<ルームサービス再び>

韓国初夜。
この時は後輩S君と一緒に行ったのだが、俺が1日早く現地に着いたので、 この夜は1人だった。

泊まったホテルのテレビでは、MTV(歌手のPVばっかし流してる チャンネル、PVについては、次頁を参照して下さい。)が観られて、韓国PVに 釘付けな俺は夕食に行く時間が惜しくて、とうとうまた禁断のルームサービス を頼む決心をしてしまった。

外で食うのと同じ位の値段だったんさー。
メニューは、西洋料理と韓国料理が色々あって、一瞬迷ったが、韓国に来て西洋料理 食ったって仕方ないよな。
と言うより、韓国料理食いに来たんだよ。

韓国に行ったら現地で必ず食したいと思っていた料理の一つに、テンジャンチゲ があった。
これはガイド等には必ず韓国の味噌汁と載っている一品で、味噌味なんだなと 思っていた。
当たり前だ。
辛いチゲも大好きなのだが、テンジャンチゲなるものを日本で見た事がなくて、 一度はと思っていた。
先にスープが決まってしまった為か、メイン料理を決定するまでにえらく時間が かかった。

味噌汁頼んだら、他は何を頼んだらいいのか。
焼肉もあったが、それはS君が来てから焼肉屋に行って食うし、その方が 美味いだろうし、かといってポークカツレッツとか頼んでもなあ・・・。
散々迷った末、本場のキムチチャーハンを頼んでみる事にした。
ここでご飯ものを選んだ時点で、俺の運命は決まった。

今回はルームサービス係に電話しても日本語が通じるだろうと高をくくっていた。
フロントで通じたから。
でも、甘くなかった。
通じません。
ここは、勉強中の韓国語の出番か。

ハングル文字はとりあえず読めるんだが、学校に通っている訳ではないので、 発音に自信がない。
と思って話すとやはりそれなりにおかしい発音になってるらしく、仕方がないので 英語でメニューを棒読み。
一発で通じたところが情けなかった。

待つ事20分。
PVに夢中で、時間はあっという間に過ぎていた。
ぴんぽーん。
ここでも執事風のおじさんが鼻に抜けるような発音でルームスービスとは言って くれなかった。

来たのは、鉄板で俺より10歳近く若いおにいちゃん。
ワゴンに布のかかった大きなお盆を2つ載せてやってきた。
他にもルームサービス頼んでる人いるのかと感心する暇もなく、2つとも俺の 部屋に置いて、おにいちゃんは足早に去っていった。

悪夢再びか?と思ったが、今度の悪夢は種類が違っていた。

1つめの布を取ると、山盛りのキムチチャーハンと小皿にお通しのような料理が 4品。
(キムチときゅうりの浅漬けみたいのと、野菜サラダと鱈かなんかを干したやつ の甘いやつ。)
大盛りだ。量は期待してなかったから正直嬉しかった。

腹減ってたし、と、2つめの布を取ると、味噌汁とはとても思えない大きさの 鍋料理が、そして小皿には隣りのお盆に載っているのと同じお通しが4品と、 ・・・ん?ま、まさか・・・。

直径15cm位の、蓋付の銀色の金属製の容器。

これは韓国料理屋で見た事があるけど、その時は・・・。

蓋を開けると、むせ返る程の湯気とともに、通勤ラッシュの電車位ぎゅうぎゅうに 詰め込まれた白ご飯がいた。

メニューに書いてなかったやんけーーーっ!
韓国の味噌汁はご飯付でした。
山盛りのチャーハンとぎゅうぎゅうの白ご飯と、具たっぷりの味噌汁にお通しが つごう8皿。
・・・やっちまった。
こんなに誰が食えるかっての。

結論:食った。

食えるとこまでで残そうと思ってキムチチャーハンを平らげて、テンジャンチゲに 取り掛かり、いける所までとちょっとずつそこに白飯を入れていたら、いつの間に か白飯がなくなっていた。イリュージョン。
そしてチゲもいつの間にかなくなっていた。
お通しは箸休めとして食って、これもまたいつの間にかどこかに消えていた。
人間やればできる。少し違うか。

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P.V.