<世界の親父から2>

たらったったーらたーららー(再び世界の車窓から風)
ヨルダン南部の街アカバ。
この街は砂の国ヨルダンには珍しく、紅海に面した海のきれいな街です。

その街に1泊し、朝早く俺は海岸へとやってきた。
海がとてつもなく透明で、対岸には、エジプト?イスラエル?の街がおぼろげに 浮かんでて、そこまで泳いで行けそうやなーと思いながら、砂浜に座って呆けてた。

その前に、首都のアンマンで日本人と話してみたかったという若者達に出会って いて、しかも治安がいい国だって事を感じていた俺は、無防備だった。
無防備過ぎた。
(まあ、本当にやばい事になっていたら、ここには書いてないので、大した事では ないのだが。)

だから、その親父(推定年齢45歳前後)に声をかけられた時も、まさかナンパだ とは夢にも思っていなかった・・・。

彼は、この国の人達の一般的な服装をしていた。
頭には白い布を被り、服は白の1枚布の服だった。
彼は海と俺の間に立っていて、海の方角は東だった為に、太陽に布が透けて、 彼の下着姿シルエットが浮かび上がっていた。
俺は、これが彼の誘惑手段の1つだったかもしれなかった事は思いつかず、 なるほど、あの布の中身は裸じゃないんだなと、バカな事に感心していた。
ちなみに彼は半袖Tシャツにトランクスでした。

もっとちなみに彼の風貌は、顔をあちこち黒で書き足したトム・クルーズ、 身長は170弱位か、体重はおそらく80〜90kg位か。
当然ひげあり。
一言でいうと、「どむ・ぐるうず」という感じだろうか。
好きな人はお好きなんじゃないでしょうか、こういうタイプ。
俺は好きじゃねー。

名前は聞かなかったから、どむ(仮称)として、どむは最初は好印象だった。
(学習能力なし。)
日本から来たのか?この国はどうだ?から始まって、歳はいくつだ?
結婚してるか?(この辺はナンパの時の必須項目か。)などの質問。
この時は何でだか忘れたが、歳をはっきり言わなかった。
その後が問題である。

彼がメキメキだかラキラキだかいう単語を出して、女とそれをするのは楽しい だろう?という質問をしてきたのがきっかけだった。
推測するにメキメキ又はラキラキ(どっちだっけ?)は、SEXを表す言葉なのだろう。
おそらくここで俺の性的嗜好を確認しようとしたと思われる。
俺は見事に失敗した。

あいまいさは日本人の悪い癖だな。実感した。
「OH、イェー!」と言っておけばよかったんだと思うが、曖昧な返事で愛想笑いを 返してしまったので、どむは次の質問に移ります。
BOYとメキメキ(又はラキラキ)するのは、楽しいだろう?と。
は???

聞き返すと、彼はもう1回同じ質問を繰り返した。
・・・ここでやっと気づいた。どむ、目潤んでるし。
ここで絶対にどむに次の段階に行かれる事だけは避けないといけない。
日本で男にナンパされた事もある。外国でも1度ある。経験豊富?な俺は、 力いっぱい「I don't think so.」と返事した。
俺の旅行史上、一番相手に響いた英語(情けないが。)。

彼の顔がちょっとひきつって、あと5cm寄って来たら走って逃げるか、キャーと 悲鳴をあげようと思ってた。
どむは紳士でした。

「一度試してみたら、すごいいいのに。」みたいな事を言いながら退散。
俺は胸を撫で下ろしたのでした。

すると、俺の後ろの木陰の方から、15歳位と10歳位の兄弟がやって来て、 俺に話しかけた。
「大丈夫?あいつ危ないんだよ。気をつけて。」と。
初対面だったが、俺を心配してずっと見守ってくれていたようだった。
その後は、その子達と1時間位楽しい会話をしたので、ポールの時ほど 落ち込まなかった。

常々トム・クルーズの顔はもっと濃くしたらもっともっとかっこいいのに。
と思っている人がいたら、アカバに行く事を薦めます。
どむが心よりお待ち申し上げていることでしょう。
(でもたぶん男に限る。)

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異国の夜は