■第9回 「Pz.Sfl.IVc 88mm 自走高射砲(Flak41Pz)」(ブロンコ)
AFVコーナーも2ケタ越えが見えてきましたね…そんな感じで、
今回は試作(3両)のみに終わってしまった大戦ドイツの自走高射砲とか。
88mm高射砲の自走砲化は12tハーフトラック(Sd.Kfz.8)に
Flak18を搭載したものが有るのですが、制空権の低下に伴い、
こういった専用の自走砲案も検討されており、結局計画は破棄されますが、
コンセプトはメーベルワーゲン等の自走高射機関砲に受け継がれています。
実車は試作3両のみですが、大戦ものシュミレーションでは、
敵航空部隊への先制攻撃ユニットとして活躍しているため、
個人的にはメジャーな車両だと思っていたんですがねぇ…。
車両の構成についてですが、IV号戦車をベース(IVc型シャーシ)にしつつも
ハーフトラックのパーツを使用していたり、トーションバー式の
サスペンションを装備していたり、床板をギリギリまで下げていたり、
(ドライブシャフトが通っている!)射撃時のプラットフォームとして、
側面板が倒せるようになっていたり。
他、試作3両のうち一部では従来のFlak37を搭載してテストされたらしく、
2015年3月にはこのキットのバリエーションとしてリリースされています。
…もう少し組み始めるタイミングが遅ければ…(脂汗。
画像に説明に入っていきますが、このキット、
ぶっといランナーに細かいパーツがぎっしりと入っておりまして、
ぱっと見のボリュームは少ないのに、数がまあ多い事…。
そして取説の印刷ミス(表紙裏ページの内容がほかのページとダブっている!)もあり、
正に「買ってから後悔」するキットになっています。
…でまあ、3枚目で早速出ていますが、
嵌合面にも多数のバリが出ているようで、
接着前の仮組が必須になっている辺り、難易度の高さを感じます(苦笑。
因みに外側になる方の転輪はキャタピラ幅目一杯なので、
接着前にキャタピラからはみ出さないか、
チェックする必要が有ります。 <重要
左側にだけライブルがフル装備されていますが、
木部の塗装は今までと少し違い、
ウッドブラウンにクリアーオレンジを塗る事で、
それっぽい雰囲気が出せるかと。
…楽器とかはニスを塗りますので、
そういった事へのオマージュ的な塗り方ですが。
順番が後になってしまいましたが、
後部の画像を出しています。
現代の車両と違いマフラーは鉄板そのままなので、
排気熱や煤であっという間にボロボロ…
になるそうですが、適度に錆が浮いた、
…様な雰囲気が出せていればと。
次はロートブラウンによるモットリングです。
色合いを薄めすぎたのか、
水彩画っぽいイメージが有るなと。
今度は側面板です。
板の内側にはライフルが左右に4挺ずつ、
計8挺が装備されるものの、
金具パーツ(エッチング)が4個分しかなく(!、
片方は基部のみとしています。
(ライフル装備の方はデッチアップにて金具を作っています)
後はバッグ類と毛布っぽいもの、
天板に被せるシートとかもあるかと思いましたが、
試作車両なので装備されていないのかも…。
(「ジャーマンタンクス」で写真とか見ましたが、
試験走行時のものなので、整然とした雰囲気だったかと)
補器が終わったので、
今度は防盾を取り付けています。
照準器の部分にはスライド式の窓が付いていますが、
可動は諦めて普通に組んでいます。
射撃時には折り畳まれた部分を展開しますが、
収納状態が再現できない為、ここで終わりとしています。
続いて側面板の仮組状態。
88mm砲の組み上がり精度が気になったため、
基本パーツの接着のみで済ませていて、
ラスト近くでの接着としています。
これもまた試作車両ゆえのペッタンコぶりなので、
後で偽装用のフック類を追加しています。
車体部分がほぼ完了です。
フンメル・ナスホルンのIII/IV号車台と違い、
エンジン位置は後部のままですが、
主砲の搭載部分は低くまとめてあり、
思っていたより近代的な雰囲気の車両です。
…が、側面のスペースが使えない
(射撃時のプラットフォームになるため)ので、
車体側には弾薬スペースの類が一切無く、
運用時には弾薬運搬車が必須になりますね、これ。
他、キットは試作時の車両をそのまま再現している関係上、
装備品があまりにもサッパリしすぎな気がしたため、
空いているスペースに予備キャタピラや消火器、シャベル、
後部にはフックなどを追加しています。
…マフラーカバーとかが欲しい所ですが、
大き目のエッチングパーツで自作せねばならないので、
今回はパスしています。
テールランプは筒形のものが付いているのですが、
接着しきれず(!、タミヤのIV号装備品セットから、
4灯式のものをセレクトして装備しています。
多少可動部分がぎこちない部分もあるのですが、
最終的に固定してしまうので、
とりあえずの可動が出来ていれば問題ないのではと。
まあ、面倒ではありますが難しくはない?
