■第10回 「ベルゲパンター(Sd.Kfz.179)」(イタレリ、ドラゴンパーツ使用)
ドラゴンの後はイタレリのパンターバリエーション車両です。
ティーガーIの登場以降、ドイツ戦車の回収は同一車両(原則禁止)か、
18トンハーフを3連結して牽引していたのですが、
新たに本格的な戦車回収車両として製作されたのがこのベルゲパンターです。
(日本語的には「パンター戦車回収車」)
初期にはD型の車体から砲塔を取っ払って蓋をしただけの
簡易的な車両でしたが、ウインチを装備したこのスタイルが一般的です。
現用ものでも戦車と同じ車台にクレーンやウインチを装備した車両がありますが、
その始祖ともいうべきこの車両、そのヘンテコ形状がツボでして、
今回の製作に至っております。
で、今回はイタレリ製品という事で、90年代半ば?にリリースされたものの、
ポリキャタピラやモールドの甘さがアダになって途中で挫折したりもしましたが、
今回ドラゴンの余りパーツを使って出来うる限りのディティールアップをしようかと。
画像が出てますが、ランナー枚数はわずか3枚、
エッチングパーツが追加された(このパッケ絵は海外版で日本語解説なし)
ものの、物足りない感はひしひしと感じますね…。
(昔組んだ時にはタミヤの鋼製転輪タイプの余りパーツを使って
アップデートしようと画策していた記憶があります)
その次、車体パーツにサスペンションアームを取付けた所。
今回、ドラゴンの余りパーツを移植するに当たり、
サスアームもピッタリ16本残っていたので、転輪のみならず、
サスアームごと移植しようとしている訳で。
勿論これ、サスアームの太さが違っている関係上、
考証上は思いっ切り間違いなのですが、完成後は殆ど見えなくなるので、
割り切って作業しています。
で、大体の位置に固定したら隙間にパテを埋めて再固定、
念のため最前部と最後部のみ、真鍮棒を通してガッチリ固定します。
(破損時に最低車高を確保する為)
…多少歪んでますが、最終的にキャタピラで調整できますので(ぇ。
転輪部の移植作業に入ります。
グレーのパーツがドラゴン、茶色のパーツがイタレリ製です。
モールドの立体感の違いだとかが良く分かるんじゃないかなと。
その下で早速取付けてますが、最後部の誘導輪のみ、
シャフトがイタレリパーツそのままなので、
見た目にグラグラですけれど…。
これまた、キャタピラ装着時に位置が決まるので、
その時に固定する事になります。
更にその下、オマケ画像として出してますが、
ドラゴンパーツをそのまま使用しているため、
なんちゃって状態のトーションバーが出来ています(笑。
但し、車体前側にはトランスミッションとシート、
中央部にはウインチが取り付き、
車体後部にはエンジンデッキと隔壁が出来ている為、
…完成後は全く見えなくなるという罠。
…や、だからドラゴンのスマートキットの意味を考えてしまうわけで(苦笑。
今度はエンジンデッキの工作です。
これまた本来の考証上はおかしい部分ですけど、
ドラゴンのG型用エンジンデッキルーバーのパーツを移植してます。
やり方としては、
ルーバー部分をニッパーでプチプチと切る、
更に外側部分も切る、
ナイフやトライツールで面一になるように整形、
…でドラゴンパーツを貼りつけ、乾燥後は裏側を少し削ったりして調整、
…という感じで工作しています。
まあ、手間をかけないのならドラゴンのD型キットを潰して
ニコイチにするのが考証上もディティール的にも良いのですが、
自分のコレクションにあるD型キットは、文字通り
「Premium Edition」だけなので潰したり出来ないんですよね…(脂汗。
その下、キャタピラを付ける前にと幾つか小パーツを付けてます。
車体上下を貼り合わせる前に付けるべきか迷いましたが、
概略が出来上がってから次に進みます。
移植作業も大詰めです。
前回のパンターF型はプラパーツと選択式で、
どちらか選べるようになっているのですが、
今回は自分の腕試しも兼ねて?出来るだけ使ってみようかと。
工具の留め具はコの字型の受け側パーツ、
バネ兼用の括弧型パーツ、
ロックするコの字型パーツ(イメージはベルトのバックル?)、
…の3つから出来ていますが…。
形状だけを再現するのならば、最初のコの字型パーツを
工具の柄部分に被せて留め金をくっつければ、
事が済んでしまうので、今後そうしようかと(ぇ。
一応ですが、工具類もエッチングパーツを使用前提とする
ものが幾つかドラゴンキットの余りパーツとして有る為、
留め具パーツと合わせて有るだけ使ってます。
…良く見ると、車体前方とエンジンデッキ上にも
ハンマーが装備されていたりして(汗。
余談ですが、ペリスコープガードの上についている位牌?
