<声にならない叫び>


マダガスカル滞在3日目。
この日はベレンティー自然保護区内のバンガローに宿泊。

最初にドアを開けた時、部屋のリゾーティーな雰囲気に圧倒された。
広さは10畳分位だろうか、入口の近くにソファーを置いたダイニングスペース、 そして立派な机、そして大きなベッド。
天井も5m位の高さがあっただろうか。
そこからベッドに向けて蚊帳が吊られていた。
洗面所・バスは別室で、ここも4畳半程の広さがあった。

早速ベッドに寝転がろうと思って部屋の中を歩き出すと「ぴし。ぴし。」と 音がする。ん?・・・あ。
部屋の床には結構いっぱい、種類のわからない赤い虫が動いていた。
(約5mm大)
あーあ。ごめんなー。
と思いながら、とはいえ、うまくよける事はできず、ベッドに辿り着くまで2、3歩に 1歩は「ぴし。」と音を立てながら歩き続けた。

さすがに蚊帳が吊ってあるので、ベッドの上までは虫はいなかったが、ふと横を 見ると壁に5cm位の大きさのごきぶり?みたいな形の虫がいて、天井にはトカゲが 2匹。
ま、こんなもんかな。と思ってた。

俺は世間知らずだった。

夜の公園ツアーから帰ってきて、あー疲れたなと、部屋の電気をつけて驚いた。
バンガローは虫の楽園になっていた。
あれ、窓もドアも閉めたはずなのに。
虫は白いものが好きなのか。明かりも付けてなかったしなー。
蚊帳の表側には大小さまざまな虫が昆虫図鑑状態でぴっちりくっついていた。

とりあえずここは夜は突然電気が止まるとガイドに書いてあったので、取り急ぎ シャワーを浴びる事にする。
シャワースペースの床の虫達には下水への旅に出て頂いて、手早く浴びて、 そしてコンタクトレンズを外す。

虫と何かの模様とが区別の付かない状態になったので、俺に向かっては飛んで 来ないで下さいねーと思いながら、慎重に蚊帳をめくってベッドへ。
ほどなくして電源OFF。
窓を開けていたから月明かりが入って、一枚の布の向こうに無数の昆虫達の シルエットがぼんやりと浮かぶ。

虫嫌いの人なら卒倒するね。

電気が消えたという事は、当然冷房もなく、夜は結構涼しいだろうと思ってたん だけど、寝苦しかったなあ。

そして翌朝。

あれだけいた虫達は8割方消えていて驚いた。どこに行った?
寝不足だけど、それなりに爽やかな気分で洗面所へ、まずはレンズをはめよう と手に取った瞬間、がしゃんと音がして、洗面台の物置が壊れた。
あれ、そんなにものをたくさん置いてないのに・・・

「・・・ぁぁぁぁああああ!!!!!」

人間本当に驚いた時には声がでなくなるもんだったりした。
手に取ってなかったもう片方の悲劇のコンタクトレンズは、虫ビッチリだった 床にぴちょっと貼り付いていた。
この旅には洗浄液持って来てないんさー。
あるのは保存用に純水のチューブをちょっとだけ。
とりあえず周りのものに当り散らしてみる。
でも問題は解決するはずもなく。

当然そのレンズを使った。使い続けた。使いまくった。
でも、石鹸で洗ったから大丈夫。
でも、次からは絶対洗浄液は持ってく。

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寄り道する価値なし
それを愛と呼ぶな。(作成中)