…と思いますのでこの手の作業に慣れれば…!?
最初のやつで試していますが、
ランナーのどの部分で切るか、確認していた時のものですね、
結局短い方でしか効率が上がらなかったので、
こうなっている訳で。
まずは50枚程度のコマをテープ冶具に固定していき、
・・・(次の画像へ)・・・
作業は早速キャタピラに突入しています。
床板とフェンダーパーツが一体成型の為、
この状態で早くも難所に差し掛かる訳ですが…。
トラペの可動式とか組んだ時とほぼ同じ要領で組んでいきます。
(過去作ではノイバウ等)
ひっくり返ってますが転輪が付いたところです。
サスペンションは実車同様にトーションバーが再現されていて、
可動するのですが、プラの剛性を考えるとまず壊れてしまうので、
キャタピラが付いた後、水平になる様、固定していきます。
ふぅ、何とか今回も終了しましたね…単体工作なのに意外と枚数が多いのでアレですけど。
オープントップの車両って工作部分は勿論、塗装に関してもMBTより作業量が多いみたいで、
キットの難易度とあわせて、他人にはとてもお勧めできないアイテムだなと実感していたり(汗。
…や、このサイトが無ければ多分途中放置していたのではと。 <割と毎回
さて、次は撮影編ですが、おや、どうやら戦闘配置の様です(ぉ。
…で、敵機侵入とか、ドイツ軍でよく使わる掛け声と言えば…!?
消火器の赤とか、
ジャッキブロックの塗装が完了しています。
(赤:RLM23~シャアピンク、
木部:セールカラ~クリアオレンジ~セール戻し)
下画像には88mm砲のアップが出ていますが、
照準器の黒は軽めのグレー系でドライブラシ、
シート部はライトグレーによる強めのドライブラシをかけ、
使い込まれた(但し堅めの)椅子っぽく。
現代では自転車のサドルに似た部分ですが、
何分50年以上前の工業製品なので、
かなり堅めの革なのではと。
基本塗装の後は細部の塗装です。
いつも通りですが、デカールを貼った後、
ちくちくと細部の塗り分けをしていきます。
…まずは黒系統の基本色として、
いつものジャーマングレイです。
塗る部分はキャタピラに転輪のゴム部分、
金属系のパーツ類等です。
ここからは塗装に入ります。
大戦ドイツ車両用の塗料環境もここ数年で大きく変化しており、
結構前に買っていた?ガイアノーツの専用塗料を使い、
それっぽい仕上がりを目指していきます。
現時点では202番のオリーブグリュン(ダークグリーン)が
入手困難になっている程度で、
他の色は普通に単体で入手できるようです。
…で、発色を見る限り、2つあるゲルプの内、
201の方はDAK寄りの初期車両用、
204が1943年以降の基本色の発色ですね。
…これらを使い、作業を進めていきます。
大分苦労させられた気がしますが、
工作が終了を迎えました…。
側面板のフック類は、
先にも指摘した偽装用のものだけではなく、
側面板を展開したり畳んだりする時の持ち手にもなるので、
多いに越した事は無いのではと。
(今回のはドラゴンのV号F型の残り、
ヤクパンのキットから出た余剰パーツも使ってます)
上から見下ろしてみると、
88mm砲は車体上部の中にぎっちぎちで入っていて、
成程、これは「自力移動できる高射砲台」なんだなと(ぇ。
まあ、高射砲は基本航空基地(軍用空港)の
防衛用に配備されているものが大く、
兵員も陸軍ではなく空軍の管轄だったりするので、
そんなイメージが浮かんだ次第で。
(今も昔も基地類は空爆の優先目標ですし、
ヨーロッパではB24とかランカスターが爆撃に来るので、
それらの撃墜任務が多かったのではと)
陸軍では連合軍機の対地攻撃への対処の方が
重要度が高かったらしく、メーベルワーゲン(37mm)も
ヴィルベルヴィント(20mm)も機関砲なので、
量産計画が放棄されたのは…
そういった政治的な理由も有ったのかなと。
側面板が出来たので、
主砲との仮合わせをしている所です。
先にもコメントした「駐退機部分の防盾」の付け位置が
間違っていて、干渉部分を削る事になり、
何度か載せたり外したりを繰り返して、
漸くこの状態になっています(苦笑。
他、移動時のロック機構っぽく、
閂をイメージしたパーツとかを追加しています。
(参考としては8tハーフ自走砲とか)
ま、言うまでもありませんが、
自分の様に適当に組んでいると、
最後に苦労する事になるので、
調整はこまめにやっておくべきなんだなと(汗。
今度は右側の補器類です。
一番前が照準手のシートですが、
残りの2つは砲の旋回や俯迎動作要員のものっぽいです。
