星羅棋布

BUD BOY エピソードガイド



●第一巻 「花贄狩り」/「花喰い花」
●第二巻 「堕天花」/「星屑草」/「無頼風」
●第三巻 「椿侍童」/「華獄火」/「禁色戒」/
●第四巻 「傀儡戦鬼」/「青天牢」
●第五巻 「秋色御褒美」/「無垢化」/「百花宴」/「夢幻花王」
●第六巻 「酔狂果」/「海南風」/「秘迷言」/「夢縁思」
(秘迷言」と「夢縁思」は単行本で「秘迷言」に統一されました)

●第七巻 「朱旋律」/「色難季」(連載時に、7巻収録予定を想定したガイド)
  




キャラクターを把握したなら、次はお話です。
エピソードガイドは97年3月時点で単行本化されていた5巻までと、(その年の)4月刊行予定
だった6巻+αでまとめてあります。
粗筋となるとそう依怙贔屓は出来なくて…。(東雲FANの)私達の努力の後を汲んで下さい(^^;)。

(CDシネマ化されている作品のガイドとして、照らし合わせてみて下さい)


●第一巻 収録分

第一話 『花贄狩り』

天界 聖仙郷から罰を受け俗界に堕とされた御大花将 蕾。そして、彼の養育係の妙香花仙 薫も蕾を追って地上へと。
二人は冬には珍しい薔薇の香りに誘われた温室で薔薇の花精と知り合う。その花精を育んだ庭師の加藤、彼が想いを寄せるお邸の令嬢薔子は意に染まぬ縁談を強いられていた。やがて蕾は花精や薔子の背後にチラつく蔭りに気づく。それは地上にしか存在しない闇の花仙 葬花仙\美しい花の精や、潔い乙女の命の核にある華芯を贄とする\。蕾の杞憂通り、葬花仙は加藤を想う花精を薔子の身体に乗り移らせた、花から離れられぬ花精はそれだけで精気を失うのだ。またそれに呼応して起きた薔子の誘拐という事態が彼女達の命を危うくする。二人を救う為、蕾の活躍が始まった。
「うせろ、花を脅かすものよ!」蕾の手から薔薇が放たれ、葬花仙は闇に散った…。
※ 簡単に言ってしまうと、「BUD BOY、蕾 見参!」といったお話。この働きにより罪を許された蕾は天界へと戻るのですが、すぐにまた堕とされてしまうのはお約束 。蕾の「花の憂いを払う」という原点が当然ここで語られています。

第二話 『花喰い花』

天界に帰る気配のない蕾と、彼を気遣い、行動を共にする薫の前に現われたのは蕾の幼なじみ、東皇使 東雲。地上に留学している彼にからかわれて憤慨する蕾とそれを宥める薫の元に、彩八将の一人、紅火将軍が訪れた。
負来堂に幽閉されていた花精 朱光妃が俗界へ逃亡したとの報告を受け、部下の落度は自らの責として捜索し始める蕾と薫は、朱光妃が[花を喰らう妖花]であることを知らなかった。
一方、紅火将軍から蕾への助力を託された東雲もまた探索の手を延ばした。だがすでに朱光妃は(東雲が身を寄せている)田科研究所の所員、教行に手を借り地上の花の花気を喰らい妖力を高め、彼等を脅かす存在になっていた。駆けつけた東雲により一旦は難を逃れたが、花気の弱まった蕾の姿に薫は東雲とある策を打つ。美しさを奢った為に香りの与えられなかった朱光妃に、自分を囮に誘き出そうとした。頼りは緑仙である東雲の所持する守護の杖。しかし、操られた教行により動きを封じられた東雲と、彼女に花気を奪われ、薫は危機に陥ってしまう。
その時、再び蕾が朱光妃に挑む。己の全ての花気を注ぎ込む捨て身の行為に、ついに彼女は華芯だけを残して消えた。
※ ついに出ました、東雲登場編。ただただ嬉しい!