…っぽい板切れですが、これはどうも機銃の類を
引っ掛ける(保持・固定)ための板らしく、
回収車両もパルチザンなどの襲撃に逢う事が、
多々有ったようです。
画像的には後部に移りますが、
ここもドラゴンのエッチングパーツを使い、ラックを製作しています。
但し、簡易クレーンの基部が付く関係上、
最初からラックを装備していない車両があるみたいで、
今回のこれは完全にデッチアップ…かなと。
実際、クレーン基部が付く部分には、
キャタピラが装着できないので(滝汗。
とはいえ、貧乏性な自分はそのままにしておく事も出来ず、
ラックに取り付く固定ピンも自作して、
キャタピララックをこうして使用していたり…。
(どうして自作したのかというと、ドラゴンの余りパーツが
有ったものの、径が全く合わず、摺り合わせより楽な方を選んだ、
というオチだったりして。
ついでにこのラック自体もやっぱり寸法がおかしい様で、
長さが足りずキャタピラ側を削り込まないと、
ピンが挿せない仕様になってしまっているので…)
他、G型キットの流用パーツに大きなバールが有るのですが、
ラックにはどうやっても装着できなかった為、
こうして右側の後部デッキ上になんちゃって装着してます。
ここまで大きくて長いバールは、現代でも
鉄道線路の保守時に使うかどうか、といった趣ですが、
40〜50トン台の重量戦車の整備や回収には必要?
…な工具かもしれません。
(1/35で見ているから気が付かないだけで、
ここに装備されている工具はどれもかなり大型のものです、
フィギュアとか絡めると多分分るかも)
今度はキャタピラです。
先にも言いましたが、ベルゲ〜は基本D型の車体を流用して
製作されているので、本来なら接地面に段差があるだけ、
の旧型キャタピラを使用するべきですが、
モデルカステンは高いし手間はかかるし…という事で、
入手性の高く、しかも安いタミヤの別売りキャタピラを使ってます。
…但しG型用なので接地面パターンが「ハ」の字になってますけど。
キット付属のポリキャタピラもD型用のものではなく、
G型用のものなので、…まあいいじゃないか、的な(汗。
(余談ですがポリキャタピラは固い・塗れない・接着できない、
…の欠点が有るので、出来るだけ当方は使わない様にしてます。
まあ、ポリキャタピラも工夫すれば弛みくらいは付けられますが…)
あえて画像を出してますが、海外メーカとタミヤを比べた場合、
如実に感じるのがゲートの位置ですね。
嵩張るという難点はあるものの、ゲート位置がモールドにかかっておらず、
整形も非常に簡単、10年近く前のリリースなのにパーツの合いもいい、
難点が有るとすれば、センターガイドの肉抜き穴が開いていない事だけ、
…なので、予備キャタピラのみ適当に穴を開けております(後の画像参照)。
そして途中はしょって完了後の画像ですけれど、
このキットは色々といじくった為か、取説には83枚とあったのに、
実際にやってみると82枚でピッタリだったりして。
他、イタレリの起動輪とこのキャタピラとの相性がイマイチらしく、
左側で少し浮き気味になってしまい、
続く右側では装着前に起動輪の歯を少し削っていたり。
いっそのこと、タミヤのG型キットに付属する塗装接着型の
ベルト式キャタピラを使って、タミヤの残りにはこのキャタピラセットを…
…という形の方が最終的に楽できるかもしれません(汗。
(ゴムなので基本、フィットさせやすい)
余談的なものですが、
パンターシリーズはA及びG型の生産移行に伴い、
使用されなかったD型の車体を優先使用して
生産されている様で、
各中隊に2両が定数とされているとか。
その後、修理後送されてきたG型を
ベルゲパンターに改装する様、
総統命令が出たそうですが、
戦局の悪化により、僅かな台数が改修されたのみ、
…で終戦を迎えているとか。
あまり関係ないですが、このキットってリリースから既に
20年近い歳月が経っておりますので、
D社からボチボチ?フルキットが出るかなと。
(A・D・G型にF型、果てはケーリアンや
