後の解決がないのだから、まずお話にならない。 ─ 《中略》 ─ こうした未解決の事件はべつとして、一家の秘密に関することで、それがもし活字になりにでもすると、多くの上流家庭を恐慌におちいらせるようなものも幾つかはある。いうまでもないことだが、かかる不信の行為は許されるべきでもないし、この種の記録は事件の暇を見てホームズに選りわけてもらい、破棄するとしよう。それでも残るところは、興味の大小こそあれ、かなりの件数にのぼるのである』

と、ワトスンが語っているブリキ製の文書箱が百年の後、ミドルネーム違いの哲学博士であり、ホームズ研究家のジョン・F・ワトスン氏によって発見された。それらはいずれも発生当時、発表するには何らかの障害があった事件であり、記録を残しても陽の目を見る事がなかったものである。文書の発見者であるワトスン氏も様々な事情から世に発表するのを控えていたが、所有者のF・ワトスン氏の死後、この文書の遺贈を受けた甥のオーブリー・B・ワトスン氏によって発表される事となった。

─── 一世紀の時を超えて、名探偵ホームズと親友ワトスンの活躍が甦る。
ワトスン博士のがたがたのブリキ製文書箱が、またひとつ新たに発見された。
これまでの多くの紛いものとちがって、これは本物かもしれないと思わせる。
── Crime&Detective Stories1990年11月号Geoff Bradley氏の評 ──

 ワトスンが様々な事情から発表しなかった事件の原稿が見つかったので発表する事になった ─── これはホームズモノをドイル卿以外の作家が書くときの定番ですが、この『秘密』シリーズもそのセオリーを踏んだ作品です。ですが、その未発表原稿の発見のから発表に至るまでのシチュエーションにも気を配っていて、読み手に『なるほど』と思わせてから物語に入っていくところはナカナカ上手い!モチロン、書かれている作品(事件)もそれぞれに力が入っていて、色々なトリックを使ったり、アクションがあったりと楽しいですが、何よりそれぞれの事件が何故発表できなかった(しなかった)かという理由を事件ごとに説明していて、それに納得させられてしまいます。ドイル卿の書いた『聖典』の中に出てくる小さな事件の名前から、話を膨らまして作品として成立させるのは並大抵の事ではないでしょう。残念ながら管理人は浅学菲才なのでドイル卿の『聖典』を原文で読んだ事は無いのですが、この作品の原文はドイル卿の書き方にかなり近いようです。それもあって上記のように賛辞を送られているんですが、やはり『イギリス人が書くホームズ』という部分も大きいんでしょうね。

 このジューン・トムスン女史が描くホームズ物語は、パロディではなくパスティーシュと呼ばれる形態の作品です。現在は『パロディ』というのは説明しなくても何となくニュアンスが伝わりますが、パスティーシュというのは馴染みが薄いでしょう。辞書によるとパスティーシュとは『音楽・美術・文学で、先行作品の主題やスタイルを模倣・剽窃・混成などの手法によって改変してできた作品。パスティシュ』とありますが、日本語では適当な訳語が無くて『贋作』と訳されています。しかし、辞書の解説を見ると贋作と言うより模倣、模写に近いので『模作』といったほうが良いと思います(因みにパロディは『文学などで、広く知られている既成の作品を、その特徴を巧みにとらえて、滑稽(こつけい)化・風刺化の目的で作り変えたもの。日本の替え歌・狂歌などもこの一種』と出ています)。日本ではパロディは多くありますが、質の良いパスティーシュには余りお目にかかりませんねぇ。

 名探偵の代名詞、シャーロック・ホームズが世に登場したのが1887年。それから百年以上(世紀で言うと19・20・21と足掛け三世紀)を超えて読み続けられていますが、その間ホームズファンが思ってきたのは、『もっとホームズモノが読みたい!』という事でした。その為、ドイル卿が健在の時には新作の催促が編集者やファンからあったのですが、当の本人がホームズモノを書くのを嫌がっていたので、当然寡作にならざる得ませんでした。ドイル卿が亡くなった後は、勿論新作を読む事は不可能になった訳ですが、それでもファンはホームズの活躍を見たいと思ったのです。その鬱憤を晴らすためか、はたまたホームズの成功にあやかろうとしたのか、数多くのパロディ・パスティーシュ・ホームズが多くの作家によって描かれてきました。何しろ1891年7月、『ストランド・マガジン』にホームズの短編が掲載されたその年の11月にはパロディ小説が出たそうですから、パロディ、パスティーシュの世界も聖典と同じく一世紀以上の歴史を持つ訳です。

