足関節はその構造上、背屈時は骨で支持されるため、
充分な安定性が得られますが、底屈時は、これに反し支
持性は弱くなり、関節は緩みを生じ、内旋・内転位に傾
き易くなります。この底屈状態のまま、着地してしまう
と、足関節は必然的に内反を強制されることとなり、捻
挫を受傷してしまうことになります。
足関節捻挫といえば、その多くが内反が強制されて受傷
する内反捻挫(外側側副靱帯捻挫)であることなどから
も、この足関節の構造が一因となっていることは、否め
ません。
ジャンプ動作の多いバレー・バスケットでの着地時の失
敗で、この内反捻挫の受傷率が高いことも、これらの裏
付けとなるでしょう。
足首の痛め方 | 痛める靱帯 | |
@内反捻挫 | 足関節の内返し | 外側々副靱帯 |
A外反捻挫 | 足関節の外返し | 内側々副靱帯 |
一方で、足首の内側は、三角靱帯という太くて強靱な靱帯で保護されており、足首は外反力
に対しては強い支持力があります。しかし、この靱帯が損傷を受けた場合、大半がその土台と
なる骨と一緒に剥がれてしまう骨折(剥離骨折といいます。)を伴うため、程度によっては大
きな病院で、手術を含めた治療を必要とする場合があります。
また、見落としが多い捻挫として、脛骨と腓骨を繋いでいる脛腓靱帯と呼ばれる靱帯があり、
この靱帯は体重を支える靱帯であるため、この靱帯が損傷され、その処置が遅れた場合、後遺
症を残しやすいことで有名ですが、鑑別は比較的容易で、丁寧な診察により早期発見は可能で
す。
重傷度 | 損傷の程度 | 痛み | 腫脹 | 治療手段 | 治療期間 |
軽度(T度) | 靱帯の瞬間的伸張 機能的損失は少ない |
軽度 | 軽度 | 特に不要 | 1週間以内 |
中等度(U度) | 靱帯の部分断裂 機能的損失があり |
強い | 様々 | 保存療法 | 2〜6週間以内 |
重度(V度) | 靱帯の完全断裂 関節不安定性の出現 機能的損失は大きい |
強い | 強い | 観血療法または保存療法 | 2〜3ヵ月以内 |
足関節捻挫は、走る。跳ぶといった足を使うスポーツに共通して多い外傷の一つです。
程度は様々ですが、臨床家の立場から言えば、完全治癒までには、骨折より慎重な経過観察
を要する症状です。
足関節は、脛骨、腓骨、距骨、踵骨という骨組織と、それら骨と骨を繋ぐ、脛腓靱帯、足関
節外側を支持する外側々副靱帯(前距腓靱帯・踵腓靱帯・後距腓骨靱帯)、足関節内側を支
持する内側々副靱帯(内側三角靱帯)という靱帯組織(図1)、関節全体を包む関節包組織、
などといった組織から成り立っています。これらが協調して動き、足首は大きな可動域(関
節が動ける範囲:図2)を得ています。