2日目
上海
今日こそは中華だ中華。
今回の食のメインは「小籠包」。上海は本場なんやんな。まだ実感ねー。
ガイドを見ると「焼き小籠包」の店があるらしい。やきしょうろんぽう?
それは食ってみなくては。1日中行列ができている店らしいが、ちょうど寝坊して 朝食にも昼食にも中途半端な時間なので、行ってみる事にした。
地下鉄に乗って「小楊生煎館」という店に向かう。
上海では何故か「小籠包」という文字を1回も見なかった。どこも、と言っても 大して行っていないが、どこも「生煎」と書いてあった。

誰も並んでない時間もあった。 地下鉄に乗って呉江路という、ちょっと奥まった路地のような食い物屋商店街に行った。 昼食にはまだ早い時間帯のせいか、他の店々はほとんど空いていなかったのと、 列ができているのがあって、すぐに店はわかった。

店の外に小さなカウンターがあって、そこで注文をするらしい。 店の中を覗き込んでみると満席だった。・・・どうすっかな。すぐには空きそうにないな。 と思っていると、持ち帰り客の姿が目に入った。テイクアウトできんのか。 近くに食えるような公園か何かがないかを探す為、一旦店を通り過ぎる。
あったあった、商店街を抜けた所にお年寄り達が憩っている公園があった。

店に戻って10人程並んでいる列に並ぶ。列の客達の話が聞こえてくる。
日本人観光客と地元民が半々位か。俺の真後ろに並んだ地元民らしいおばはんが順番を 抜かすタイミングを伺っているのがありありとわかった。
日本人をなめんなよ、こら。
最初に注文して金を払い、レシートをもらう。そのレシートを受取カウンターみたいな 所に差し出して、商品をもらう仕組み。
最初に金を払う所では、このおばはんに先に行かれた。でもすかさずその後に金を払い、 レシートをもらった事をいい事に俺を抜こうとするおばはんをブロック。

4ヶ1セットで2.5元(約35円)、とりあえず8ヶにしてみた。 並んでいる間に厨房が覗けた。ここの「生煎」はいわゆる小籠包より具が多く皮が厚くて、 大きめのたこ焼き大。鉄鍋にぎゅうぎゅう詰めにして一度蒸し、そこに熱々の油をかけて 外をぱりっとさせるらしい。
カウンターで俺より先にレシートを出そうとするおばはんの手の上からレシートを出して、 見事「生煎」を手に入れた。結構並んでいても、1鍋できあがると結構な個数が出てくるし、 鍋も次々と出てくるので、並んでいても大して待たない。

その時油が飛び出した。 意気揚々と生煎を手にし、公園に行ってベンチに座った。
早速容器を開けて写真を撮る。焼き小籠包とはいえ、この見た目なら中身は肉まんみたいな 感じなんちゃうのか。と認識したのが大間違いの元だった。
店でもらった箸で最初の1つをつまみ、かぶりつく。・・・皮が硬めで噛み切るのに力 いるなー。油でぱりっとしてるように見えるが、ぱりっ、まではいってないのか実際は。 思い切って力を入れて噛み付く。

ザザザザザー。
最初は突然雨が降って来たのかと思った。雨音に聞こえた。
え、何だ何だ?と思ってぱっと手元を見ると、右手がびたびたになっている。そして、 俺のおニューの深紅のジャンパーにも肉汁がたっぷりとかかっていた・・・。
お、おわー!!!

見た目は肉まんでも中身は小籠包、中には肉汁たっぷりで噛んで穴が開いた途端、肉汁達が 出口を求めて一目散に飛び出してきた音がさっきの雨音だったのである。 いや、嘘ちゃうよ。本当に肉汁たっぷりやねん。しかもすげー勢いやったんやって。こいつら 見た目は肉まんやけど、水風船みたいなもんやねん。

しばらく凍り付く。そして無言で容器のフタを閉め、持っていたティッシュで手を拭く。 ジャンパーも拭く。いくら防水のジャンパーといえども、ゼラチン質を含んだ液体はジャンパーに おもいっきり絡み付いて膜と化していた。
効果があるか?と持っていた烏龍茶をティッシュに染み込ませて拭いてみる。・・・効果無し。
諦めて食い始める。

うまいうまいよ、これ!ショックで感動が2割引になっているとはいえ、このうまさはすげー。 俺、小籠包よりこっちの方が好きかもしれん。しかもこれ全部で70円程度。さいこー。 但しめっちゃ食いづらいが。 5個目位まではうまく最初の穴を開通できなくて、肉汁がびゅーびゅー出ていた。 ジャンパーは防いだが、手及び口の周りはびたびた。
この状態、近くにいるお年寄り達はどんな感情で見ているのだろうか?気にはなったが、周りに 気を配る余裕などない。おそらく「日本人って汚えー。」と思ったはず。
こうして写真を見るとボリュームありそうだが、一気に8ヶ余裕で食えた。俺が大食い だって事を差し引いても食えるよ。12ヶにしとけばよかった。