 2000年の『ドキュメント』以降暫くこのシリーズが出ていませんが、イギリスの方では2004年に新たな短編集『The Secret Notebooks of Sherlock Holmes(秘密ノート)』が出ていますので、東京創元社さんには早く邦訳版を出してもらいたいですね。また、管理人はこのシリーズを『ドイル卿ホームズの続編』と勝手に思っていますので、トムスン女史には出来るなら聖典に負けない数の作品を発表してもらいたいと思っています。出来たら長編もお願いしたいなあ\(^O^)/
 このシリーズの日本語タイトルは、最初の『秘密ファイル』以降は『クロニクル』『ジャーナル』『ドキュメント』となっていますが、原文の方を見て頂けば判るように全て『THE SECRET〜』と付いていますので、正確に言うと『秘密クロニクル』『秘密ジャーナル』『秘密ドキュメント』となるので、このコラムのタイトルを『シャーロック・ホームズの秘密シリーズ』としました。
2005.8.12 Fri 記
関連コラム 書籍界/小説門
映像界/作品門










 
宇宙空母ブルーノア 宇宙空母ブルーノア
著  者 若桜木 虔
〈略 歴〉
種  類 アニメノベライズ
初  出 1980年4月15日
巻  数
出  版 集英社
集英社文庫 コバルト・シリーズ
── Story ──
── 若き獅子たちの誕生 ──
西暦2052年。不気味な大流星群が、地球に接近しつつあった。しかし、華麗な天体ショウが繰り広げられたその裏で、恐るべき事態が進行していた。数日後、理工科学院の生徒、日下真、和泉洋、田村道郎は、見知らぬ小型宇宙艇が、辺りを無差別爆撃してゆくのを見た。爆撃は容赦無く続き、ビルは崩れ落ちた。彼らはそれぞれの家族の姿を探しまわる。そんな中、真は瓦礫に押しつぶされた父を発見する。何とか助けようとする真にポイントN1に行け、そこに地球の未来がある・・・地球の未来 ─── ブルーノアだ・・・≠ニ言い残し息をひきとった。そこで生き残った学生達は真の父の言葉の謎を解くため、生き残った学生と途中助けた『土門慶』と名乗る女性と共に、海洋開発センター・ポイントN1へと向かった。やがて到着したポイントN1で真たちが見つけたものは、最新鋭の装備を施された巨大空母『ブルーノア』だった。

── 人工惑星ゴドムとの対決 ──
人工惑星ゴドムの侵略と、環境改造によって地球は破壊されていった。戦略空母ブルーノアは、反重力エンジンを装備して宇宙空母となるため、エンジンを建造中のバミューダ海域のポイントN9へ急いだ。途中、オーストラリアの山中で、動物の遺伝子情報の保存をしていた学者を救出する。ゴドムが地球改造のための重力コントロールセンターを、南極と北極に建設中との情報を得て、これらを壊滅するため南極にブルーノア、北極に潜水艦シイラが向かった。だが北極に向かったシイラはゴドムの反撃に遭い、清水艦長は戦死。真が指揮を執り何とか危機を脱してブルーノアと合流した。やがて、数々の困難を乗り越えてポイントN9に到着したブルーノアは、完成した反重力エンジンを搭載し『宇宙空母』として生まれ変わる。そして、ゴドムに最後の決戦を挑むため宇宙に飛び立った。
 ヤマトブームの再現を狙って創られたアニメ『宇宙空母ブルーノア』のノベライズ版。アニメの方はファンの多大な期待を思いっきり外して巷では色々と言われてましたが(笑)、管理人は結構好きだったので殆ど毎回見ていました。ただ、管理人と同じ意見の人は少なかったようで2クール(24話)で打ちきられ、再放送も1、2回あったハズなんですがそれも無くなり、当時家庭用ビデオデッキはまだまだ普及しておらず、録画保存なんて考えられない時代でしたから、以降見るのが難しいアニメになってしまいました。そこでノベライズを読んで、アタマの中で記憶を甦らせながら楽しんでいた訳です。

