肩こりでお悩みの方
Part2
何故、肩にだけ“こり感”を感じるか?

 最近の研究で、疲労物質の特性から、コリ感の説明がなされている論文を見ることはありますが、では、コリ感の出現部位は何故、肩周囲なのでしょうか?なぜ、お腹が凝ったとか、膝が凝った、お尻が凝ったという表現は無いのでしょうか?私自身も、肩や背中以外にこり感を自覚したことがありません。現在、明確な回答はありませんし、勝手な推測をしますと、肩周辺の筋肉が日常の労作にさらされやすい部位という他に、肩甲部や頚部を構成する筋肉は、脳神経の支配を受けていること、姿勢を維持する抗重力筋の他、呼吸補助筋で構成されていること、また、背部の筋群は手足の筋の多くが脊髄神経の前根の支配であるのに対し、脊髄神経の後根の支配を受けており、後根の多くからは感覚を司る感覚神経の出所であることなど、他の部位と比べ解剖学的にも特殊な部位であることから、無意識のうちに、多くの情報が他の筋群に比べ、脳に伝えられている可能性があり、これらの事実から他の筋に比べ、「疲労という感覚に対して敏感な筋群なのではないか」と推測しています。つまり、手足の筋肉では、感知し得ない疲労感が“コリ感”なのではないでしょうか?

肩こり感と集中力の低下、不眠

 首すじから、背中にかけて、慢性的に肩こりを自覚するかたに多い愁訴が、集中力が続かない、何となく横になりたくなる。夜シッカリ眠った感じがしないという方が意外に多いことに驚かされます。これは、首、背中の筋肉は姿勢を保持する筋肉であることと関連がありそうで、その筋の緊張は、深部感覚として常に脳を興奮させ、無意識のうちにストレス刺激となっている可能性などがあり、夜間の不眠感も、伝えられる深部感覚が脳に於いては体が起立している様に誤って認識され、脳が充分休養出来ない結果、睡眠が浅くなるせいではないかと考えられます。鍼治療は筋の緊張を緩和させ、脳の興奮を抑制させる効果が期待され、臨床に於いても、定期的な鍼治療によって、体が軽くなった。集中力が出てきた、仕事中の姿勢維持が苦でなくなってきた、夜の寝付きが良い、朝スッキリ目覚めることが出来た。など様々な愁訴の改善を認めることからも、肩こり感は以外と日常生活に、多大な支障を来す症状であることが推測出来ます。

肩こり症の鍼灸治療〜鍼治療で体をリセット!

 肩こりに対する鍼灸治療は、肩甲部の神経の興奮を抑え、血流を旺盛にし、筋の疲労を軽減させる目的で行います。鍼が始めてという方や、疲れを貯めて来院される方の中には、治療後に「だるさ」を訴えるかたもいますが、むしろこれは、効果の現れの指標として、私は重視しています。

朝の寝起きの怠さに似ていることや、翌日にはスッキリ目覚める事が多いことから、電子機器のスイッチの入れ直しに見立てて、鍼の「リセット効果」と呼んでいます。

肩こり症のセルフケア

 さて、ご自身の肩こりが疲労から来る「肩こり症」であると判断出来た場合、ご自分で
ケア出来ることは以外に多いものです。要点は、肩こり原因の
3本柱へのアプローチ。

疲労した筋に対する軽いストレッチから始め、血行を改善するための入浴。体に貯まった乳酸などの疲労
物質を除去する目的で
、最近話題のクエン酸(酢など)やビタミンB群の摂取などを行うと良いでしょう。

注意を要する肩こり
(鍼灸不適応ではありません。)
@ 首を動かすと腕や手に痛み、しびれが出現する肩こり
A 腕や手に、しびれや痛みを感じる肩こり
B 安静や休養によって軽減せず、限局した部位にしつこい痛みを感じる肩こり
C 説明の付かない体重の減少がある場合
D 数週間に渡って、睡眠を妨げる程強い肩こりの自覚がある
E 今までに経験の無い肩こり感
(以下のものは、鍼灸治療が適応しない場合があります。)
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