<異国の夜は>

俺はイスラム圏の国々が好きである。
(といっても、限られた国にしか行ってないが。)
新聞やTVからだと、血生臭い匂いがする人は多いだろうが、都市の治安は 基本的に日本よりいいと思う。
(今はバカぼんブッシュのおかげでかなり悪くなってしまったかもしれんが。)

でも、最初は日本との空気の違いにかなり戸惑った。

ヨルダンの夜。
それは俺にとって強烈に異国感を感じさせられる夜だった。
トルコもイスラム圏だけど、イスタンブールの夜は、正直日本の都市の夜と 変わりないように思った。

ヨルダンの首都、アンマン。
朝からあちこち歩き回って感じたのは、やっぱり女の人の様子だった。
外を歩いている女の割合が絶対的に少ないし、たまたま見かける事があっても、 目のところだけが開いた黒い布を被っている。
それでも昼間は平気だった。

夕日が沈みかけ、街の灯りが灯りかけた頃、俺は衝撃的な光景を目にする。
昼間少なかった女達は全く見かけなくなり、でも街にいる人数は増え続ける。
そう、街中に男ばかりが溢れ始めるのである。
こんなにどこに隠れてたの?と思う位わらわらわらわらと。
しかも全員ひげ付、ほぼずんぐり。
(一部の若いにいちゃんはずんぐりではない。)

しかも1人で歩いている奴はあまりいなくて、2、3人連れが 多いのだが、みんな手をつないだり、肩を組んだり、何だかみんなとても濃密な 関係のように見えるのである。
街灯の下でいちゃついているようにしか見えないような行動を取っている男達も 少なくない。
通り過ぎる人達と目が合うのだが、何となく値踏みをされているような気も・・・。

イスラム圏では男同士の友情でもスキンシップが多いと何かの本で読んだので、 頭ではわかろうとするのだが、体がついて行かなくて、気が付いたらホテルまで 走ってた。
ぶっ走ってた。

前科(「世界の親父から」参照)のある俺としては、続編ができる事だけは 避けたかったのである。
あの時は運良く逃げれたけど、2度目はないかもしれない。
その思いがどっかでありました。

夜にそうやって神経を使い果たしていた分、昼間はすっかり気が抜けていたの か、人間自体が無防備だからか、結局、「世界の親父から2」が発生した訳で。
その夜の街にしても、オマーンに行った時には既に目が慣れてしまったのか、 何の抵抗もなく夜中近くまで市場を冷やかしたり、夜食を買ったりして過ごした。
全然学習してねえ。いつか取り返しのつかない事になるかもしれん。
ま、女にも男にもモテないよか、どっちかにでもモテてる方がいいやん。
(かなりヤケ。)

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世界の親父から2