観測戦車まで出るってのに…なぜかこれだけ出ていない)
ついでに新色のチェックもしています。
ウェザリング用に使おうかと思って購入してみましたが、
色合い的にやや明るすぎるので、
他の暗い色と混ぜるか、重ねるかで使う事にします(汗。
製作編ラストは
全体像っぽいものをいくつか。
このサイトのAFV完成品って、
MBT以外のものも多数ある訳ですが、
こういった「はたらくAFV」って、
戦車とは違う武骨さとか、
身近に存在する建設機械とかの延長線上に
存在する車両のスペシャル版、
…みたいな魅力が有って、
やはり良いなと。
ウインチとスペード部分の第2段階。
先に出た赤錆色、マホガニー、レッドブラウン、黒鉄色、
エッジ部分にはステンレス、最後に色調を整える目的で、
スモークグレーをドライブラシしています。
やり方としてはいつもとやや違う感じですが、
スペード部分は「地面に突き刺さる」ものなので、
端部分から内側に向かって、細かく筋をいくつか
描いていく感じで全体の雰囲気を整えていきます。
その下、同時進行でウインチ部も色を増やしていっておりますが、
随分と年季が入った感じになりました…。
当初、黒〜茶系の色合いを考えておりましたが、
余りにも筆が届かない部分が多いため、
エアブラシ作業時の基本色の上から、
…という事で済ませています(汗。
続いて木部の塗装に入っております。
工具の柄部分はいつも通りのパターンですが、
今回は大きな角材が装備されていて、
ちょっと変化を付けています。
順番としては、モールドの凹部にクリアーオレンジ、
その上にイエローでドライブラシをし、
その上にセールカラーで白木っぽいイメージを出しています。
…この辺、難しい所ですが、
黒ずんで煤けた木材ってのも普通に存在しますので、
どういった雰囲気がベストなのか、迷いどころかも。
丸太とかを装備しているケースでは、
木の皮そのままの表現になるので、
今後そういったキットも塗るかなと。
下地の黒が出来た所で黒鉄色、ステンレスでドライブラシ。
対象部分は幾つかある訳ですが、
工具とかワイヤーとかキャタピラ部になります。
エアブラシの作業が済んだので、
筆塗りによる塗り分け作業に入っています。
まずはジャーマングレイによる黒部分の塗り分けですが、
転輪のゴム部分が地味に面倒かも…。
ここからは塗装に入ります。
先のFlak41Pzの時と全く同じ(というか同時作業)ですが、
下地としてまずはカーキを吹いています。
ウインチ部の最終状態。
プラパーツで再現されたワイヤー部分も、
こうして見る限りは…何とかなるかなと。
ウインチのワイヤー先端部は、
スペードの中央に引っ掛ける部分があり、
それによってスペードを跳ね上げ、
通常走行状態としています。
一応ジャッキパーツにも留め具を一部再現してみましたが、
あんまり良く見えないですね…。
っていうか形状が少々アレですけど。
簡易クレーンとか。
ここでもまた突き出しピンの跡があり、
例によってパテ埋めしてます。
ラストは組上げ完了状態を幾つか。
クレーンに付くアタッチメントですが、
走行時にプラプラ揺れて危険なので、
引っ掛けておくだけにしても何らかの形で固定を…
…と思って適当な方法を模索していたのですが、
車体側にU字型フックを追加して、
金属線を結んでそれっぽくしてみました。
この辺は現在のクレーン車でも先端部は何がしかの
方式でロックされている事が多いので、
いっそのこと外して車体の他の部分に
ラッチなりフックなりで固定しておく、
…というのも有りかな、と思ったり。
後、車体前面に装備されている20mm機銃ですけど、
砲口部分のパーツがズレ易い様で、
これこそ大きさの合うバーニアパーツで…
…って、後の祭りか…(溜息。
ウインチ部にはカバー兼用の木製キャビンが付きます。
左側にはスタック時の添え木となる角材が装備され、
前側には運転席の幌になるパーツが有ったりします。
閉状態の幌パーツが有れば、
運転席のパーツを塗る必要が無くなりますけど…。
ウインチ部の製作です。