●第二巻 収録分

第三話 『堕天花』

人間に懸想した聖仙は、人間としてしか生きられないようになる。そうして身をやつした祥翼王 静を天界へ連れ戻すようにとの命を受けた蕾が静を尋ねると、彼女は恋をしたにも関わらずただ独りで暮らしていたのだった。東雲は聖仙と人間の恋愛などそんなものだと蕾に説くが蕾には解らない。もうあんな人間のことは忘れて天界へ戻るよう蕾は告げ、翌日迎えに行ってみると静は自らの命を絶つ行為に出ていた。静は地上の白い花になりたいと願い、花芯を埋めてくれるよう蕾に頼む。


第四話 『星屑草』

今日もまたゲーセンで負けている蕾は、透に出会う。蕾にゲームを教えたり、透が路地裏で絡まれているのを助けたりして、二人は親友になった。
透は高校で東雲にシロツメクサがないか尋ねるが、春の野花が冬に生えている訳はない。以前透がバイクの事故で入院していた時に出会った夕姫は、体が弱くて長く入院しており、友達とシロツメクサの花冠を作ってお姫様ごっこをしたいのに、花冠を作ったこともなければ友達もいないのだという。春を司る東皇使なら何とかならないかと蕾は東雲に頼むが自分には無理だと断られる。しかし東雲は「宵恍姫に頼んでみよう」と天空へ向かう。夕姫は花の香りのする男の子に川原へ連れ出されると、一面にシロツメクサが咲いていた。しかしそれは星の光の花なので摘んではいけないのだという。透はそれを聴いて、春が来たら一緒にシロツメクサで花冠を作ろうという。夕姫はその日を向かえられるように生きようと思うのだった。


第五話 『無頼風』

禊主の水仙水波の媛が、風の賊無頼風にさらわれた。それを追った藍影将軍を押さえるべく蕾が赴き、その場は収拾した。それを面白く思わなかった無頼風の勇速は、蕾の花芯を狙う。
透の体を乗っ取った勇速は、畏界の腐妖土で鍛えた小柄で蕾を刺す。腐毒で体を蝕まれた蕾は、それでも透を心配して彼を助けるよう東雲に頼む。東雲は蕾と透の両方を救う為、蕾の言に構わずに彩八将に協力を依頼する。無頼風の頭目・羽矢房が薫とは旧知の仲であったこともあり、まず透の救出に成功する。だが勇速が、東雲の入手した神扇山の霊水の壷を割ってしまう。これで蕾の助かる見込みはなくなり、花芯は自分のものだと思った勇速だったが、蕾に件の小柄で刺されて果ててしまった。
水波の媛の覆水の術のおかげで霊水は元に戻り、蕾も窮地を脱することが出来た。蕾は素直に東雲に謝意を告げたのに、東雲が素直に聞けないものだからまた喧嘩が始まったが、そこで透が東雲がクラスメイトであることに気づいてしまった。


●第三巻 収録分

第六話 『椿侍童』

[椿小路]で起こる奇妙な事件を調査しにきた蕾、薫、東雲。強い妖気を放つ椿に、彼等は里の老松から小路の奥にあった館の主と少年笛羅にまつわる話を聞く。
真の原因を探るぺく、小路に足を踏み入れた蕾と東雲は、哀しい瞳をした笛羅の霊に会う。だが、人間の女が迷い込んできた途端、そこは穢土鬼の巣と化した。笛羅の霊は彼を慈しみ、その死を悲しんだ古椿の花精の根方に封じられ、その背後には花精の望みにつけ込み、獲物を集める手先にしていた穢土鬼の長が隠れていた。蕾が穢土鬼を倒し、笛羅は彼を迎えに来た(少年が待っていた)お館さまの霊と共に冥府へ旅立った。妖気の消えた椿小路に、古椿を慰める蕾の笛だけが響いた。


