アンテナ解析ソフト MMANA による給電点インピーダンスの計算について

一般によく使用されているアンテナ解析ソフト「MMANA」を使用する上で注意すべきことを述べておきます。

MMANAが採用しているモーメント法を使用したPDS(パブリック・ドメイン・ソフトウェア)「MININEC Ver.3」計算エンジンでアンテナの給電点インピーダンスを計算する場合、計算条件は「自由空間」と「完全導体グランド」の場合の2とおりのみで「リアルグランド」の場合は「完全導体グランド」に置き換えられて計算されています。
ただしアンテナパターンについては「リアルグランド」で設定された大地特性値で計算されます。
「完全導体グランド」の場合、MININECは大地の損失を考慮していないため、ワイヤー系のアンテナで、その地上高が約0.2λよりも低い場合の給電点インピーダンスの計算結果はリアルグランドの実測値と比較すると誤差がだいぶあるようです。
NEC2では大地特性値でイメージ電流を計算しているので大地特性値や周波数にもよるが0.1λ程度まで正確に計算できるようです。(「パソコンによるアンテナ設計」 CQ出版より)

ローバンドの場合、実際のアンテナの地上高は波長で見ると非常に低いと思われるのでMMANAで給電点インピーダンスを計算しても正確でないと思われます。
参考のためMMANAで計算した完全導体グランドの場合の21MHz・1/2λダイポールアンテナの高さによる給電点インピーダンス変化のデータの表とグラフをお見せします。アンテナの高さが波長1λ以下の低い場合を計算していますが、高さの基準は水平ダイポールの場合は給電点、垂直ダイポールの場合はアンテナエレメントのいちばん低い部分です。

この表とグラフは計算条件:完全導体グランドの場合で21MHz垂直・1/2λダイポール及び水平・1/2λダイポールの給電点インピーダンスをMMANAで計算した結果ですが、水平ダイポールのリアルグランド(乾燥大地)の場合の給電点インピーダンス(抵抗成分)の変化はいろいろな書籍のデータを参考にしたものです。
水平ダイポールの給電点インピーダンス(抵抗成分)は完全導体グランドの場合、地上高が0mに近づくにつれて0Ωに近づいて行きますが、リアルグランドの場合地上高が0mに近づいてもある値以下にはならないようです。
なお、リアルグランド・垂直ダイポールの場合のデータは見つけ出すことができませんでした。
垂直型Extended DL7PE Micro Vert Anntenna の実測結果とMMANAの計算結果から推察すると、地上高が0.2λより低いリアルグランドの場合の給電点インピーダンスは完全導体グランドの場合の計算値よりも高くなるようです。

また、2007年11月にCQ出版社から発刊された大庭 信之氏/JA7UDE著の「アンテナ解析ソフト MMANA」にダイポールアンテナの給電点インピーダンスを「MMANA」と「NEC2 for MMANA」(Sommerfeld-Nortonグランドモデル)で計算・比較した記事が掲載されていますので参考にして下さい。

いよいよDL7PE Micro Vert Antennaについての結論です。