足関節捻挫の基礎
Part1

 足関節はその構造上、背屈時は骨で支持されるため、
充分な安定性が
得られますが、底屈時は、これに反し支
持性は弱くなり、関節は緩みを生じ、内旋・
内転位に傾
き易くなります。この底屈状態のまま、着地してしまう
と、足関節は必然的
に内反を強制されることとなり、捻
挫を受傷してしまうことになります。

足関節捻挫といえば、その多くが内反が強制されて受傷
する内反捻挫(外側側副靱帯捻
)であることなどから
も、この足関節の構造が一因となっていることは、否め
ません

ジャンプ動作の多いバレー・バスケットでの着地時の失
敗で、この内反捻挫の受傷率が
高いことも、これらの裏
付けとなるでしょう。

 スポーツや、転倒時に足首の正常な可動範囲を越え、強制的に動かされた場合、関節を支
持している組織に、捻る、引き伸ばされるというような過剰な負担がかかり、それら支持組
織の一部や全体が損傷を受けた場合、それは、一般に「捻挫」と呼ばれる外傷の一つとなり
ます。
足関節捻挫は、その痛め方により「内反捻挫」と「外反捻挫」が存在します。
A足関節捻挫
表1:足関節捻挫
足首の痛め方 痛める靱帯
@内反捻挫 足関節の内返し 外側々副靱帯
A外反捻挫 足関節の外返し 内側々副靱帯
B足関節捻挫の多くは、内反捻挫
しかも、着地失敗や、つまずく、などといった動作で受傷する内反捻挫は、足部は底屈位(つま先立ち
のような姿勢)であるため、痛める靱帯は、前距腓靱帯や二分靱帯(図5)に集中する傾向にあるようです。
Cその他の足関節捻挫

 一方で、足首の内側は、三角靱帯という太くて強靱な靱帯で保護されており、足首は外反力
に対しては強い支持力があります。しかし、この靱帯が損傷
を受けた場合、大半がその土台と
なる骨と一緒に剥がれてしまう骨折(剥離骨折といい
ます。)を伴うため、程度によっては大
きな病院で、手術を含めた治療を必要とする場
合があります。

また、見落としが多い捻挫として、脛骨と腓骨を繋いでいる脛腓靱帯と呼ばれる靱帯があり、
この靱帯は体重を支える靱帯であるため、この靱帯が損傷され、その処置が遅れ
た場合、後遺
症を残しやすいことで有名ですが、鑑別は比較的容易で、丁寧な診察により
早期発見は可能で
す。

D重傷度の判定と治療法
足関節捻挫の再発予防
・足関節の捻挫には、内反捻挫と外反捻挫がある。
・足関節捻挫の多くは、内反捻挫(外くるぶしの靱帯の捻挫)である。
・外くるぶしの靱帯以外の捻挫には、注意が必要。
・足関節捻挫には、重傷度の分類がある。
・痛めた直後は、とにかく氷水で冷やすこと。
・足関節捻挫は、痛みが無くなってからも、約3ヵ月の経過観察を必要とする外傷である。
・足関節捻挫の、後遺症には、疼痛残存、足関節不安定感がある。
・足関節捻挫捻挫のリハビリには、筋力強化の他、バランストレーニングも必要。

@足関節の構成と運動
この章のまとめ
表2:足関節捻挫の程度とスポーツ復帰に要する期間   文献1)より
重傷度 損傷の程度 痛み 腫脹 治療手段 治療期間
軽度(T度) 靱帯の瞬間的伸張
機能的損失は少ない
軽度 軽度 特に不要 1週間以内
中等度(U度) 靱帯の部分断裂
機能的損失があり
強い 様々 保存療法 2〜6週間以内
重度(V度) 靱帯の完全断裂
関節不安定性の出現
機能的損失は大きい
強い 強い 観血療法または保存療法 2〜3ヵ月以内
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ここです
足関節捻挫の治療−運動療法
運動療法−足関節捻挫の後遺症

 足関節捻挫は、走る。跳ぶといった足を使うスポーツに共通して多い外傷の一つです。

程度は様々ですが、臨床家の立場から言えば、完全治癒までには、骨折より慎重な経過観察
を要する症状です。

足関節は、脛骨、腓骨、距骨、踵骨という骨組織と、それら骨と骨を繋ぐ、脛腓靱帯、足関
節外側を支持する外側々副靱帯(前距腓靱帯・踵腓靱帯・後距腓骨靱帯)、足関節内側を支
持する内側々副靱帯(内側三角靱帯)という靱帯組織(図1)、関節全体を包む関節包組織
などといった組織から成り立っています。これらが協調して動き、足首は大きな可動域(関
節が動ける範囲:図2
)を得ています。

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