第七話 『華獄火』

薫は美しいが不穏な噂のある山城未亡人と知り合う。その息子満は憑かれたように彼岸花を散らし、薫に「この世に罪のない人間などいるのか」と問う。彼女の周辺では、不幸に見舞われる者が後を立たず、薫までもが幾度か危険に見舞われる。彼を取りまく邪気に気づいた蕾が捕らえた犯人は満。母が父を殺したことを知りながらも思慕する彼は、彼女に近づく者を排除していたのだ。逃れられぬ罪に二人は館に火をつけ、炎の中に没する。そしてこの世にありながらあの世に憧れる彼岸花の花精もまた。天を焦がす炎を見つめ、薫の心には満の言葉が蘇っていた。
※ この話から蕾と薫は透のマンションの居候になります。


第八話 『禁色戒』

天の理に触れる禁忌、魔を解放する力のある青菊が創られたことを知った蕾と東雲。すでに妖気を漂わせ咲き始めていた花の中に現れた人影は、東雲の双子の弟 第九皇子と名乗る。彼は天界と畏界の契約の証に湖の底へ沈められた身であり、彼の運命は己であったかもしれないと苦悩する東雲は一緒に来て欲しいと懇願する弟の願いを受けいれてしまう。だが、それは緑仙である彼の命を吸い、若返りと不老を得ようとする怪魔が弟になりすました姿だった。東雲を取り戻すべく蕾は畏界の王、太玄大皇と己の身とを引き替えに彼の命を嘆願する。怪魔を倒し東雲を救出したものの、同時に蕾は大皇の非情さを目の当たりにする事にもなった。
※ で、次へ続く。弟皇子初登場、この時心を奪われたか蕾!苦悩する東雲もグー!どうでもいいけど森の精が若返りで、花の精が永遠の美?それぞれ血の効用が違うのですね。


●第四巻 収録分

第九話 『傀儡戦鬼』

畏界から戻った蕾は力の加減が出来なくなりはじめ、小蓬莱で静養することになった。しかしそこでも力余って地を割いてしまう。そこから太玄大皇の使いが現れ、蕾は連れ去られた。東雲が怪魔界へ降りて蕾を返して貰うよう頼んだが、これは東雲の身柄と引き換えに自ら命を絶った蕾との約束なのだと太玄大皇は言う。蕾は蘇生措置の際に太玄大皇の傀儡にされるべく、彼の細胞を埋め込まれていたのだった。そして、その体内の異物に抵抗するべく本来の力を発揮するために、蕾の年齢の封印は解けた。東雲は自分のために蕾の取った行為に衝撃を受けながらも、彼を取り戻すべく行動を開始する。蕾は魔神獣の封印を解いた際に、その魔神獣の意識に体を乗っ取られてしまい、魔神獣と共に地上を荒らしまわる。錦花仙帝は彩八将に御大花将と魔神獣を討つよう命じるが、歯が立たない。そこで東雲の依頼を受けた第六皇子と第七皇子が蕾の年齢を封じ、五百重の助言を受けた薫が天神界から貰い受けた呪文で魔神獣を封じた。全ては元どおり、東雲もいつものように蕾をからかってはいるが、しかし確実に変化は訪れていた。


第十話 『青天牢』

罰として能力を封じられた蕾は、山の中の家で寂しげな少女まなに出会う。まなは蕾をなかなか帰ってこない兄だと思い込み、ばあやも兄を演じて滞在してくれと頼む。しかしこの家はどうも様子がおかしかった。蕾を探して透がやってきたが、透が蕾を連れて帰ると恐れたばあやに傷を負わされて閉じ込められる。そこで透は、年の頃が同じような少年の遺体を数多く発見する。まなを置いていこうとした少年達はこういう目に合わされていたのだ。まなの本当の兄の魂に助けられた透は、蕾を救い出して家を後にする。まなも既にこの世のものではなく、能力の戻った蕾はまなの魂を二度と愛に渇かぬ処へやってほしいと冥王に依頼する。その後蕾と透の訪れた、たちあおいの生い茂ったあの家には、誰の気配もなかった。東雲の出番は最初と最後にちょっとだけ。


