法律情報

契約書

Q

取引するときに契約書を作っておいた方がよいという話を聞いたのですが、契約書をつくることの
意義を教えてください。また契約書を作成する場合一般的にどんな点に注意したらよいか教えてください。

A

契約書は後日紛争が生じた場合に証拠となるもので、この観点からの契約書作成が必要です。

【誰との取引か】

契約の相手が株式会社等の法人なのか個人なのかわからないような契約書も見受けられます。
例えば、「○○商事代表者○○○○」というような記載です。
これではいざ紛争が生じたときに個人に請求すべきなのか法人に請求すべきなのか困ってしまいます。
契約当事者は誰なのかを明確にすべきです。法人の種類には株式会社、合資会社、合名会社、財団法人、
社団法人、事業協同組合などいろいろありますから、 相手が誰なのかきちんと調べようと思えば、
法務局で法人登記簿を閲覧すべきでしょう。

会社と契約する場合、署名・捺印する者がその契約をする権限を有しているかも重要なポイントです。
代表取締役の署名・捺印をもらうというのが安全です。

【内容の明確化】

あまりとげとげしい言葉を契約書に入れると円満な関係を損なうことにならないかという配慮から
あいまいな表現が用いられることがありますが、それは避けた方がよいです。
そうしないと後日紛争が生じたときに裁判所から見てその意味するところが判然とせず、
その契約条項の解釈について予想外の認定をされて裁判に負けてしまうおそれがあるからです。

【日付】

裁判で契約がいつ成立したかが大きな争点になることがあるので日付はいれておきましょう。

【署名・捺印】

氏名を自署することを署名、ゴム印を押したりするのを記名といいます。記名の場合は、捺印が必ず必要です。
民事訴訟法228条に「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと
推定する」とあります。これからすると署名だけの場合や認印での捺印でも安心なようですが、裁判になると
「自分は署名してない」とか、「そんな印鑑は自分の印鑑じゃない」と嘘をいわれることもあります。
そんなとき裁判に勝とうと思ったら筆跡鑑定をしないといけないなど面倒なので、できれば、印鑑登録している
実印で捺印してもらいましょう。

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資産調査方法

Q

取引先の経営状況が悪化しているようで、売掛金の回収をするため、取引先の資産を仮差押する必要も
ありそうです。仮差押するべき資産を調べる方法としてはどんな方法が考えられますか。

A

不動産は登記簿、自動車は登録ファイル、船舶は登記簿と船舶原簿、特許権は登録原簿があります。

【不動産について】

まず取引先の資産と思われる不動産を特定する必要があります。住居表示では特定できないので
地番又は家屋番号で特定する必要があります。地番や家屋番号がわからないときは、住宅地図で調べたり、
市役所等に問い合わせます。そして所定の用紙に特定に必要な事項を記載し、所定の登記印紙を貼り、
登記簿謄本又は登記事項証明書を法務局に申請します。申請書があれば郵送での取寄せも可能です。
登記事務がコンピュータ化された法務局が保有する登記情報については、インターネットを利用して
確認するという方法もあります。

不動産登記簿を見ることにより、所有関係、担保の設定状況などがわかります。

【自動車について】

取引先の自動車の登録番号・車台番号を覚えておいて、陸運局備付の申請書にそれを記載して
自動車登録事項等証明書を陸運局に申請します。申請書があれば郵送での取寄せも可能です。
この証明書をみることにより初年度登録年月日や所有者・使用者の住所・氏名などがわかります。

【船舶について】

船舶登記簿については法務局に対し謄本等を、船舶原簿については海運局に対し謄本等を請求できます。

【特許権について】

特許庁で特許登録原簿謄本を入手できます。
誰でも入手できるものですが、社団法人発明協会などに依頼すると便利でしょう。

【信用調査機関の利用】

以上のような方法が考えられますが、さらに進んで調査しようとする場合は、
信用調査機関の利用も考える必要があるでしょう。

経費もかかりますが、債権回収のためには仕方ない場合もあるでしょう。
ただ、信用調査機関にもいろいろあるので、ある程度名の通ったところを利用する方が安心でしょう。

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担保の種類

長年取引をしている会社からお金を貸して欲しいと頼まれました。
長い付き合いなので応じようかとは思いますが、もしもの時に備えて担保をとっておきたいと思います。
どんな方法があるでしょうか?

A

担保を大別すると人的担保と物的担保があります。連帯保証は人的担保であり、
抵当権、質権、譲渡担保、代物弁済予約は物的担保です。

【人的担保】

人的担保は第三者の資力を担保化するものです。連帯保証をとることにより、債権者としては
債務者が支払いをしてくれないときは、連帯保証人に対しても請求できます。

【物的担保】

物的担保は、物を担保にとることで、債務者が支払いをしてくれないときは、
その物を所定の手続きに従って換価処分等し、そこから優先的に弁済を受けるというものです。

1.抵当権・根抵当権

抵当権ですが、これは担保物件の所有権・占有権を抵当権者に移すことなく、抵当権設定者が
担保物件を利用しながら担保権を設定するもので第三者対抗要件として、登記や登録が必要です。
対象となるのは不動産、建設機械、自動車などです。

根抵当権は一定範囲に属する不特定の債権を極度額を限度に担保する抵当権です。
1回きりの貸付であれば、抵当権で十分ですが、例えば取引を継続的に行い、
売掛金の発生・消滅を繰返すがその売掛金ための担保ということになると根抵当権を設定すべきでしょう。

2.質権

質権ですが、動産、不動産にも質権設定はできますが、質権の場合、抵当権と違って担保物件を債権者が直接占有するということになりますので、債務者は担保物件を利用できなくなります。
このため動産、不動産については質権はあまり利用されず、利用されるのは例えば入居保証金や 定期預金などに質権を設定する債権質です。

3.譲渡担保

譲渡担保とは担保物件の所有権を債権者に移転するという方法による担保です。譲渡性のあるものは
すべて譲渡担保の対象になりえます。
また例えば、倉庫に商品を保有していて、絶えず同種類の商品が搬入・搬出され、入れ替わっていくというような場合にも、一定要件を満たせば倉庫の在庫商品に対し一括して譲渡担保は設定可能です。

4.代物弁済予約

代物弁済予約とは通常の弁済に代えて不動産、動産等で弁済を行う方法を予約しておくことです。この代物弁済予約契約による権利を仮登記する仮登記担保という方法もあります。

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