これまた本気で工作しようとすると、
ボビン部のワイヤーを全部削り落として巻き取り部(筒)を自作、
その上で改めて市販のワイヤーや紐で張り直す、
…といった事をすればぐっと実感が湧きますけど、
…ちょうどいい円形パーツを見つけられなかったこともあり、
キットのままで進めていたり。
キャラものキット用のやつでは小さいのが多いんですよね…。
後部スペード(駐鋤)とか。
こういったブレードは現代の建設機械を連想しがちですが、
使用目的が「牽引時の踏ん張り用」のものなので、
建設機械用のドーザーブレードとは違う形状をしています。
で、一部にまたしてもデッチアップ部分がありますが、
この部分に突き出しピンの跡があり、
パテ盛りするかデッチアップかで悩みましたが、
結局後者で落ち着いていたり。
ちなみにボルト部分はまたしてもドラゴンの余りパーツ(ぇ。
その下、エンジンデッキ部分が出てますが、
メッシュ部分はキット付属のものを使用しています。
…エンジン部分もパーツ化されていますが、
ウインチ部のワイヤーが通ったり、
ドロウ(牽引)バーが取り付いたりで開ける機会は無いと判断し、
結局、閉状態で固定です(爆。
他、G型パーツの流用として排気管のカバーを
付けていますが、先のスペードとの兼ね合いで
先端部が延長されており、基部ごとの交換は断念しています。
…余っているんですけどねぇ…。
(ヒマな人は延長工作にチャレンジ?)
何とか形になりましたね…(一息。昔はタミヤのアフターパーツを一杯買い込んだものですが、
今やドラゴン製品の余剰パーツがディティールアップ用に使える時代になり、隔世の感がしますね…(遠い目。
戦車ベースの牽引車両は今のところこのキットしか手元に残っていませんが、
タミヤのドラゴンワゴンをはじめ、各種ハーフトラックも各種コレクションしているので、
今後そういった形での展開はまだまだ続いていくかなと(願望。
で、次はまた大戦もの戦車を組んでみようかと。
終わりましたね…骨折入院前に途中まで組んで放置の末、破棄された(!)時から数えて数年ですが、
やっとこさトゲが抜けた気分ですね…あの当時と比べて環境も手順も大幅に変わったので、
リベンジせずにはいられなかった、という所でしょうか(微笑。
おや?どうやら回収車の出番の様ですね…戦車道で言えば?
(2012.11.24)
(塗装編記事を追加更新、 2015.03.28)
最後にハルレッドとバフでウォッシングして完成です。
バフ及びタンは土ぼこりをイメージしたものなので、
足回りを中心に軽くやって終わりとしています。
ウインチ部分を始めておりますが、
本体のカラーリングをどうしようかと模索している状態で、
とりあえず基本色の上に軽くウェザリングした所ですね。
他、見える部分だけですが、スポンソン部に装備された
バッテリーとかの装備品も塗っていたり。
(幌部分と同じ塗料を使っています)
次は幌部分です。
過去連載でも同様の事をやっていますが、
濃緑色からダークグリーン(フィールドグレー)、
ハイライトにはいつものRLM02です。
この部分は雨除けの要素が強いのですが、
大戦ドイツ車両と言えばこのカラーリングかなと。
スペード部分の色付けも始めている訳ですが、
やや物足りない感じがしたので、
この後更に色数を増やして、
深みのある色合いを目指していきます。
ちょっと横道にそれる画像ですが、
愛用?っぽい筆とか。
描き込みとかにも威力を発揮しますが、
持ち手が太い分、手が疲れ難いのも利点かなと。
…で、かなり使い込んだ関係でいい加減、
新品を下ろした訳で(笑。
でもって次は迷彩模様を吹いています。
やや発色が薄い感じなのでアレですが、
とりあえずこのまま進めます。
3色目はゲルプ。
上の方の画像と比べると実に見違える感じですが、
マルチマテリアル的に色々やってしまうと、
やはり色を塗った方が良くなるんだなと(汗。
2色目はいつも通りっぽく、
残り物のブラウンっぽい色です。
…これ、大戦末期のレッドプライマーベースの
塗装とかにも使えるかな、とか。