●第五巻 収録分

第十一話 『秋色御褒美』

蕾を助けた褒美に願いを叶えられる玉を貰い、あれこれ悩む透は、一方でGFの夕姫を大切に思っていた。彼女が身体が弱いのは、人間より精霊に近い魂を持つせいと聞かされた透は夕姫には決して自分の悪い様は見せないと誓う。だが、彼女の望みは人間として透に近づくことであった。透は一度だけしか叶わない願いで夕姫に精霊を見せることに使う。いつまでその光景を忘れずにいて欲しいと。
※ この話は粗筋だけじゃわからない見所が一杯。東雲や蕾の正体を言い当てる夕姫、花の精を東雲に見せて貰って涙ぐむ透とか…やっぱり読まなきゃわからないのよ(^^;)。


第十二話 『無垢化』

雪山に訪れた一行。雪の清浄さに誘われた薫は、美しい雪の化 紗景と出会い互いに心惹かれる。彼女は怪魔でありながら清らかな乙女であった、が彼女を創り出した兄は紗景を使い人々の魂を奪っていた。薫を太玄大皇に献上しようとする怪魔は、薫を庇う紗景ごと二人を襲う。駆けつけた蕾が魔を倒す。だが怪魔に創られた存在である彼女もまた雪となって散る。薫に貰った花を手にしながら…


第十三話 『百花宴』

天界で数百年に一度行われる『女神祭』には花の皇女が花の舞いを奉納する。皇子であることを理由に拒否していた蕾だが、母 錦花仙帝が罰を受けると聞き見事に奉納舞いを勤める。だがそれが東雲が彼に舞わせる為の策略であったと知り、怒る蕾の元に会ったことのない父 玉風大帝からの手紙が届く。それもまた東雲心遣いであった。
※ これを真面目に語れって? ムリムリ(^^)。「私が(蕾の)舞姫を見たかった」とか告白してる東雲って終わってる?


第十四話 『夢幻花王』

透は知り合った老婦人の家で見事に描かれた花を見る。彼女の亡夫は花を描かせれば右に出るものがいないという日本画家であった。人には触れられぬ幻の花、[京丸ぼたん]を未完のまま逝った彼の霊は、透に取り付き絵を完成させようとし始めた。帰らない透を捜しに出た蕾と東雲達の手を当の透自身が振り払う。最後まで力を貸そうという彼の身体は弱り、蕾は友人を返して欲しいと老画伯に訴えた。蕾の計らいで小蓬莱で夫婦の魂は巡り合い、次回の本当の再会の約束した。夢の様な再会から目覚めた彼女は、何者なのかと蕾に問う。ただ彼は同じ花の守であると答えた。


●第六巻 収録分

※ この色でのタイトル表示は『神葉樹譚』発行後に発売された六巻の補足としてペーパーに載せたものです。

第十五話 『酔狂果』

無花果は、天界のものにとっては喩えれば麻薬。その快楽におぼれてしまいかねないものだからだ。そんな無花果の花精に邪な影を見た蕾は、身の危険も省みず無花果の元に通う。
内向きに咲くが故に、本当に花なのかと迷う無花果の花精は、お前のためなら何事も厭わないという蕾を得たいと望む。透と東雲は帰ってこない蕾を探して無花果の元を訪れる。食べかけの無花果と片方の靴から、蕾の居所を突き止めた東雲は、無花果の樹の内側の世界へ入り込む。しかしそこで東雲の聴いた言葉は、太玄大皇の忌まわしい記憶を思い出させるのに充分なものだった。我を忘れた東雲は無花果の花精を攻撃してしまい、庇った蕾を傷つけてしまう。しかし、身を賭した蕾の行動で無花果の花精は迷いを捨て、纏っていた邪気は消えた。

