<追記欄を死守せよ>

追記欄て何だべ?
その時まで俺はこの欄についての知識は何もなかった。
パスポートの最初の方にある頁である。
各国で押される入国・出国スタンプが押される査証欄の頁達の前にちょびっと付いている。

ここを何に使うのか、おそらく結婚等で苗字の変わった人がここにその事項を 書き込んだりするんだな。という位の漠然とした印象しかなかったし、俺に必要 があるとも考えていなかった。
しかしその無知のせいでちょっとした揉め事に発展するとは・・・。

これ、トルコでの話ではありません。
では何でトルコの所に入れているかというと、その揉め事の原因がトルコ政府 (誇張してみた)にあったからにほかならない。

その出来事が起こったのは日本だった。
俺がその日旅券事務所を訪ねたのは、パスポートを増補する為だった。
今は変わったかもしれんが、ミャンマーのビザを取得する為の必要要件の中 に、査証欄に空白の頁が見開き2ページある事、というのがあった。
ところが、それまでのオーストラリア・シリア・ヨルダン・ルーマニア・ハンガリー・ チェコというビザを必要とする国を訪れていた為に(今はこの中にもビザの いらない国があると思う。)、俺のパスポートには査証欄に見開き2頁の空白が なかったのが理由だった。

そして旅券事務所の係員(おばさんだったのは覚えている。)に用件を話し、 パスポートを渡した。
そして手続きを待っていると、不意におばさんに名前を呼ばれた。
「あの、これなんですけど。」
はい。
とおばさんが俺に見せたのは、追記欄。

「追記欄にこうやってスタンプを押されるのは困るんですけど。」
え?見ると、確かに追記欄にトルコの入出国のスタンプが2つ押されている。
「このままではいけませんので、新しくパスポートを作り直して下さい。」
は?新しくパスポートを作り直してる時間なんてない。その旨を告げると、
「こうやって追記欄にスタンプがある事によって、出入国を拒否される国があって もこちらでは責任を取れませんが。」
と高飛車ながらいきなり逃げ発言をかましてきた。
よく考えろよ、おばはん。

出入国の係官がちゃんと査証欄にスタンプを押すかどうか、俺らがその場で 確認できるか?それは身を乗り出してカウンターを覗き込めって事か?
追記欄にスタンプを押された事を俺がその場で抗議すべきだったのか?
その方が出入国拒否の原因にならねーか?

今までにそういう人がいたんですか?と聞いたが、「いませんがそうならないとは 限らないでしょう。」とのお答え。
トルコでそのスタンプを押されてから何ヶ国かに行ったが特に問題なかった。
なので、責任を取れとは言いませんので増補して下さい。と言った。

すると「この件で出入国が拒否されても外務省等に解決を求めないと一筆 書いて下さい。」とのたまうおばはん。
そんなにたいそうな事なんだったら、お前が正式にトルコ大使館に抗議の連絡を しろ。

そして書類を持ってくる。署名をすればいいだけの書式。そんな書類がちゃんと 用意されているところに違和感を感じた。
そんなに外務省が責任を取りたくない日本人旅行者はいっぱいいるのか?
望むところだよ、そんなケツの穴の小さい奴らに責任なんか委ねねーよ。
外国を旅行する人達の中には、情報を得る為に必ずその国の日本大使館に 行くという人がいる。
それは賢い方法だと思うが、俺は絶対に行かない。

追記欄にスタンプが押されている事が、どんだけ重い問題なのか俺には わからないし、言われたように素直に新しいパスポートを作ればよかったのかも しれない。

だが、理由等の説明も一切なく、責任は取りませんよ。という事だけ言われても 素直に従えない。
幸いな事に、その後そのパスポートで何回か旅行はしたものの、日本政府 みたいにケチくせえ事をいう国はなかったし、日本での出入国の時も何も 言われなかった。

外務省に守ってもらいたい人は、訪れた国のパスポートコントロールで追記欄に 出入国スタンプを押されないように出入国係員をしっかり監視せよ。
それが外務省の命令。

つーか、普通そんな欄にスタンプ押さねーだろ、トルコ人。
英語のわかる人間を出入国係にしろ。

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その日は来ない