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オリエント急行の殺人 |
原題/MURDER ON THE ORIENT EXPRESS |
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著 者 |
アガサ・クリスティ 〈略 歴〉 |
訳/長沼弘毅 〈略 歴〉 |
種 類 |
Mystery |
初 出 |
1959年10月16日 |
巻 数 |
全 壱 巻 |
出 版 |
東京創元社 |
創元推理文庫 |
── Story ── |
オリエント急行に乗り合わせた乗客は積雪に閉じ込められてしまう。その翌朝一人の乗客が、全身に十数ヶ所の刺し傷を受けて死んでいるのが発見された。たまたま列車に乗り合わせていたエルキュール・ポワロは、同じく乗り合わせたオリエント急行の重役の依頼で捜査に乗り出す。現場の僅かな証拠から、被害者がアメリカの凶悪な誘拐魔であった事が判明する。犯行は誘拐被害の関係者によるものか?しかしオリエント急行の乗客は、イギリス人、アメリカ人、ロシア人、イタリア人、フランス人、スウェーデン人と雑多であり、皆縁もゆかりも無い。そんな中、ポワロの前に乗客が一人ずつ呼ばれ審問される ─── だが、あらゆる乗客に動かしがたい完璧なアリバイがあった。証言を信じるならば乗客が犯人ではあり得ない。では外部の人間の犯行なのか?だとするなら犯人は何処に消えたのか・・・しかし、証言の中の小さな矛盾をキッカケに、ポワロの〝灰色の脳細胞〟が動き出す・・・ |
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アガサ・クリスティの数ある『旅行モノ』で一番の傑作と言われていて、名探偵ポワロが活躍する作品としてだけではなく、全てのクリスティ作品の中でもこの『オリエント急行の殺人』が最も有名かも知れません。ちなみにGaryoが最初に買ったクリスティ作品でもあります。
列車が雪の中に閉じ込めらるという、自然が作り出した密室で起きた殺人。容疑者は同じ車両に乗っていた乗客。たまたま乗り合わせた探偵・・・これほどミステリーとして完璧なシチュエーションはないでしょう(笑) 名探偵エルキュール・ポワロが犯人の仕掛けた完璧なトリックを、卓抜した観察力と推理力を発揮して事件を解決する訳ですが、読んでいると結構長い話のように思えるんです。しかし、よくよく考えてみると事件発覚から犯人判明まで僅か半日ほどの出来事なんですね。ポワロの登場シーンから数えても3日です。その中でこれほどの物語を作り上げるんですから、クリスティの構成力恐るべし!
クリスティの作品の特徴は、トリックはさる事ながら何といっても登場人物の多さでしょう。登場人物が多いと言う事は当然台詞も多い訳で、集中して読んでいないと誰の台詞か判らなくなったりします。この『オリエント急行』でもその特徴通りになってまして、容疑者の長~い証言を読んでいてポワロの『以前の証言で何々と言ってましたね?』の台詞に、『へ?そんな事言うてたっけ?』と思わず前のページを読み返す事もしばしば・・・クリスティの作品は2、3回読まないと完全に解らないかもしれませんねぇ(>_<) 但し、何回読んでもオモシロイと思えますけどね(笑)
冒頭にも書きましたが、ミステリーファンでなくともこの『オリエント急行殺人事件』は知っている人が多いでしょう。何といっても映画化された事が大きいと思います。若き日のショーン・コネリーやイングリット・バーグマン等の豪華出演陣や、列車内を再現したセットが原作の雰囲気を上手く表現されていました。詳しい事は映像界で紹介しているのでそちらを見てください(^^)
この作品で『オリエント急行』という豪華列車が走っているのを知った人も多いと思います。出来る事ならGaryoもこんな列車で旅をしてみたいなあと思いますねぇ・・・勿論、殺人事件は抜きで、ネ(爆) |
2006.2.13 Mon 記 |
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