 著者の若桜木虔氏は、これ以前に宇宙戦艦ヤマトのノベライズを3冊書いていて、西崎作品のノベライズはお手のものでしたから、この作品も軽快なタッチで描いています。ただ、若桜木氏の小説は良く言えば読み易い、悪く言えば残るものがあまり無い文章なので、イマイチ元のアニメ作品の雰囲気と言うか、臨場感と言うか・・・が伝わってきません。尤もこれは良い、悪いではなく、好きか嫌いですから、読む人によって感想が変わってくるかもしれませんが。それともう一つの特徴は、物語の進行や細かな設定が変わっている事があります。もちろん作品全体の態勢には影響が無い部分でですが、アニメを知っている者としてはアレッ≠ニ思う事があります。まあ、簡単に見る事が出来ない作品が読める訳ですから、贅沢は言えませんでしたが。

 2002年に『宇宙空母ブルーノア』のDVDが発売されて、ようやくこのアニメも簡単に見る事が出来るようになりましたが、それまでは小説と音楽だけが作品を思い出す術だった事を思うと、ブルーノアに限らずマイナーな作品でも見られる現在は良い時代だなぁ・・・とつくづく思います(^^)
2005.12.25 Sun 記
関連コラム 音楽界/動画・特撮門








 
オリエント急行の殺人
原題/MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
著  者 アガサ・クリスティ 〈略 歴〉
訳/長沼弘毅 〈略 歴〉
種  類 Mystery
初  出 1959年10月16日
巻  数
出  版 東京創元社
創元推理文庫
── Story ──
オリエント急行に乗り合わせた乗客は積雪に閉じ込められてしまう。その翌朝一人の乗客が、全身に十数ヶ所の刺し傷を受けて死んでいるのが発見された。たまたま列車に乗り合わせていたエルキュール・ポワロは、同じく乗り合わせたオリエント急行の重役の依頼で捜査に乗り出す。現場の僅かな証拠から、被害者がアメリカの凶悪な誘拐魔であった事が判明する。犯行は誘拐被害の関係者によるものか?しかしオリエント急行の乗客は、イギリス人、アメリカ人、ロシア人、イタリア人、フランス人、スウェーデン人と雑多であり、皆縁もゆかりも無い。そんな中、ポワロの前に乗客が一人ずつ呼ばれ審問される ─── だが、あらゆる乗客に動かしがたい完璧なアリバイがあった。証言を信じるならば乗客が犯人ではあり得ない。では外部の人間の犯行なのか?だとするなら犯人は何処に消えたのか・・・しかし、証言の中の小さな矛盾をキッカケに、ポワロの灰色の脳細胞≠ェ動き出す・・・
 アガサ・クリスティの数ある『旅行モノ』で一番の傑作と言われていて、名探偵ポワロが活躍する作品としてだけではなく、全てのクリスティ作品の中でもこの『オリエント急行の殺人』が最も有名かも知れません。ちなみにGaryoが最初に買ったクリスティ作品でもあります。

 列車が雪の中に閉じ込めらるという、自然が作り出した密室で起きた殺人。容疑者は同じ車両に乗っていた乗客。たまたま乗り合わせた探偵・・・これほどミステリーとして完璧なシチュエーションはないでしょう(笑) 名探偵エルキュール・ポワロが犯人の仕掛けた完璧なトリックを、卓抜した観察力と推理力を発揮して事件を解決する訳ですが、読んでいると結構長い話のように思えるんです。しかし、よくよく考えてみると事件発覚から犯人判明まで僅か半日ほどの出来事なんですね。ポワロの登場シーンから数えても3日です。その中でこれほどの物語を作り上げるんですから、クリスティの構成力恐るべし!