食い終わった後、あちこち膜のできたジャンパーを着たまま、高級デパート伊勢丹に向かった。 目的は1つ。トイレでジャンパーを洗う為。
結論:水では無理。ホテルに戻って湯で洗うべし。

ゼラチン質の剥離は断念し、ちょっと暖まっていこうと、雪店高山茶という茶屋に寄った。 ここで試飲した「雪峰鳳凰」という茶にノックアウトされた俺は、それと店で一番高い(試飲が できない程には高い。)「雪峰佛手」という烏龍茶を自分用に2つ購入した。
これは会社で自分で飲む。

全部買うこたね。 そして次に向かったのはあるホテル。ここには三越のショップがあって、 そこには中国限定上海蟹プリッツが置いているという情報がガイドブックに掲載されていた。
これを会社の人達への土産にしようと思った次第。

ホテルの場所もショップの場所もすぐにわかり、目当てのプリッツを探そうと店の奥を見た俺は 愕然とした。プリッツだけでも4種類あるやん、しかもポッキーやらコロンやら、ここは日本の 観光地?と思う程、日本ブランドの地域限定味お菓子が山盛り並んでいた。

そこで10分以上悩んで(何故?)、最終的に会社の土産には甘いものはやめようと思い立ち、 何故かプリッツを全種類購入。ちなみに上海蟹味以外に北京ダック味、四川麻辣味、広東フカヒレ 味の4種類。何故上海でこんなに広範囲の地域限定プリッツが手に入るのだ? そんな素朴な疑問は感じながらも購入した。
この後、これらを売っている店はほとんど発見できなかった。 いや、空港の免税店では売っていた。でも値段はこのショップの約2倍。
俺、買い物上手だね。でも荷物のかさがえらい増えた。しかもある意味割れ物。
しかもこんな大荷物を持ったまま、この後どうすんねん? 俺は買い物上手だが頭は悪い。

ふつうの っつー事で、一度ホテルに戻る事にした。・・・腹減ったな。 漠然と思いながら、地下鉄の最寄り駅「河南中路」からホテルに戻る途中に気になる看板を発見した。 「南翔饅頭」という看板。な、南翔饅頭?それはあの、六本木ヒルズにも進出している上海一の 小籠包店と言われているあの南翔饅頭店?
でも、ガイドで解説されている場所は全然違う場所になっていた。
・・・支店?

とりあえず入ってみる。
違う。絶対に違う。南翔饅頭店は小籠包専門店のはずだ。こんな学食みたいなプラスチックの店が 並んだ、50種類以上のメニューがある何でも屋じゃねー。絶対ねー。
便乗商売店に入ってしまった。ここは南翔饅頭店ではなく、南翔「風」饅頭店。失敗した。後悔した。 ただメニューには小籠包が2種類あったので、このHPのネタにしようと食ってみる事にした。

かにみそはただの目印 入口近くの会計場にいたお姉さんにジェスチャーで「お持ち帰りOK?」と聞くとOKと言う。 で、普通の小籠包と上海かにみそ小籠包の2種類を買った。いくらやったっけ、普通のとかにみそ入りと どっちも8個入りで、合わせて20元(約280円)だったはず。

ホテルの部屋に戻り、早速小籠包を食す。
ん?ん、んー。ん、んー!
うまいよ。うまいよ。うまいよ。3回言う位うまかった。やるやん、南翔風。
さすがに小籠包の本場だけ あって類似店でもレベル高し。俺が世界小籠包大賞を授けた台湾は高雄の名もない店(しつこい)には やっぱし及ばんが、十分うまいよ。あっという間に平らげた。

但し、店で食うと小籠包にはつきものの 醤油?と生姜の千切りが出てくるのだが、持ち帰りにはそれらはないので味は単調になるが、うまかった。 別の方向の期待しかしていなかっただけに倍うまかった。

・・・「●の素」の力?いや、違うな。
そして普通のとかにみそ、見た目以外に違いはない。

ちゃんと入ってます。 腹いっぱいとはいかなかったものの、一息ついた俺はホテルでやるべき事を思い出した。
上海の寒風ですっかり冷え切って白くなっていたジャンパーの膜を剥離する作業の事を。 町で俺とすれ違った人達は、日本人観光客のくせに小汚ねーなー。と思っていた事だろう。 それ位には白く目立っていた。だって深紅のジャンパーなんだもん。

<作業手順>
@ 風呂場で熱湯を出し、熱々の蒸しタオルを作る。
A それをジャンパーに当て、ゼラチン質を溶かす。
B 元に戻ってめでたしめでたし。

のはずだった。ゼラチン質プラス油分でできている液体は頑固で上の手段だけでは落ちなかった。 ので、プラス石鹸を投入。
何とかそれで肉汁は除去したものの、今度は石鹸の仕業と思われる薄白いシミが残った。 せっかく外国に来たっつーのに、そんなとろとろやっても仕方ねー。 あきらめて再度外出する事とする。

いい感じ 目的地は「豫園」。
昔の街並みを残している所(適当)で、 上海を目的地とした旅番組には必ず登場するので見た事はあった。
倉敷美観地区とか飛騨高山、又は太秦映画村みたいな感じなんだろうと思っていた。 実際そんな感じだった。

