現在多く用いられている診断基準は表2の通りですが、これには少し欠点があって、図5を見てお解りのように、足首の靱帯は外側に3本もあるため、判定基準をそのまま適応出来ないところがあります。大事なのは、受傷したばかりの時は、腫脹の程度や痛みで歩行にどの程度の障害があるか?、または、受傷時「ブツッ」という靱帯が切れる音を、本人が聞いていないかが、重要な手がかりとなります。
重傷度が2度までの場合、鍼灸療法を含めた保存療法が治療の主体となります。
初期は、疼痛の軽減と腫脹の軽減を第一に、中期からは可動制限を残さないように、治療終盤は不安定感や疼痛が残存しないことを目標に治療していきます。
第1度の受傷を除き、特別治療を行わない場合でも、最低3ヵ月の経過観察期間は必要で、この期間の内に、シッカリ後遺症を残さないように治療を終えないと、不安定感などが残存し、完全治癒は難しくなってくるような感じがします。
R:Rest(安静) | 患部は安静を保ち、それ以上の負担を避ける |
I:Ice(冷却:氷水で冷やす) | 患部を冷却し、炎症を抑える |
C:Compression(圧迫) | 患部を圧迫し、局所の腫れを抑える |
E:Elevation(挙上) | 患部を心臓より高い位置に置く |
S:Support(固定) | 患部を固定し、動かさないようにする |
これらは、外傷の応急処置の現場で、用いられる鉄則ともいえるもので、ライスズ:米(RICES)処置と呼ばれるものです。その中でも冷却(ICE)処置が重要です。
重傷度に拘わらず、足首を痛めたらどんどん冷やす。冷やし方は氷水を用い、氷嚢を当てる、氷水をはったバケツに足を浸けるなど、何でも結構ですから、氷水で冷やします。
冷やすことで、炎症の拡大を抑え、疼痛を軽減させ、二次的に血流を旺盛にするので、その後の治癒期間の短縮に大きく影響します。冷やす目安は、感覚がなくなるくらいで一度休み、15分位置いてからまた、冷やす。これを最低2〜3回繰り返します。出来れば患部の熱感がなくなるまで、凍傷に気を付けながら、繰り返し冷却します。
直接氷で冷やす人を見かけますが、これは、皮膚に負担となり凍傷の危険があること。冷却時間が長く取れない、血管が急激に収縮するため、深部の冷却能力は、想像以上にないといった理由から、直接氷を当てるのは良い方法とは言えないでしょう。
また、湿布でICEの代用をさせようとする場合もあると思いますが、湿布は捻挫の受傷直後には、何の効果も有りません。むしろ熱がこもるといって、絶対使わない臨床家もいる程です。