 クリスティの作品の特徴は、トリックはさる事ながら何といっても登場人物の多さでしょう。登場人物が多いと言う事は当然台詞も多い訳で、集中して読んでいないと誰の台詞か判らなくなったりします。この『オリエント急行』でもその特徴通りになってまして、容疑者の長〜い証言を読んでいてポワロの『以前の証言で何々と言ってましたね?』の台詞に、『へ?そんな事言うてたっけ?』と思わず前のページを読み返す事もしばしば・・・クリスティの作品は2、3回読まないと完全に解らないかもしれませんねぇ(>_<) 但し、何回読んでもオモシロイと思えますけどね(笑)

 冒頭にも書きましたが、ミステリーファンでなくともこの『オリエント急行殺人事件』は知っている人が多いでしょう。何といっても映画化された事が大きいと思います。若き日のショーン・コネリーやイングリット・バーグマン等の豪華出演陣や、列車内を再現したセットが原作の雰囲気を上手く表現されていました。詳しい事は映像界で紹介しているのでそちらを見てください(^^)
 この作品で『オリエント急行』という豪華列車が走っているのを知った人も多いと思います。出来る事ならGaryoもこんな列車で旅をしてみたいなあと思いますねぇ・・・勿論、殺人事件は抜きで、ネ(爆)
2006.2.13 Mon 記
関連コラム 映像界/作品門










 
銀河旋風ブライガー 銀河旋風ブライガー
著  者 山本 優
〈略 歴〉
種  類 S  F
初  出 1984年9月29日
巻  数
出  版 朝日ソノラマ
ソノラマ文庫
── Story ──
木星を破壊して新たな環天体を造り出すという若きヌビア・コネクションの教祖カーメン・カーメン。その大アトゥーム計画を阻止せんとものと命がけで奴とわたりあったコズモレンジャーJ9の俺たちだったが、地球と人類を辛うじて救ったものの、カーメンは飛び散る木星とともに散華した。地球を守るため借り出されたトリトンをはじめとする衛星群も派手な天体花火よろしく砕け散り太陽系システムは足の踏み場もない。そんな時にリーダーのアイザックが未知のバーナード星行きの冒険話を持ちこんできたのだ。「イエイ」だなんて、例によってはずみで乗りあった俺たちだったが、彼方に待ちうけていたのはAZと呼ばれる不気味な存在と謎また謎だった。
 1981年から1984年まで放送され人気を博したJ9シリーズの第1作、銀河旋風ブライガーのその後の活躍を描いた小説。書き手はシリーズ構成・脚本を担当した山本優氏。そのためアニメでの各キャラクターの喋り方や独特のセリフ回しなど、作品の雰囲気を損ねる事無く活字化されています。

 TVの最終回、J9チームがカーメン・カーメン率いるヌビア・コネクションの作戦と痛み分けとなった後、外宇宙へとフライバイするところから物語は始まり、アイザックの言葉に乗せられたキッド、ボウイー、お町たち三人は不平を言いながらも一蓮托生の道中へ。バ−ナード星に上陸してからの物語はキッドを中心に描かれ、チームがバラバラになる前に確認した目的ポイントへ向かうなか、キッドの過去の回想や身についたサバイバルの術が丹念に描かれています。そしてJ9が再び終結した時、物語は一気にクライマックスへ。勿論、その間に交わされる洒落たセリフは健在です。

 アニメに限らずある番組が終わった時、物語の登場人物たちはその後どうなる(なった)んだろう?と思うことがあります。この小説では各キャラクターが2つ歳をとって(設定ではチーム結成2年)いたり、ブライガー製作者の兄やアイザックの古い親友など、シッカリ世界観を引き継いだ物語構成となっていて、ファンのココロをを充分意識した構成になっています。これだけの素材ですから続編を書くには困らないだろうと思うんですが、結局これ以降作品が発表される事はありませんでした。最近続編やリメイクがハヤリなので世界観も好きな事書ける設定ですし、今でもコアなファンがいますから新作を出せば売れると思うんですがねえ・・・どうでしょう山本さん?(^^)
2006.11.24 Fri 記
関連コラム 音楽界/動画・特撮門










 
soon
著  者 名前
種  類
初  出
巻  数  
出  版
── Story ──
あらすじ











前ページへ 御品書ページへ サイトトップページへ 次ページへ