理由としては沢山あるハンドルになるのですが、
これ、二人がかりで回すと、
動作が早くなるとか。
ちなみにこの部分もモデラー泣かせなパーツ構成でして、
点付けは多いわ細かいわ、
最後には寸法かパーツ指定がおかしいか、
畳んだ時にぶつかったりしているので、
これから組もうとしている方は(以下同文。
左側の補器が付いたところです。
戦車砲と違い装填手は左側なので、
砲弾ラックがこんなところに装備されていたり。
射撃時にはプラットフォームが出来るので、
その折には運搬用の木箱ごと積み上げる事になりそうですが、
これは結構大変なんじゃないかなと。
手前側には椅子が付いてますが、
照準手ではなく、敵機の追尾とか、
砲の俯迎、着弾観測系の要員も居るので、
こういったシートが存在している様です。
…タミヤの88とか、改めて買ってくるべきか…(ぇ。
ピンの接着が50枚分済んだところです。
この状態で少々乾燥待ちをした後、
余分な部分を切って完了です。
まあ所要時間はいつも通り、この50枚で約2時間、
といった所でしょうか。
片側109枚なので、
一台分でほぼ1日潰す事になりますが…。
最後に主砲後部のアップを出しておきますが、
尾栓の開口部というか、装填手がいつもと違い、
左側なので少し新鮮な気が…。
今後、大戦自走砲の類も組むと思いますし、
その折に比較できればなと(ぉ。
作業が完了しましたので、
撮影前の画像をいくつか。
シルエット的にナスホルンに近い車両ですが、
戦車砲タイプと違い、補器の多さから
車内のスペースは殆ど無く、
戦闘時にはプラットフォームが…ってのも頷けるなと。
車体は若干ながらこっちの方が長い様ですが、
そのうち、ナスホルンとかフンメルとか…
作らないといけないなと(汗。
最後はエナメル塗料によるウォッシングです。
全体をハルレッドでウォッシングした後、
足回りを中心に、バフを乗せています。
遠目にはトーンが落ちるので、
アップ時と俯瞰時のイメージが変わるのですが、
もう少し明るめの基本色が良いかな、とか。
車内の装備品の塗装です。
バッグ類はフィールドグリーンを意識した感じですが、
ブラックグリーン(RLM70)から適当に立ち上げています(ぇ。
…完成後は殆ど見えませんし。
黒鉄色のドライブラシをしていますが、
キャタピラ等の足回りは強め、
上部のエッジなどはやや不規則を意識して、
適度に擦れた、っぽい雰囲気を目指して作業します。
今度はエアブラシの塗料を絞り、
迷彩模様を描いていきます。
今回のは夜戦機などで見かける
「モットリング」と呼ばれる迷彩パターンで、
色合いが薄めだったので、
かなりの、なんちゃって感がしますけど(汗。
最後にゲルプを混ぜた塗料を吹き、
基本色が完成です。
中々に渋めのダークイエローになりました。
次はリサイクル塗料のブラウンですね…(汗。
奥まった部分には塗料を吹かないのが基本です。
まずは下地色としてカーキ。
プラの成型色を消すのが目的なので、
全体に色を乗せていきます。
砲身部分がほぼ終わったので、
揺架部分を取り付けてバランスを見ています。
この時、車体側のトラベルクランプの位置決めを行い、
固定しています。
(ここまでの経緯もあって、
パーツのダボが信用できなかったりとか、
色々気になったため)
…で、自分はFlak41を組むのは実際の所
今回が初めてだったため、
気付かずにホイホイ接着してしまいましたが、
各自の出来る範囲内で仮合わせを慎重に行わないと、
簡単に歪んでしまうので、
…とりあえず丁寧に丁寧を重ねないと…(脂汗。
…因みに自分はモノグサモデラーなので、
この手の慎重さが求められるキットは非常に苦手だったり。
最大の難所、88mm砲の組立に入っています。
これもまた取説もパーツの精度もイマイチな部分でして、
砲身上の駐退機カバー(防盾)の位置が正確に出ず、
後で本体側の防盾と干渉するので、
付け位置を決めるのは、防盾を付けてから、
…の方が良いかと(苦笑。
あと、この画像ではあんまり見えませんが、
細かいエッチングパーツがふんだんに取り付くので、
これから組む方は、
この部分に十分ご注意くださいませ。
枚数が揃ったら、車体取付前に内側部分に
接着剤を塗り込んでおき、生乾きの内に一気に巻きます。
(ピン部分は非常に繊細なので、
ウォッシング時など、エナメル塗料で溶ける可能性が有り、
これを避ける意味もあって毎回そうしています)
この状態から一気にピンをまとめて接着していきますが、
ピン持ち用のパーツが無いため、
ランナー部分ごと切り落として、持ち手代わりにしています。