『酔狂果』 補足

「…心配しているよ…いつでも」の部分から描き直しになっています。連載版からかなり膨らませている分、あぁ悩んでるっ悩んでるぞ東雲〜というか(^^;。でも透を半分からかってるし。太玄大皇の記憶もこの辺りから出てきていますね。「蕾は誰のものにもならない」という自分の感慨で、「花将は余のものじゃ」という太玄大皇の言葉を思い出すのは確かに筋が通ってる話しですね。
当然無花果の花精と対峙する際も描写が増えてます。連載版だと確かにテンポは早いし、いきなり思い出すか、お前は〜って感じで東雲本人でもないのに面食らってしまったりできまして、こちらもよかったのですけど(^^)。


第十六話 『海南風』

蕾が玉風大帝の息子ということで、風にまつわる話。透と薫と三人で海に遊びに来たのだが、東雲は田科の叔父上の手伝いで石垣島へ出かけていて欠席。という訳でGOLD買わなかったので分かりません。ごめんなさい。

『海南風』 補足

南国沖縄に遊びに来た蕾と薫と透。薫を訪れる南風王、百様花督のもとへ通う南風王軍の准将・碧翠公から蕾のことを聞いた南風王は蕾に会おうと画策し、玉風大帝が蕾のことを気にかけていることを告げ、風の皇子として来るよう誘うのだったが……というお話でした。蕾はあくまで花将としてとどまる理由は語られましたけどなんでそもそも? はまだ不明ですね。
 しかし風の方々というのも妙なひとが多いといいますか……CD版『花喰い花』では女声なひとでしたけど、原作にでてくるのは男性ばかりですね。女の緑仙や男の水仙もまだ出てきませんけど。


第十七話 『秘迷言』

月の冴える秋、蕾は畏界の湖底神殿に囚われている第九皇子の元を夜毎訪れるようになっていた。湖底神殿に近づくことは罪であり、事を荒立てたくもないと太玄大皇は東雲に蕾の訪問を止めるよう依頼する。
蕾が自分の弟のことで畏界と関わるなど、東雲には耐えられないことだった。東雲は止めるが蕾はまた畏界へ赴く。そして第九皇子が月呼見の儀で担う役割を聞き愕然とする。蕾は第九皇子を連れて逃げようとするが、追手に傷を負わされてしまう。太玄大皇の前で、第九皇子はもう来ないで欲しいと蕾に頼む。本当はずっとそばにいて欲しいけど、それは叶わないことなのだから自分から執着を断ち切ろうと、蕾とは夢で逢えるのだからと。

 『夢縁思』

月の冴える秋、蕾は畏界の湖底神殿に囚われている第九皇子の元を夜毎訪れるようになっていた。湖底神殿に近づくことは罪であり、事を荒立てたくもないと太玄大皇は東雲に蕾の訪問を止めるよう依頼する。
蕾が自分の弟のことで畏界と関わるなど、東雲には耐えられないことだった。東雲は止めるが蕾はまた畏界へ赴く。そして第九皇子が月呼見の儀で担う役割を聞き愕然とする。蕾は第九皇子を連れて逃げようとするが、追手に傷を負わされてしまう。太玄大皇の前で、第九皇子はもう来ないで欲しいと蕾に頼む。本当はずっとそばにいて欲しいけど、それは叶わないことなのだから自分から執着を断ち切ろうと、蕾とは夢で逢えるのだからと。


