7日目
最終日
マスカット−ニズワ−バフラ−ジャブリン
この日はガイドと1対1での郊外観光ツアーに出た。
まずはマスカット近郊の町ニズワで城砦を見学。あちこちの旅行会社のツアー客が
たくさんいたが、日本人は全くいなかった。ま、そうか。1対1の為、周りの人から
金持ち日本人のボンボンのように見られる。ジャパンマネー神話は、彼の地ではまだ
健在か?1対1だけど値段は高くなかったよ。
この町もオアシス都市なのだろう。町の周囲には、デーツの木々が広がる。
その向こうは荒野。めっちゃ暑いけど景色を見て爽快な気分に浸る。
こうしてみると、どこまで行っても町が途切れる事なく続く日本は特異な国
なのかと思う。
夜に飛行機でいくつかの国の上空を通った事があるが、日本のように明かりが
途切れる事なく大地を覆っている国はほとんど見た事がない。外国にいると普段の時より、
日本という国が見えてくる気がする。
それはいい事なのだと思う。
もう昼に近い時間だったせいか、町の市場の営業はもう終わりかけていた。
建物がとても清潔で驚いた。この国はどこに行っても清潔できれいな印象で、イスラム圏の
国々というのは、戒律が厳しい国ほど清潔なのかもしれんなと思った。根拠はない。
そういえば、車で道を走っている間に道の清掃をしている人達を何人も見かけた。
それは後に違う理由があった事がわかる。関係しているのは、イスラム教ではなく、石油
だった。清潔にする事に金をかけられる国だからきれいなのだった。しかも掃除を
している人達は・・・。
ガイドが、予定にはないアル・メスファという古い村に連れて行ってくれると言う。
それは何故かと言うと、通常は必ず観光コースに入っている世界遺産にもなっているバフラ城砦
が当時は修復中で見学できないからとの事。
山を登り始めた。
乾季の為か枯れている川沿いに、眼下に広がる町の景色を楽しんだ。
ガイドブックには、4WDでないと行けないと書いてあったが、普通の乗用車でばりばり
登り始めたガイド。4WDじゃなくても行けるんやん、危うくガイドブックに
騙されるとこだった。と思っていた俺は、実はこれがかなり無謀な行為だった事を、
帰り道に思い知る。
山の斜面に広がるのはアル・メスファの村。
オマーンの中で最古に近い村だとガイドが言ったので、もう誰も住んでないのだと
思込んでいたが、ばりばり現役の村だった。
この町には不似合いな電線も通っているし、水路にもどこから来ているのか、ちゃんと水が
通っていた。村の中の通りはどこも人1人通るのがやっとの狭さだが、そのおかげで
日陰となっていて涼しい。それを狙ったものだと気付き、その生活の知恵にとても感心する。
もう1枚だけ村の中の写真を撮ろうと、先にガイドに村の入口に戻ってもらった。
ところが写真を撮り終わって俺も村の入口に戻ってみると、俺達が乗ってきた車の周りに
人だかりができていた・・・。自動車が珍しいのかと一瞬思ったが、ガイドと村の人達が
何やら真剣に議論しているようだった。
近づいてみると驚く光景が目に入った。
車の後部座席のドアが取れて、地面に落ちていた。・・・泥棒か?
ガイドのところに行って事情を聞いてみると、古い車だったのを無理してボコボコの山道を
走ったせいで取れちゃったらしかった。確かにお世辞にも新車とは言えないが。車っつー
のはそういうものなのか?
JAFは呼べないらしく、もし呼べても来るまでに何日かかかるので、彼らはこのドアを
どうしたものか議論していたのだった。
そして2、3分待たされた上の彼らの結論は、前のドアと外れちまった後ろのドアを、布で
結んでみるというシンプルな答えだった。
ガイド君に、これからはスピードがあまり出せないので、帰るのが予定より遅くなる
と謝られる。自分の大事な車が(おそらくこの車は彼の私物だったのではないだろうか。)
こんな事になっていて落ち込んでるはずなのに、まず客の俺に気を配ってくれる彼を見て、
オマーンの人に対する好感度がかなりアップした。実際は彼はオマーンで働くインド人で
いわゆるオマーン人ではないのだが。
スピードが出せないと言っても、ここはオマーン。80km以上は出ていた。
1つ問題だったのは、その後部ドアの窓が閉まらなくなった事だった。
暑かった。煙かった。
ガイド君と遅めの昼食。メニューは彼のソウルフード、インド料理。
またカレーがぱりぱりいったら食えねーけど、どーしよー。と思っていたが、
今回のカレーにマーブルチョコは入ってなくて、かつ日本人でも違和感ない、
漢方感の低いカレーだったので結構食えた。但し量が多過ぎて完食は不可能。
ガイドに、食欲ないの?と聞かれて、いいや、いつもこんな感じ。と返事したが、
明らかにお前が食いすぎだろ。とツッコミを心の中で入れておく。
その後、観光を敢行。
ジャブリン城を訪れる。いかにも観光用の遺跡でーすというような風体で荒地の
真ん中にぽつーんと佇んでいた。結構新しく整備されていて、歴史を感じる部分は
少なかったが、ここから見る周りの風景も爽快だった。
オマーンは高い所から見る風景がどれも同じには見えるが、砂と岩とデーツの木の緑と
空の青のコントラストが素晴らしかった。
写真の建物は、本当は本日のメインディッシュになるはずだったバフラ城砦。
ここは世界遺産の本でもかなり魅力的だったし、ガイド君もここは素晴らしいよ。と
言っていたが、全くもって立入禁止。ガイド君が気を遣って、一番きれいに写真が
撮れるというポイントで車を止めてくれた。
修復中と言うが、全体がもう溶けかかっているような風体で、修復というよりはもう
1回作り直しに近いのでは?という気もした。
心残りが1つ位あってもいいかと、遠くから写真を撮るだけで我慢する。
今回はマスカット市内で過ごさなければならない時間が多く、ただでさえ短かった日程が
よけい短く感じられた。これで終わり。この国で働いている日本人達が住んで
いるという、マスカットで一番高級な地域にも行ってみたかったが、買い物には基本的には
興味がないし、G−SHOCKは映画ミッション・インポッシブル(1の方)で
トム・クルーズがしてたモデル(海外限定)を格安で買えたので、満足していた。
というより4つも買えば、普通満足だろ。