夕方に行ったので、夕日がこの場所を非常にやわらかい雰囲気にしていて、それが いい感じだった。
しかし人込みがひどく、しかも歩きながら何やらべたつきそうなものなど食ってる人が多いので、 上の建物をゆっくり眺めるヒマはなく。

ここでは俺の嫌いなチェーンのコーヒー屋もファーストフード屋も看板の色を地味めにして、 周りの風景と溶け込みを狙っていた。
だけど無理だっつーの。英文字自体がここの雰囲気に全くそぐわねーんだよ。
出て行け。

ちゃいにーず 豫園地区には有料の庭園部分があり、そこを見学してみる事にする。
俺が描いていた昔の中国というイメージ通りの場所。どこを見ても中国(適当)。
時代物の香港映画でよく観るような雰囲気の庭園を歩いていく。
ここにも夕日が差し込んできていて、閉園時間が近くなければぼーっと座っていたかった。 そしてちょっとだけぼーっと座っていると、何やら騒がしい学生の一団が近付いてくる。 最初は中国学生うるせーなー。と思っていた。すみません、違いました。

言葉が聞き取れる距離まで来た時に、このガキどもが中国学生ではなく韓国学生だという 事が判明した。しかもおそらく中学生。
こいつら韓国のいいとこの子か?育ちがよさそうにぶくぶく太ったガキが多い。ちょっとムカつく。 おじさんが子供の頃はね、中学生で外国旅行なんて考えられなかったんだよ。
それからおじさんが韓国人じゃない事には気付いたらしいけど、おじさんが韓国語が少し わかる事はわからなかったよね。他人の事を邪魔とか言ってんじゃねーぞ、クソガキ。
お前の方が俺よかウエスト太いだろ?という事はお前らの方が邪魔なんだよ。
ぱるりかー。

今日も大忙し 庭園を後にして、ここでの目当ての「南翔饅頭店」に向かう。六本木ヒルズや大阪心斎橋 にも出店している上海小籠包の名店。ここまで来てここで食わないはずが・・・あるね。
どれ位時間がかかるのか、1時間はかかるんだろうなという程には人がいる。 ここまで大行列に並んでまでは食わないね。南翔「風」饅頭店でもあんだけ美味いんやから、 行列の店じゃなくても行列のない名も無い店でいいよ。とあっさり諦めた。
そしてここで友人達への 土産物を買おうと、少しさびれた感のあるショッピングセンターに入る。

あった。茶漉しの付いた湯呑み。中国茶を会社で飲むにはこれがいい。
店の人に値段を 聞くと1,200円と言う。それはねー。
とりあえず値切り開始。まずは強気に半額以下で。
・・・OKですか?やっちゃったよ、俺。

値切り界では客側が提示した金額を店側がOKしたら、それより値段を下げるのは禁止。 買わないのもルール違反。
という事でその値段で購入した。やはりというか、普通の市場では、俺が買った金額の半額以下で 買える事が判明。でもいいのだ。
日本に帰ってから役に立つのだ。
他にも土産を購入し、結構疲れたので、その日の夕食はまた南翔「風」饅頭店で小籠包と 焼飯で済ませた。この店は、小籠包はいいが、焼飯はイマイチ。

塔が・・・ 3日目
最終日
上海
朝食はホテルのレストランでバイキング形式。
河を臨む窓辺の席に座り、アンニュイなブレックファスト。このホテルは高級ホテルだけあって、 バイキングだったが味はよかった。小さな肉まんをしこたま食った。
天気も良く景色は素晴らしかった。素晴らしかったのだが・・・、これで向こう側にあのピンクの 怪しい塔さえ見えなければ素敵だったのだが。

最終日は特に何をする気もなかったので、ゆっくり食事を摂った後、少し外灘を散歩してから 空港に向かう。
当然帰りもリニア。やっぱかっこいーねー。日本でもこの位スピードが出るリニアできない もんかね。・・・無理か。土地ないもんな、わが国は。

また会えたね 空港に入って免税店をのぞいた後、休憩をしようとコーラを買った。
おや?その缶コーラにはどこかで見たような顔が・・・、ん?・・・お。
それは台湾で発見した台湾アイドルグループ「S.H.E」の3人だった。

おー、ぶさいくちゃん生きてたかー。
というより大陸に進出してるって事は、実はかなりのトップアイドルになっている という事だな。頑張ってんなー。
同窓会で再会した昔の友人がめちゃえらくなっていたかのように嬉しかった。

結局何しに行ったのか、だらーっとした旅だった。
でも上海で1人でできる事は一通りやったような気がした。当初の目的もほぼ全部できた。
思ったより治安もよかったし、上海だけかもしれんが、接客業の人達は愛想がよかった。

上海蟹も食ってないし、ちゃんとした上海料理の店にも行っていないので、上海にはまた行って みたいと思うが、来るとしたら今度は友人達と一緒だな。と思った。
ただ韓国・台湾に比べると航空券は倍の値段やから難しいかもしれんな。


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