『秘迷言』 補足

連載時の「夢縁思」とまとめたかたちになりました。ので、そのブリッジ部分が〜お前までくるなよ東雲〜とか老伯呼んで何しようとしたんだよ東雲〜とか透に頼るなよ東雲〜とか未熟者な末っ子度があがる一方でございます。
描き直し部分で気になったのが「そんな風に微笑まないでくれ……」のところの贄の皇子の口開けた笑顔。連載時の微笑の方が好きでしたの。しくしく。それと、2話分まとめて『秘迷言』となったおかげで蕾との別れの際の内的独白の後半がカットされて、終幕に形を変えて移っています……けど印象が全然違うかも。東雲藻贄の皇子もなんか甘くなってしまったカンジでしょうかねぇ……そんな単行本版も好きなんですけど。納得するんじゃないぞ蕾、連載分では贄の皇子が隠した言葉がまだあるんだぞっ。
そして贄の皇子といえばあの喰われるシーン。わらわらっと加筆してありますけど、連載では単をお召しなのに……というのはさすが単行本(笑)単といえば、連載での『夢縁思』ラストにあたる東雲の寝間着? が描き直してあるのは、あれじゃあまりにも暗いからなのでしょーか? ベタ一色でしたものねぇ。
あとはやっぱり透。連載では殆ど出番がありませんでしたから、これは嬉しかったですね。『酔狂果』での加筆部分もそうなのですけど、蕾たちと自分の違いと喪失の予兆とゆーあたりが……ふっ、またしても原作者さまに描かれてしまいましたわね、ってカンジでございました。これだから現在進行形ってのは……(^^;。


●第七巻 収録分

第十八話 『朱旋律』

薫は音楽療法に携わる縒子と出会う。彼女のピアノの音に香りを感じた薫だったが、縒子の家の庭先に巣くっていた小怪魔に狙われる。縒子が共に仕事をしながら心寄せていた志賀が、縒子の紹介した小夜子に執心した。それで顕在化した縒子の心の闇が小怪魔に付け入られてしまった。薫は縒子の小夜子への友情を思い出させて小怪魔を解き放った。東雲の出番は少しだが、相変わらずの薫さんへの気遣いとインテリぶりと透との漫才が嬉しい。


曄

おまけの 第十九話 『色難季』 dy 東雲

いやはや『色難季』にはやられました〜(^^; まさか原作者さまに描かれてしまうとは。自分で書いた「忘憂草」は花まつりの前日に脱稿してますからというよりは、『色難季』読んだらあんなの書けませんってばぁ、の世界です。しかしまさに春の嵐でした。曄ちゃんには参りました。
でも東雲ファンにはとても美味しいお話でした。『酔狂果』からこちら、一度島流しの憂き目にあったのを覗けば東雲の出番って増えましたよね。嬉しいけど素直に喜んでいいの? とか思ってしまうあたり私は屈折してます(笑)。
今回の見所はやはり東雲七変化(^^)。情けないのありーの見せ場ありーの鎖骨ありーの(爆)、頭抱えーの。そしてついに東雲が涙を見せましたっ! しかも2度も。曄ちゃんって、東雲を(作品中で)初めて泣かせた女なんですねぇ。御幼少の頃にも泣かされてたんだろうなぁ。で2回目は2回目でどーしてそこで泣くんだ東雲〜。『酔狂果』でも泣かなかったのにぃ。やっぱ無花果は花精だったからまだいいけど、今回の怪魔相手だと泣いちゃうの(^^;?。
いやほんと、今回は一大ギャグ巨編でした。格好良すぎたぞ、橙士。そして謎が増えました。蓬莱大公さまって誰? 百人の后って何? いかんなぁこれじゃまた本が出せるぞ(^^;

※ 「神葉樹譚」発行時にわかっていた分のみのご紹介ですのでここまでとなります。残り分はおいおい補完していけたらと思っていますが、取り敢えずはここまでで…。

●第一巻 「花贄狩り」/「花喰い花」
●第二巻 「堕天花」/「星屑草」/「無頼風」
●第三巻 「椿侍童」/「華獄火」/「禁色戒」/
●第四巻 「傀儡戦鬼」/「青天牢」
●第五巻 「秋色御褒美」/「無垢化」/「百花宴」/「夢幻花王」
●第六巻 「酔狂果」/「海南風」/「秘迷言」/「夢縁思」
(秘迷言」と「夢縁思」は単行本で「秘迷言」に統一されました)

●第七巻 「朱旋律」/「色難季」(連載時に、7巻収録予定を想定したガイド)
  


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